キョウガクの真実2/イッテキマス
実家にて、母と遭遇。
字面的には当たり前のエンカウントであり、僕が避けたかった現実だ。
「おかえり。帰ってきたのなら、それくらいお母さんに言わせなさい」
今、僕はこうして母からお叱りの言葉を受け、反省の謝罪を……。
えっ?
「怒ってないの?」
予想外なできごとに、思わず聞き返してしまう。
確かに母は怒っていた。
ただしそれは、僕が長いこと帰ってこなかったことではなく、こっそり帰ってきたことに対してだった。
そんな僕の様子を見て母はため息をつくと、当然だといわんばかりに言ったのだ。
「息子が帰ってきただけなのに、どうして怒らなきゃならんのよ」
たしかに当然で、間違いないくらい当たり前のことだ。
なんで、怒られるなんて思っていたんだろう。
自分で自分自身に問いかけてみる。
だけどやっぱり、わからないとしか帰ってこなかった。
「そりゃあ……そっか」
母の返しに僕は何も言えず、ただただ肯定することしかできなかった。
でもそれは、悔しいことなんかじゃ全然なくて、暖かさと安心感を感じる幸せなことだった。
ここは僕の帰ってきていい場所だって、わかったから。
だから怖くなって。
僕は母に聞いてしまった。
「ねぇ、母さん。もし、もし僕が……世界をぶっ壊すテロリストになったら……母さんはそれでも、僕を息子だって認めてくれる?」
僕はきっと、そういう選択をする。
最後の最後に、そうやって選んで世界を壊す。
そんな気がしてならなかったのだ。
僕の突然の問いに、母は躊躇うことなく、当たり前のことのように優しく言ってくれた。
「あんたはね、どこまで落ちたって、どこまで遠くへ行ったって、私とあの人の息子だよ。それに……アンタの父親魔王だし」
そうか、そうだよね。
僕はどこまで行ったって、母さんと魔王野父さんの息子……え?
「ええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
突然カミングアウトされた衝撃の事実に、思わず声を上げて驚いてしまう。
だって……だって……えぇえええええええええ!?
じゃあ、父さんがなかなか帰って来ないのって魔王だから!?
うっそ、なんで僕に今まで隠し通せたんだよおかしいだろ!
「じゃあ僕がクソ強いのは、魔王の息子だから!?そんな適当で簡単な理由だったの!?」
そんな突きつけられた事実に、僕は信じられるはずもなく、抗議するかのように母に聞く。
「バカ言ってんじゃないよ。才能をドブに捨てず、自分の力で育て上げたのはあんたじゃないか。あんたの魔法は、私とあの人の誇りだよ」
母さんと父さんの前で、僕は能力を使ったことがない。
純度100%、母さんは僕の魔法を褒めている。
僕はなんだか嬉しくなって、けど恥ずかしくって、紛らわすために何処かへ行きたくなって、僕は窓に手をかける。
「もう行くのかい?」
母は僕に、聞いてくる。
やっぱり、寂しかったりするのだろうか。
でも、それでも、僕は行かなきゃならない。
行かなくちゃ、ならない。
「うん。いかなきゃ行けない」
僕は全部押し込めて、母に言った。
僕が守りたいのは、ここだけじゃないから。
行かなきゃ、失ってしまうから。
だから、僕は行く。
たとえ、何度死にかけるとしても、僕は行く理由と覚悟があるから。
「帰りたくなったら、いつでも帰ってきなさい。ここは、私とあの人とあんたの家なんだから」
母のそんな言葉に頷き、言葉を返す。
「うん。母さん」
そして僕は、一呼吸おいた後に一言だけ、続けて言った。
「ありがとう」
MY他作品との繋がりはありません。
ありませんったらありません。
最近、エグゼイドにハマってます。




