伝承の蛇 6
さて、尋問タイムである。
それと、実験タイムだ。今の俺にならできるかもしれん。
今のところ、不自然な運ばれ方でサミラがここにやってきたこと。
会話の一部しか聞いていないため、明確な背景がわからないこと。
大方予想が間違ってないだろうが決め付けはよくない。
「おい、起きろ。チビ、デブ、ハゲ!」
順番に顔をスパン!スパン!スパン!と小気味のいい音を立てる。
尻尾ビンタで目を覚まさせた。この尻尾は使い勝手いいね。
「うーん・・・うん?」
一番左のチビが目を覚ましたな。だが、身体の違和感に気がついたか。
「ぬおおお!なんじゃこりゃああああ!!!」
驚くのも無理はない。
なにせ首だけを残して、それ以下は埋まっているのだから。
チビの悲鳴で他の二人も目を覚ました。
適当なくぼみに放り込んで、上に土をかけただけである。
「俺のオアシスにようこそ。歓迎は水しかないけど、我慢してくれや。」
と、水を尻尾でぶっ掛け機先を制する。
「ゲホ!ゴホゴホ!!気管にはいっちまった・・・」
「俺も・・・」
「ちょ、誰か目を拭いて!!」
咳き込むチビとデブ。そしてブンブンと首をふるハゲ。
世話の焼ける野郎だ。しばらくそうしてろい。
「さて、貴様らが連れていたあの娘について答えてもらおうか。」
ぎりりと三人をにらむ。
「面白くないとお仕置きだぞ!」
ブンっと尻尾を振る。
・・・・・
「えーと、俺が生んだ?」
「何で疑問系なんだよ!お仕置きだ!!」
バシーン!と尻尾ビンタを食らうチビ。
「よし、じゃあデブ!」
「うーん、迷子の子供を保護しまして?」
「つまんねえんだよ!お仕置き!!」
バシーン!
「最後にハゲ!」
「じゃあ、実はあの娘にさらわれたんです。ハイ。」
「目的変わってるじゃねえか!座布団没収!」
「その尻尾やめて!やまダバッ!」
バシーン!あらら、しゃべるから口の中がすげえ痛そう。
ついノリで笑点しちまったよ○楽さん。
とはいえ、いつまでも山○君を待ってるわけにゃいかねえ。
あんまりだ・・・という呻き声が聞こえたが、気のせいだ。気のせい。
俺にシリアスはむいてないのさ。まさかのるとは思わなかったが。
てなわけで早速、実験開始である。
「貴様らが正直に話さねえなら、もう訊かん。」
え?と3人はあっけにとられる。
「その代わり、チビ。おまえの記憶に訊こう。」
えー!と3人は目を見開く。
そう、以前神様に記憶を読まれたのを思い出してほしい。
俺も神様の一部を取り込んだ以上、同じことができるのではないだろうか?
信仰は力だZE!アッちゃんパワー120%充填!!
「さあ、答えてもらうぞ?おまえの記憶にな!!」
まるっきり悪役だなと考えながら、尻尾でチビの頭を抑え、その額をアっちゃんに近づける。
頭を固定され、でかいヘビにキスできる距離まで顔を近づけられたチビの心境は穏やかではないだろう。
そして、記憶が俺の頭に情報として書き込まれていく。
「名前は・・・カシムか。」
名前を当てられたのかビクっと震える三人組。
そんな目で見ても、かわいくもなんともないぞ。
この三人組の名前、それに生い立ち・・・残念だが、記憶を読む術はまだ不完全なのかここまでしかわからない。
まさかできるとは思わなかったが。
「そして、お前らはハーディー、マハルだな?」
お、地面を通してなにか流れる音が聞こえるぞ。血の気の引く音だろうか。
背景が読めないのならば、搦め手だ。
そうっとチビ、もといカシムに耳打ちした。ボショボショ。
うな垂れるカシム。そして彼はポツリ、ポツリと全てを話し始めた。
軸がブレブレブレ
耳打ちした内容は・・・ボショボショボショ
みんなにはないしょだよ。