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99 願い

~大我SIDE~



 目が覚めたオレは、レイラから二手に別れてクリア条件に繋がるアイテムを探すことになったことを伝えられた。


 ちなみに別チームになったジャン、ラウル、そして樹里愛はもう出発したらしい…。


 正直樹里愛がオレと別チームということには驚いた。


 樹里愛ならオレと同じチームで動くと思っていたからだ。


 別に樹里愛が悪いわけでもないんだけど…なんかモヤモヤするな…。


「聞いているか阿久津?」

「え?あ、ああ、ごめんなさい…。聞いてませんでした…」

「まったく…。いいか?阿久津がさっきの宝箱みたいなエネミー?を倒して手に入れたこの石板が所謂いわゆる宝の地図の一部ってわけだ。だからこれからこれと同じものを探すわけなんだが…」


 話によると、この石板は四枚揃ったらクリア条件である宝への道を示す地図になるとかなんとか…。


 なんかゲームみたいだな…というか、ゲームマスターである悪魔がそんな感じのゲームから着想を得て作ったんだろうなこれ。


「この石板は大我が持っておいてくれないか?私が持っていてもいいんだが、私は先生やストークから信用されていないみたいでね?君たちを皆殺しにして持ち逃げするかもと疑われているみたいなんだ」

「信用できない要素ばかり積み重ねているアンタが悪いんでしょ?」


 リサはレイラへの当たりが強いな…レイラの自業自得だけど…。


 まあ、レイラは全く気にしてないみたいだから、別にいいか。


「というわけで、大我が持っててくれないか?ストークだとエネミーや他のプレイヤーに襲われた時に簡単に奪われちゃいそうだし」

「私は回復系の異能で戦闘は不得意なんだから仕方ないでしょ!?」

「異能が戦闘系じゃなくても、技術を磨けば自分の身を守れる程度の力を身につけることはできるだろう?」

「悪かったわね!私は戦闘センスも壊滅的なら、運動神経も壊滅的なのよ!アンタ、縄跳びもまともにできなかった人間の気持ちなんて考えたこともないでしょ!!」


 リサが凄い勢いでレイラに詰め寄ってる…。


 それにしても縄跳びか…。


 オレもあんまり得意ではないけど…。


「縄を回そうとしてもうまく前に来ないわ、ジャンプしようとしてもどうしても膝が曲がらないわ、挙句の果てに縄を踏んでしまって態勢崩して絶対に転ぶのよ!?私だってもっと運動神経良くなりたいわよ!!」


 リサは予想以上に運動がダメらしい。


 いや、ダメというか、運動できるような存在じゃないというか…。


 近くで見たら、わざとやってるのか?と、思ってしまいそう…。


「私も運動得意じゃないから、リサさんの気持ち、少しわかるかも…」

「いやいや、有馬はリサほど運動が不得意ってわけじゃないだろ?というか、リサレベルになると、得意不得意のレベルじゃないと思うけど…」


 最早呪いレベルだと思う。


「ハイハイ!皆いろいろと話していたいだろうけど、今はこの状況をどうにかすることが最優先じゃない?というわけで、さっさと移動するよ」


 そう言って先生は先頭切って歩き出す。


 なにか出てきたら危ないってのに、一人で先に進み始めるとか…凄い胆力だな…。


「ふう、助かった…。私たちも行こうか大我?このチームでまともな戦闘力があるのは私たちだけだから、フォローよろしくね?」

「任せてレイラ」


 そう言ってオレはレイラと共に先生を追いかけた。


 少しだけ…そう少しだけ…なんで樹里愛がオレを置いて行ったんだろうという疑問を感じながら…。



*****



「そういえば、あの風林火山おじさんや宮古桃はどうしたんだろうね?」


 あの宝箱エネミーが出てきたせいで忘れていたがあの二人、今野放し状態なんだよな…。


 また襲ってこられても困るし…特に宮古桃。


「あの宮古桃は気配察知にも引っ掛からない異能持ちだからね…。あの時仕留めておいた方が安心だったね。まあ、今更どうこう言っても後の祭りさ。今はできることをやろう」

「それはまあ、その通りだけど…。そもそも、石板型のアイテムを探すって言っても、どこを探せばいいのかもわからないし」


 そう、まさかの手がかりがゼロなのだ。


 もしかしたらさっきみたいにエネミーが持っているかもしれないし、もう他のプレイヤーが手に入れてるかもしれない。


 エネミーが持っているなら倒せばいいだけなので問題はないが、もし他のプレイヤーがもう手に入れてしまっていたとしたら…。


「もし他の人がもう手に入れてしまってたら、戦って手に入れるしかないんだよね?」

「まあ、そうなるだろうね」

「協力するって選択肢は…」

「あり得ないと思った方がいいね」


 有馬の問いにレイラが答える。


「君のように初参加で巻き込まれたとしか言えない状態のプレイヤーと違って、大半のプレイヤーは叶えたい願いを持って参加している。そんな人たちに対して、『自分たちの願いを叶えるために協力してくれませんか?』と協力を仰ぐのかい?それで了承してくれる人たちがいると、本気で思っているのかい?まさかだよね?」

「ちょっと…!」

「いえ、先生…たしかにローレンスさんのいう通りです…。皆自分の願いを叶えるために戦っているのに、安易に協力してもらえるなんて考えた私が甘かったです…」

「まあ、私や大我も協力し合っているわけだし、全てが的外れとは言わないけどね…。だが、同じ組織に属しているわけでもない者たちが協力し合うなんてのはイレギュラー中のイレギュラーだと思っていた方がいい。特に優勝者が決まるゲームの時はね」


 まあ、レイラが言っていることは何一つ間違ってないよね。


 誰だって自分の願いを叶えたいってのが最優先なのは当然だし。


 オレみたいに、『もう叶えたい願いは叶えちゃったから、そこまで勝ちに拘らなくてもいいかな』と考えてる方がイレギュラーなのはたしかだ。


「そういえば、聞いたことなかったけど、レイラの願いってどんななの?」

「私かい?私の願いは…」


 少し不敵な笑みを浮かべたレイラはオレに向かって少し楽しそうに…、


「秘密だよ…♪」


 と、言った。

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