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第4話
伊川さんに近づくためには、図書委員関係を使うのが一番いいかな。いつも伊川さんは席に座って本を読んでいるから、勇気さえあれば普通のことを話すことができるだろうけど。臆病な僕には、図書委員の関係で近づくのが合っていると思う。
「あの、伊川さん。ポップカードの件なんだけど」
「何かな、玲為くん」
「あれって、本を紹介するやつだよね。えっと、何の本を選べばいいか決められないから、手伝ってくれたりはしてくれますか?」
「いいよ! 私、本大好きだから色々紹介するね」
なんとか上手く行ったみたいだ。こんな感じで話す機会とか関わりを増やしていけばいいだろう。
……まあ、そんな簡単に人の心は掴めないと思うが。
それを気にしてもしょうがないだろう。ただ、どうやれば付き合えるかはよくわからない。受け身の恋をしてきたせいか手探りでやるしかない。
とりあえずは、今日の昼休みにおすすめの本を紹介してもらえることになったから、そこで話をたくさんしよう。
チャイムが鳴り、授業が始まった。