第9話
「ふわ~っ」
ベッドから起きる。カーテンから溢れる朝日が眩しい。昨日は芽依と別れられた、と思う。うん、きっと大丈夫だよね。ちょっと不安になったが、まあなんとかなるだろう。支度を終わらせ、学校へ向かう。
「玲為、ちょっといい?」
学校に着いて、机で一息ついていると芽依が話しかけてきた。聞いてきてはいるが、否定はさせてくれなさそうなオーラを放っている。
「うん、分かった」
ここは素直に従うのが得策であろう。芽依に連れられて、空き教室に着く。扉を閉められて、密室になる。さて、と置いてから芽依は話し始める。
「別れたいって言うのは本当? 誰かに無理矢理言わされていない?」
「別れたいのは本当。言わされてなんかないよ。自分で決めたんだ」
「ねえなんで別れるの! こんなに玲為のこと愛しているのに! 浮気したのも玲為に気にかけてもらいたかったからなの!」
「だから何? 浮気したのが振り向いてもらいたいからなんて理由にもなんないよ。芽依は自分に都合のいい相手が欲しかっただけでしょ? 僕はそれが嫌だ。別れることに変わりはないよ。じゃあね」
「玲為行かないで! 玲為のために隣のクラスの人とも別れたのに」
芽依は目を手で覆って、しゃがみ込んでしまった。これをされたら困るな。でももう芽依と何も関係はないんだ。冷たいかもしれないが、扉を開けて教室へ戻る。
これで今度こそ芽依と別れられた。ここまですれば芽依ももう追ってこないだろう。少し後味が悪いような気もするがいいか。新たな道を進もう。
登校してきていた伊川さんに今日も話しかけに行く。