知りたいカンケイ
「国家転覆を企むテロ組織……悪くない」
「言いたいようにいってくれ。我々には、それを受け止める義務がある」
ディスからいろいろ聞いたあと、僕なりに一言にまとめてみせた。
しかし意外なことに、僕のまとめ方をあまり嫌がってはいないようだ。
「意外だな。僕はてっきり、正義を貶されて怒るかと思ってたのに」
僕は、興味本位でディスに聞く。
ディスは僕に教えてくれた。
「罪は罪だ。それを背負いながらも正義を貫き通さんとする者たちが、テロリストと呼ばれるのだ。だが、その言い方を良しとしたくない人がいるのも事実だ」
ディスの解説を、僕は否定しない。
僕もそう思うからだ。
そしてその解説どおりに、他のメンバーは僕に敵意を向けていた。
その中で一人だけ、見たことある顔の男がいた。
「あれ、お前看守のスゲージャンじゃないか。こんなところで何してんだよ」
僕の発言を聞き、スゲージャンは一歩踏み出し、僕の胸ぐらを掴んだ。
「僕の名前はマジゴッド・ヤベージャンだ!……二度と間違えるな」
その目は鋭く僕を睨みつけ、それがまるで彼の最大の侮辱だったかのように僕に訴えかける。
「……はい」
とっさにそう口にしてしまった。
言ったからには、今度からは間違えないように気をつけよう。
にしても、凄く似てるな。
違いもよくわからないくらいだ。
「僕の金髪に青いラインが入っているだろ。それに、兄と違って目元に傷がない。それよりも、どこで兄を知った」
ヤベージャンは少しイラ立ちをみせながらも、僕のことを察して見分け方を教えてくれる。
なんだか複雑な兄弟関係を感じる。
「どこでって監獄だよ。目が覚めたら捕まっててさ。たしか……ビッグダムって場所」
「ビッグダムの場所を知っているか!?」
僕がビッグダムと言った瞬間、ディスが食いついてきた。
素直に答えたほうがいいんだろうな。
「どの方向にあったかは言えるけど、たぶんもう無いよ。確か、移動型って言ってたし」
「移動型……道理で場所が特定できなかった訳だ」
なんだか分からないが、ディスは納得してくれたようだ。
「監獄が動いているだなんて。私は信じられないですよ!」
ぶっ飛んだ話に聞こえたのか、疑う人もちらほらいるようだ。
僕は事実しか言ってないのに。
「だが、追われる身で殺されかけていたキョウメイが嘘を言う理由もない。疑うことも大事だが、一度は信じることも大事だ」
ディスさんの言葉に、リーダーが言うならと頷き始める面々。
この対応差……流石に泣くよ僕。
「ビッグダムの情報提供、感謝するぞキョウメイ。して、本題だ。君に聞きたいことがある」
そういうとディスはある写真を見せながら、続ける。
「我々の調べでは、コイツは悪組織の人間。だがなぜか、敵対関係にあるはずの善組織と度々接触していた人物でもある。この人物を、見たことはないか?」
それは別に、僕に戦えと言っているわけではなく、僕に情報だけ吐いて死ねと言っているわけではなく、ただこの写真のジジイを知っているかと聞きたいだけだった。
だけれど、僕はどうしてか叫ばずにはいられなかった。
だって……だってコイツは!
「校長じゃねぇかぁあああああああああああああああ!」
はい。ラスボスは校長です。