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知ってたケッカ

戦闘が始まる前、キャッチはシュートをおぶり、地下室からの脱出に成功していた。


「待て……キャッチ……。俺の仕事は……見張る……ことで……」


「怖いのよ!わかりなさいよバカ!」


「ならキャッチだけで逃げてくれ。俺は……」


「怖いのよ!察しなさいよ……バカ」

エアスラッシュ。

空気の刃で攻撃する、イチゴウの超能力。

手の動きに連動するように現れる空気の刃は、人体を簡単に切断できる。

前に戦った時も、周りに居た人間の首をいくつも吹き飛ばしていた。

恐ろしい能力だ。


「エアスラッシュね、わざわざどうも」


「俺はお前を知っている。フェアにいこう。そうでなきゃ意味がない」


どうやらイチゴウは、僕よりもずっとスポーツマンシップが出来てるようだ。


「いいねそれ。だが、見習う気はない」


僕は、一点に魔力を集め始める。

ただし魔法という形を与えずに、ただ大きいだけのエネルギーを構築する。


魔法反射は魔法しか反射できない。

ただのエネルギーでしかない魔力の塊を、アイツは絶対に防げない。

僕は一度、同じ手でヤツに勝っている。

なんの面白みもない確実に勝てる一手だ。




イチゴウはため息をつきながら、腕をあげる。

空気の刃で僕を切り裂く気だ。

僕は再び、片腕に防御魔法を集中させて受けの体制をとる。

これさえ防げれば、僕の勝ちだ。


イチゴウは狙いを定め、腕を振り下ろす。

空気の刃がくる。

しかし、ガードしていたはずの腕になんの感触もない。

まさか切られた?

それともフェイク?

予想外の事態に、頭が困惑している。

イチゴウは、そんな様子を鼻で笑いながら僕に言い放つ。


「人間を切るだけが、俺の取り柄じゃないんだよ」


何言ってるんだ。

この戦場で、僕以外に切るものなんか……。

まさか、と思った。

僕はとっさに、作りかけだった魔力の塊を見る。

中に浮かんでいたはずの塊は、真っ二つに切り裂かれ、キラキラした光を血のように吹き出しながら地に落ち、砕けて消えた。


対策された。

うーん、とりあえず。


「数で攻める」


もう一度、魔力を一点集中させる。

今度は、無数に。

一つ一つの大きさはサッカーボールくらいで、先程と違い高いダメージは見込めない。

しかし、それが何発にも重なれば話は変わる。


僕は作り出した無数の塊を、イチゴウヘ放つ。


だがイチゴウはソレすらも読んでいた。

腕を振り回し続け、空気の刃を生み出し続ける。

そして、魔力の塊を全て破壊してしまった。


「これで終わり?」


想像を超えない僕にがっかりするように、イチゴウは苦言を呈す。

質には質で、数には数で対抗される。

向こうも同じことができる以上、消耗戦は無効に部がある。

この手は完全に詰んでいる。

なら、残る手は一つ。


僕は、僕自身に魔法を重ねがける。

速度上昇、筋力上昇、筋力上昇。

やはり最後に信じられるのは、己の拳のみ。


「キョウメイ、殴ります」


フェアにいこう。


「俺は……切る」


イチゴウは、再び腕を振り回して空気の刃を作り出す。

まるでそれは、みえないレーザートラップ。

だが、攻略法は見つけた。


僕は隠し持っていた砂爆弾を真下に投げる。

部屋中に砂煙が広がる。


「見えないなら、見えるようにすればいい」


砂煙の中を突き進む、透明の刃。

たとえ透明だろうと、砂色の中じゃわかりやすい。

僕は、刃と刃のスキマにある逃げ道を使い、全ての刃をかわす。


そして、再び魔法をかける。

耐久上昇、耐久上昇、速度上昇、筋力上昇。

半不死身を相手に、殺すのは難しい。

だから僕は狙う。

強力な一撃による、一撃失神ノックアウトを。

僕はイチゴウが腕を振り下ろすよりも早く、イチゴウの頬にストレートパンチを決める。


「ズルい」



そう言い残したイチゴウは、殴られた勢いで壁を打ち抜き、そのまま向こうへ消えていった。


「フェアで勝てたら苦労しない」












実はエアスラッシュの存在を途中まで完全に忘れてたなんて口が裂けても言えない。

コイツどんなやつだっけ〜って見返してたらヤベッて思い出したのとか絶対に言えない!

半不死身設定も、勘違いから生まれただけだなんて絶対言えない!

実はこの後書き、本編書く前に書いてたとか絶対言えんて‼

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