シシャは舞い戻る
「ヤツは処刑対象だ!構わず殺せ!」
僕を殺さんと飛びかかる者、後方から拳銃で狙う者。
前衛、後衛と役割分担をしながら、僕を確実に殺そうとしてくる。
僕は魔法で反撃する。
魔法構築、系統は風、全てを巻き込む突風のように。
「風よ広がれ」
全方位に広がる風が、すべての敵を弾き飛ばす。
敵の大半は壁や地面に打ち付けられ、動けなくなっている。
僕は魔法で追撃する。
魔法構築、系統は氷、太陽の光でも溶けないほどの完全凍結。
僕の指先から放たれた氷の槍は、兵士を貫く。
その瞬間、氷の槍から溢れ出た冷気が兵士を包み込み、完全に凍結してしまう。
「やめろ……近づくな!」
僕の氷槍が、兵士を貫き凍らせる。
歩く道にいる兵士を、僕は全て凍らせる。
化け物……怪物……悪魔……奴らは好き放題言い放って、僕に凍らされた。
殺さないだけ、ありがたく思って欲しい。
だってこれは、僕なりの優しさなんだから。
「好き放題やってるようだね。羨ましい限りだよ」
通路の奥から現れた人影にはどこか見覚えがある。
その容姿は、どことなく役所で殺した男と似ている。
「そろそろ、仇討ちをするときだと思ってね。もちろん、私自身の仕返しを」
間違いない。
彼は間違いなく僕が殺したはずの男だ。
だが、ありえない。
殺した人間が蘇るだなんて、ありえていいはずがない。
死体蘇生術にしたって、焼死体を再利用できるはずがない。
だが、立ちはだかるなら殺すまでだ。
「お前の居場所はここじゃない。亡霊は墓に帰れ」
「亡霊とは失礼な。私にはクリミーという名があるのだから」
そう言って、クリミーは拳銃を構える。
だが僕のほうが、一瞬早く魔法を放てる。
魔法構築、系統は火、焼き尽くす炎のごとく。
「焼け」
僕の詠唱の直後に掌から放たれた火の玉は、一瞬のうちにクリミーに触れ、そのまま全身を焼き尽くす。
しかし、クリミーの体を焼いていたはずの炎は数瞬のうちに弾けて消える。
魔法構築、系統は土、立ちはだかる壁のように。
地面からせり上がる土の壁が、銃弾から僕を守る。
だが、銃弾の高すぎる威力の前に、土の壁はなすすべもなく破壊されてしまう。
しかし、位置はわかった。
僕は記憶していた軌道を避けるように動き、銃弾をかわす。
頬に軽くかすったせいで傷になってしまっが、死ぬよりマシだ。
どうして魔法が効かなかったのか。
それを確かめるように、僕はクリミーを見る。
クリミーの体は黄金に輝いている。
プツンと切れるようにもとに金色が解かれもとに戻ると、クリミーは語り始めた。
「私の超能力は完全無効。貴様のような犯罪者が何をしようとも、私に攻撃が届くことは決してないのだよ」
語り終わった直後、再び金色に輝き出す。
なるほど。
復活しても、悪い癖は健在のようだ。
だから、たぶん攻略できる。
「届くさ。なんせ年期が違うから」
自信たっぷりに僕は言ってのける。
だがそれは、クリミーの逆鱗に触れてしまう。
それが、自分の能力を説明してもなお、立ち向かう僕への苛立ちなのか、明らかに歳下の僕に年期が違うと言われたからなのか。
僕にはわからない。
だけどただ一つわかるのは、クリミーは今までよりも本気で僕を殺しにくるということだ。
「言うじゃないか。ならば、それが口先だけだということを証明してみせよう」
僕はクリミーが喋ってる間に、炎魔法で攻撃した。
なんで、話し終わるまで律儀に待たなきゃならんのだ馬鹿らしい。
というわけで、僕はこれで失礼するよ。
おつかれさん。
炎が生んだ煙の中から、銃弾が一発放たれる。
その銃弾は僕の胸を打ち抜き、僕はその衝撃で後方へ倒れてしまう。
そして、ただ一人戦場に残ったクリミーは笑う。
「やはり口先だけではないか!犯罪者に知能なし、貴様のような下劣なものに、生きる資格などなくて当然なのだ。やはり生きるべきは、私達健常者……なんの不備もない完璧な人類のみだ!」
そして、笑った代償は高くつく。
バンっ!
一発の銃声が鳴り響いたのだ。
そして、攻撃が効かないはずのクリミーの胸には、銃弾によってつけられた傷痕が出来上がっていた。
「なっ!?」
クリミーが驚くのもつかの間、僕は立ち上がってクリミーに近づきながら、拾った拳銃で二発、三発と次々に射ち込んでいく。
そして、クリミーは無様な顔をしながら死んでいく。
そして、僕は胸に強固に敷いていた防御魔法を解き、クリミーの死体にこう言い放った。
「知るかよバーカ」
ライドカメンズくんメンテ長すぎやろ!




