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神様稼業  作者: ガム
12/25

伝承の蛇 8

俺は失念していた。

神様の影響の大きさを見誤っていた。

俺の何気ない行動が他人に大きな影響を与えることになるとは・・・


マハルはセーフハウスである、あのオアシスで俺に水をぶっかけられたときに目に入った!と騒いでいた。ただの水ではない。神々の水である。普通の人間が使うとなると、どうなることやら。


今のマハルはまさに神の目を得たが如く視力が格段に飛躍している。まさに千里眼だ。

だから二人が見えないのは当然であり、マハルが異常なのである。

これは・・・二人の変化も気をつけなければならないだろう。


このことをマハルに伝えると驚き疲れたのか、ただただ頭を掻くばかりだった。

薄い頭が余計薄くならないか、ちと心配になる。


キトンの町。

シンセの町と同様に、砂漠に位置する辺境の町である。

この二つの町は国境にて立地条件や規模も似たり寄ったりである。

わざわざ二つに分けてある理由は、設立時から相当時間がたっているため不明確である。


俺たちは町の中央部に近い、とある石造りの家に入っていった。ここでサミラ引き渡すのだという。それぞれ事前に打ち合わせを確認し、俺はペンダントの中へ。

おそらくはサミラに危害を“いきなり”加えることはないだろう。誘拐というまどろっこしいことをしているのだから。

サミラは袋に入れられているため俺は外の様子がわからない。正直暇である。

アッちゃん、しりとりでもする?


・・・


アッちゃんの「る返し」(しりとりで最後に「る」をつけて返すこと。)に苦しんでいると、はらりと視界が開ける。

どうやら悪役のお目見えらしい。交換ショーの開幕だ。




◆side 黒幕?


俺は今、大願が叶おうとしている。

元々は商人をやっていたが、宿敵、アフマドに商売を邪魔されてキトンでくすぶっている。

だが怒りは轟々と燃え上がっていた。

そこで今回、影響がなかった親父と共謀して奴に復讐する機会を狙っていた。

奴自身には手を出さない。だが奴の娘には元の商売同様に商品として隣国に出荷してくれる。

頭の悪そうな経験の少ない若い商人者をはめて、いいように操り、ついに誘拐に成功したのだ!

今頃、娘がいなくなって慌てふためいておるだろう。

さあて、奴の娘と対面するか。


袋の紐を外すのはいつも楽しみだわい。

金のはいった袋なら尚更だが今回は別格・・・うわ!なんじゃ!!

さっき確認したときは娘一人だったではないか!?

ぐえっ・・・体が動かな・・・い。


これは一体・・・俺の体に巻きついているのは何じゃ!


「やいやいやい!卑怯な真似ばかりしやがって。 てめえの悪事は、お天道様はだませても、この金さんは全てお見通しなんだよ!」


いや、金さんって誰?

はてと顔を上に上げると、世にも恐ろしい大蛇が俺を食わんと口をあけているではないか!


「よーしそのままだ。俺の額をよーく見ろ!」


その額には確かに眩い宝石があった。どこかで聞いたことがあるような。

しかし、誰がこんな大それた腹話術を?


「なるほど、貴様の商売が邪魔された復讐が動機か。」


・・・・


「な、なんで」


「なんで、わかったのか?おいオッサン。逆恨みもいいところだろう。身からでた錆だ。

 隠し財産はそのクローゼットの裏だな。賠償金代わりにもらっておいてやんよ。」


「よせ!やめてくれ!いや、やめてください!お願いします。」


「じゃ、やめてやる。」


「へ?」


「その代わり、おまえちょっと自首してこいや。」


「いえ、それは・・・」


行けるわけがない。元々法に触れたが故にこの町にいる身なんじゃ!

まだまだ牢獄になんぞ入りたくはない!


「それも、いやか。」


「は、はい。」


「では、仕方がない。オメーは俺が裁く。」


「は!?ギャアアアアアアアアア!!」


べキバキゴキ!メリメリメリ!


「自首しばず!自首しばずがら!」


締め上げ上げるのは、やめ、て・・・


「わかればよろしい。」




こうして、男は着の身着のまま、おぼつかぬ足取りで警備兵の屯所にてすべてを自白した。

何かで圧迫されような跡をもつ男に疑問を持った警備兵が、そのことについてふれると、

「ヘビが・・・ヘビが・・・うわああああ!!」

 と、折れた骨も無視して狂ったように暴れたため、拘束されて牢獄に放り込まれることになり、その後二度と日の目を見ることはなかった。

 というのも、翌日、男の違法な商売の証拠や溜め込んだ資産について詳細な証拠が屯所にもたらされたのである。

その証拠から男が十分牢獄に入るに値すると判断した警備隊当局がそのまま拘留した結果であった。


すぐさま当局が男の部屋に踏み込んだときには、「報奨金代わりに少しもらってゆきます。」という張り紙とともにごく一部の宝石類が部屋から消えていた。

同時に男が3人、少女が1人、町から消えたが誰も気がつかなかった。




◆side ククル


「うまくいった!」「自由だ!」「YATTA!YATTA!」

小躍りしているのはもちろんチビデブハゲ三人組だ。


「しかし、旦那。一体どうやったんで?」


ハーディーがニコニコしながら俺に尋ねる。


「簡単なトリックさ。あいつが確認後にペンダントにサミラが入り、入れ替わりで俺が袋に入っていただけさ。」


ちなみにアッちゃんの補助がないと人間は入れない。あれは魔具ではないからな。


「文字通り奴を締め上げた後に記憶を読み、さらに締め上げると自首したい!と言うから寛大な俺様は大いに感動し、彼の自主性を尊重したわけよ。」


そして男が出ていった後に俺の合図で三人組も侵入。

俺の指示の元で証拠を整理した後に町の者に金を握らせて、時間差で屯所に届けさせたのである。


「整理なんて、まさに手も足も出ませんもんね。」「出すのは口だけ。」「ホントホント。」

と、三人が笑っていたのでとりあえず尻尾で小突いた。



深夜、キトンの町の外。


「よし、シンセの町に戻って仕上げだ!」


まだずべてが終わったわけではない。記憶を読んで判明した新事実である。真の黒幕は別にいた。


その黒幕こそ、あの男の父親であるハッジ・ファハド。

三人組の因縁のもう一端である、シンセ町長その人である。

色々描写に挑戦。

もっと修行せねば(汗

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