知るべきジジツ
あの後、僕は資料らしきものを全て回収し、魔法学校跡地から撤収し、そして基地に帰還した。
しかし、依頼主であるディスは移動要塞の捜索のため不在。
なので、暇そうな別の人に研究資料を渡すことにした。
「はい、校長室に眠ってた研究資料。とりま全部持ってきたから、後はそっちで確認してくれ」
僕は資料をマジゴッド・ヤベージャンに渡す。
ヤベージャンは、依頼した資料かどうかを確認するため、軽く内容を閲覧する。
P41,42,43,44,45,46,48,49
資料をペラペラとめくる内に、ヤベージャンはページが一枚欠けていることに気づく。
「これ、一枚足りないだろ」
ヤベージャンは、僕に欠けた1ページの所在を聞いている。
しかし、僕に渡すつもりはなかった。
「お前らには必要ない一枚だ」
不満げな表情を浮かべるヤベージャン。
しかし、こっちにだって渡せない理由がある。
引き下がればしない。
「じゃあな」
そう言って、僕は基地の出口に向かって歩き出す。
ヤベージャンは、いつまでも僕を睨み続ける。
ーーーーーー
校長は恐らく、悪組織を束ねていた人間だ。
研究資料に書かれていた能力がそれを物語っている。
能力を無条件に創り出し、使い捨てるか他人に付与できる創造。
悪組織が超能力だらけだったのは、校長が能力を与えまくっていたから。
そんな事できる人間が、二番手以下なはずがない。
僕は、近所のケーキ屋でケーキを頬張りながらそんなことを考えていた。
「ケーキ、美味しくないかい?」
ケーキの腕に絶対的な自信を持つパティシエの吾郎さんは、僕が全然美味しそうに食べないのを気にしてるのだろう。
「ケーキはすごく美味しいよ吾郎さん。だけど……考えちゃうんだ、どうしても」
僕はちゃんと吾郎さんに伝える。
このケーキは間違いなく美味しい。
だけど考えてしまう。
あの研究資料の47Pの事を。
二人の同一存在の融合により、人間は神へ神化することができる。
校長の研究資料の47Pに書かれていた一文だ。
この内容が真実だということは、僕がよく知っている。
だけど、どうしてこんなことを調べていたのか。
当の本人はどこにいるのか。
悪組織はどうなっているのか。
なにもわからずじまいだ。
「ケーキは人を笑顔にする食べ物だ。そんなに暗い顔をしていては、ケーキが悲しんでしまうよ」
吾郎さんはきっと、僕に笑ってほしいんだ。
無我夢中でケーキを食べて、ただ夢中に笑顔になってほしいだけなんだ。
このケーキだって、きっとこんな顔して食べてほしいなんて思ってない。
今ぐらいは、全部忘れよう。
僕は、ただ夢中に残りのケーキを頬張った。
吾郎さんの台詞考えるのに、めちゃめちゃ時間取られたんやが……。




