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知らないセカイ

この世界でバチバチ戦ってる二大組織。

それが善組織と悪組織だ!

「僕、捕まっちゃってるんですけどぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」


あまりの事実に、思わず叫んでしまう。

いや……あれ、家じゃない!?

僕、これでもニートなんだけど!?

家から遠出する用事もない、ただのニート何ですけど!?

どうなっちゃってるんですかいったい!?


「うるせぇぞ囚人!今何時だと思ってんだあぁぁん?」


鉄格子をぶっ叩きながら、ヤンキーみたいな口調で威嚇してくる看守。

檻の向こうから時代遅れのヤンキースタイルを見せつけてくるアイツは、凄くめんどくさそうなヤツだった。


「……何時なんだよ」


「8時だ」


「起きる時間じゃねぇか!」


思わずツッコんでしまった!

自分で聞いといて、流れるようにツッコんでしまった!

なんなんだコイツ!


「おっと忘れてた。古株で新参のお前は、俺のことを知らないんだったな!俺の名前はマジゴッド・スゲージャン!移動型監獄要塞ビッグダムの看守にして、超・善組織の期待のニューホープ。よろしくだぜぇえええええ!」


やかましい。

少し静かにしてほしい。

えっ、ちょっと待って今“善組織”って言った?

あんな休み無し給料なしのやりがい搾取組織に進んで入るやついるんだ。

前に求人雑誌でみつけた秘密組織特集ページのことを思い出しながら、ぼんやりとそんな事を考える。

そして、自分が人のことを言えないこともついでに思い出した。

そんな間に、スゲージャンはまだ語り続けている。


「そして!ゆくゆくはトップの右腕となり、そのまま添い遂げてしまうのだぁあああああああ!」


なんだ、ホモか。

善組織のトップって、確か男だったし。

いや……待て待て待て待て待て待て!

あのおっさんが好きってことは……既婚者子持ちのジジイにときめく同性愛者!?

あのめんどくさそうな性格全部性癖に持ってかれてんじゃんワロタ。

呆れてる間にも、スゲージャンは語り続ける。


「だが戦果をあげようにも、悪組織は解散し、反逆者を捕らえようにも看守にはその権利もない。なあぁぁあらどうするべきか!そう、お前ら犯罪者を処刑するッ!殺せばそれは戦果となるッ!それが俺様が描く出世街道だぁああああああああ!」


何コイツ怖い。

話が飛躍しすぎてなにもわからん。

処刑とか意味わからんし。

……処刑?


「そんじゃそこを動くなよ?俺のスーパーマジックで、テメェを丸焼きしてやっからさぁあああ!」


スゲージャンは容赦のない死刑宣告をしてくる。

まさかコイツマジでやんの!?

誰だよコイツを看守にしたやつ絶対に許さない!


「ちょっと待って!お前、看守なんだろ?看守なら看守らしく見張ってる方が利口ってもんだろ!そんな物騒なことしたって、無能だって思われるだけでしょうが!」


「獄炎の炎、究極の光、目覚めし力は我が世界!破滅で包まれし絶望の中で、貴様の終わりを知るがいい!」


説得虚しく詠唱が始まった。

めっちゃ物騒な詠唱!

……というか、今どき律儀にフル詠唱して威力高める人いるんだ。

さてどうする。

話が通じないので恐らくもう詠唱は止まらないし、かと言ってこのまま受けるのも痛いだろうし……せや。


「エクプロ」


爆発魔法を超簡易詠唱して、背面の壁に放つ。

これで後ろの壁を破壊っ、と。

結構広いな、流石は監獄。

じゃあ……今度は爆発をビームにしよう。


「エクプロビーム」


よし、これで外まで続く道ができた。

あとは、部屋備え付けのベッドをここにおいて、その上に僕が乗り込んで、スゲージャンの正面にバリアを何重にも張って……。

衝撃だけ貫通するようにシステム形成、ベッドが耐えきれるように耐久上昇魔法の付与、僕だけが吹き飛ばされないようにベッドに手足を拘束、進行方向再度調整、エクプロビーム再度発射し滑走路拡張……


「詠唱完了!死ねぇえええええええアルティメットデスブラストォオオオオオオオオオ!」


「キョウメイ、フリーダム、行きます!」


スゲージャンの魔法の衝撃によって射出されたベッドは、マッハを超えるスピードで監獄要塞の中から飛び出していった。

そしてキョウメイは、そのSEEDな気分にとても興奮し、あるメロディを口ずさんでいた。


「テレレテーテーテレレテーテーテレレテッテレー!(キ◯、その心の◯まに)」



SEEDFREEDOMめっちゃ面白かった!

あんなシーンとかこんなシーンとかめっちゃ良かった!

バルトフェルドさんの出番もっと増やせ!

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