第7話
あれから数日後。何度か伊川さんに図書委員関係以外でも話しかけることができた。指で数えられる程度だが、これでも大きな進歩を感じる。
だが、少し問題も発生するようになった。芽依から
「最近伊川さんと話すようになったみたいだけどどうしたの」
と聞かれるようになった。あまりいい顔をせず言ってくる。一応付き合っていることは付き合っているから、まあ気になるのだろう。二股しといて彼氏が二股するのは嫌がるのはなぜなのだろうか。全く謎な話である。
自分の家のベッドに寝っ転がりながら思い出す。
いっそ別れてしまおうか。芽依と付き合っている意味もないだろう。芽依には別の彼氏がいるわけだし、僕と別れたところで問題ないはず。
そう言えば、なんで芽依とまだ付き合っているんだっけ?
頭の中で会議が始まる。能動的に動くようになってから、周りをよく見るようになったし、色々なものに疑問を持つようになった、気がする。これはきっと良いことだろう。確実に自分が変化している。
脳内会議が結論を出した。あとは、動くだけ。
よし、芽依と別れることにしよう。家だから直接は言えないし、とりあえずメールをしてみよう。
僕はスマホを取り出して、操作し始める。