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第2話

 なんやかやあって、放課後まで芽依と話す機会がなかった。だから、二股のことを聞いたのは帰り道の時だった。


 「芽依って隣のクラスのなぎと付き合ってんの?」


 芽依の身体がびくっと震える。


 「えっと、ごめんなさい! 玲為くんの耳に入ってたんだ。これは言い訳に聞こえるかもしれないんだけど、玲為くんのことは、もちろん好きだけど、なんていうんかな。玲為くんが本命なら凪くんが大本命っていう感じなの。ほんとごめんなさい。別れたいなら受け入れます。ほんと自分勝手で


 「いや、別にいいよ。僕のこと、好きなことは好きなんでしょ? 僕達が付き合ってることは知られてないから、この関係のままでいいよ。謝んなくてもいいし」


 二股してた事実が分かって、支離滅裂のような理由を聞かされても、自分の口から出たのはただの肯定。馬鹿馬鹿しいといえばそうだろう。ただ、別に自分に大きな損害を与えるわけではないのでいいだろう。そんな思考で肯定してしまった。


 「ほんと? 許してくれるの? ほんと優しいね。玲為くんのこと、大事にするからね」


 芽依はなんだか嬉しそうだ。機嫌が取れたから別にいいか。でも、なんだか心に穴が空いたような、違和感ができた。





 家に帰って、制服のままベッドの上に寝転ぶ。なんだろうこの違和感は。もやもやした感情を抱えたままいつの間にか眠ってしまった。

 目がぱちりと覚める。今は真夜中。空には三日月が浮かんでいる。寝たことでなんだか頭がスッキリとした。今日のことを振り返ってみる。芽依には本命と大本命の人がいる。そして、僕は本命の方だ。うーん、まあ当然っちゃ当然か。


 ……僕の中にも本命と大本命の枠を作って、芽依を本命の枠に入れて大本命を作ってもいいんじゃないのか。


 邪な考えが頭によぎる。


 そうだよ。芽依もやってるんだよ。おまえもやっていいんだよ。


 自分の中の悪魔が囁きかける。それが最後の後押しだった。


 よし、大本命の相手を探そう。


 



 これが僕の初めての能動的な恋の始まりだった。

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