94 幻覚…?
「さっきからごちゃごちゃ何を言っているのかしら?私と大我君が近しい能力だとかって聞こえたけど?やっぱり私と大我君は運命の赤い糸で結ばれているのかしら?そうね、きっとそうよね!私と大我君は運命の赤い糸で結ばれている運命の人だものね!だったら納得だわ!やっぱり私と大我君は運命の人…!なのにあの害虫共が邪魔をしてくる…!やっぱりあの害虫共を駆除するのはこの世界の選択なのよ…!!」
この女はあれだな、自分の中で全てが完結するタイプだな。
だから他の人たちがどれだけ迷惑を被ろうが構わない…その結果が死刑になるほどの大量殺人ということか。
反吐が出るな…。
俺は自分勝手なクソ野郎が嫌いなんだ。
なんせ、自分勝手なクソ野郎のせいで家族を失ってるもんでな!
「ペラペラペラペラうるさい女だな…!」
「ああ、そうだなジョナサン。何を言っているのかはよくわからないが、彼女を放っておくのは大我や周りの人たちにとって害にしかならないのは理解した。やはりここで彼女を無力化しておいた方が良さそうだ。シャドー、フォローを頼む」
「影だ兄弟。まあ、あのクソガキのためというのは癪だが、仕方ないか」
そう言って影へと沈むシャドウ。
「俺たちも協力するぞフラッシュ、なあリディ?」
「ああ。ああいうヤツは早めに片付けておいた方がいい」
「ありがとう。頼りにさせてもらうよ」
あの女を無力化することに異論は無いので協力を申し出る。
これだけの戦力なら、いくらあの女が強かろうとなんとかできる筈だ。
「あなたたちもなの…?あなたたちも私と大我君の邪魔をしようっていうの…?許さない…許さない許さない許さない!!絶対に許さない!!アンタたちはここで死ね!!」
激昂しながら突っ込んでくるあの女を俺のゴーレムで押し留める…が。
「消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!!私と大我君の未来を邪魔をする害虫は消えろ!!」
「な、なんだこの力…!?」
その力は常軌を逸しているとしか形容できないものであった。
「ナイスだぞジョナサン。喰らえ、影エッジ!」
「鬱陶しい男ね!あなた女の子にモテないでしょ!?当然よね、嫉妬心から人の恋路を邪魔するような男なんて、どんな女から見ても願い下げだもの!!」
「な…!?」
あの女、シャドウの死角からの攻撃を避けつつ、精神攻撃を仕掛けやがった!!
「アンタみたいな男、大我君の足元にも及ばないのよ!さっさと私の視界から消えなさい気持ち悪い!」
宮古桃はそう言い放つと、ショックからか身動き一つ取れなくなっていたシャドウを蹴り飛ばした。
「シャドー!?クソ!」
フラッシュがヤツの足元へ光弾を打ち込む。
地面が爆ぜ、周囲に瓦礫が舞う。
「くっ…!?」
無数の瓦礫が降り注ぎ、たまらず後退する宮古桃。
ここだ!
俺はヤツの元へゴーレムを向かわせる。
「ここだ!…って、うわ!?」
そこへリディが突っ込んできたため、絶好のチャンスを逃してしまう。
「なにやってんだリディ!?」
「そっちこそなにやってんだ兄貴!?」
「今のはお前が…!」
「いや、兄貴が…!」
「喧嘩は後にしなよ二人共!」
俺たちが言い合いをしている間、フラッシュは宮古桃を追撃していたらしく、激しい攻防を繰り広げていた。
「ホントなんなのよアンタたち…!どこまでも邪魔ばかり…!鬱陶しい…鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい!!私は一刻も早く大我君を助けなきゃいけないのに!それを邪魔するアンタたちは大罪人よ!!死んで罪を償いなさい!!!」
「っと…!突然姿も気配も消える上に、近接戦闘もかなりのレベル…!厄介極まりない人だ!」
フラッシュの言う通り、宮古桃は突然消える上、戦闘能力もかなりのものという厄介な実力者だ。
その上、こちらは急造チーム…連携なんて全くというほど取れていない。
数で押せばなんとかなると考えていたが、逆にこちらの数が多いことによって不利になっている状態だ。
どうしたものか…。
いや、本来なら二人、連携が取れるヤツらがいる筈なんだ…。
なんだが…。
「き、気持ち悪い…。気持ち悪いだと…俺が…?は、ははは…」
そのうちの1人があの状態だしなぁ…。
「なにやってんだ兄貴!俺たちも行くぞ!」
「待てリディ、今の俺たちが加わったところでフラッシュの邪魔になるだけだ!だから今はあの女の隙を窺うべきじゃないか?」
「なに言ってんだよ兄貴は!?あの〈閃光〉がいる今が、あの女を排除する絶好の機会だろ!?」
「それはその通りだが、だからこそだな…!」
「もういい!兄貴はそこで見てろ!兄貴ができないなら俺がやってやる!!」
「あ、おい!?」
俺の制止を振り切ってリディは宮古桃の元へと走って行く…。
なんでだよリディ…!?
なんで俺の言葉を聞いてくれない!?
「そうだ…。俺ならやれる…。たとえ兄貴ができなくても、俺ならやれる…!やれるんだ!!」
「リディ!!」
「喰らえ!」
リディは宮古桃の背後から奇襲を掛けようと接近する…。
「ふふっ…ざぁんねん♪」
「なっ…!?」
「え…?」
なんだこれ…?
これは幻覚…?
幻覚なのか…?
そう思うのも無理はない光景が俺の目には、映し出されていた。
そう…フラッシュがリディの胸を剣で貫いて…リディの口から違溢れ出て…。
目から光が消えていく…。
そんな光景が…。
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