87 液体化
初の感想ありがとうございます!これからも頑張ります!
~ジャンSIDE~
義姉さんを失うことになったあの襲撃の犯人をようやく見つけた!
このチャンス、絶対に逃しはしない!!
「はああ!!」
ヤツの足元へ向けて無数の弾丸を放ち土煙を発生させる。
普通にヤツへ攻撃を仕掛けても効果が無いのは先程確認している。
だからこれは反撃の糸口を探るための布石だ。
ヤツを絶対に逃がさないために…!
「ケホッ、ケホッ…!ったく、なんつうことしてくれるんだよ兄ちゃん。お陰でお気に入りの服が土まみれだぜ…」
そう言いながらヤツは土煙の中から歩いてくる。
考えろ、考えるんだ…ヤツを殺さずに無効化する方法を…!
「で?俺がお前を襲った一人…だったか?すまねえが、いちいち襲ったヤツの顔なんて覚えてなくてな。なんせ、今まで数えきれないくらいのヤツを襲って来たんだ、そんなの覚えてらんねえんだよ!!」
ヤツの腕が肥大化し、こちらへ振り下ろされる。
間一髪で避けて、直後に風で作った刃を連続で飛ばす。
しかし、そのどれもがヤツの体をすり抜けていく。
「体の一部を液体化している時は、それ以外の箇所は液体化できないんじゃないかと思ったが、違うようだな…」
「いろいろ考えてるじゃないか!まあ、残念ながら的外れのようだがなぁ!!」
ヤツが叫んだ直後、ヤツの腕はまるで体が水でできた蛇のように伸び、俺へと迫って来た。
「腕の部分だけを液体化し、手の部分は液体化していない…。どの部分を液体化させるか、かなり細かいところまでコントロールできるのか…」
俺に掴み掛かろうとする手を躱し、その手に向かって風刃を放つ。
「おっと!」
手に当たる瞬間、ヤツは手を液体化させて風刃を躱す。
なるほどな…。
「中々やるじゃねえか兄ちゃん、興味が湧いたぜ。俺に襲われたって言ってたな?いつのことだ?思い出せるかもしれねえから、一応聞いておいてやるぜ」
「数か月前…俺と義姉さんと…義姉さんの夫と三人でいた時に襲われた…。異能で奇襲するなんて、まるでプレイヤーを相手にするような方法でな…!」
「あん?奇襲…?もしかして、マーリオゥとイーリスを襲った時か?」
「…!?そうだ!イーリスは俺の義姉だ!」
やはりヤツは俺たちを襲った連中の一人…!
「お前イーリスの弟だったのか?にしては似てねえが…。まあいい!あの女の弟だってんなら話は別だ!ぶっ殺してやるぜ!」
「貴様義姉さんを知っているのか!?いや、そんなことより、何故義姉さんたちを襲ったんだ!?」
「さあな?俺を倒せたら、教える気になるかもな!倒せたら、だがなぁ!!」
上等だ…!
必ず貴様を倒し、口を割らせてやる!!
「おらおらおらぁ!どうしたどうした!」
ヤツの攻撃は先程に比べて、激しさを増していた。
腕を刃のように鋭くしての斬撃、腕の先を触手のように枝分かれさせての刺突、そして腕を伸ばし、鞭のようにしならせての振り回し。
どれも直撃すれば必殺…こちらは回避に専念するしかない。
「逃げてばかりじゃそのうち死ぬぜ!!」
言われなくてもわかっている…!
だが、これでは…!
「おまけだ!」
その言葉の直後、俺のすぐ横にあった街灯へと叩きつけられる腕。
その腕が叩きつけられた場所が溶けて消えてしまい、俺の方へと倒れてくる。
「なんだ今のは!?まるで溶けたかのような…!?」
今までのように水の質量でへし折られたわけではない…!?
考えられる理由としては…。
「まさか、自分の体を構成している液体の成分を変えられるのか!?」
それならば納得がいく。
恐らく鉄をも溶かす液体にでも変化したのだろう。
体を液体にできて、形も自由自在に変化可能、そのうえ液体の性質まで変化できる…。
このなんでもあり感…まるで大我みたいだな…。
「兄ちゃん頭いいなぁ…。その通り、便利な異能だろ?」
便利かどうかはさておき、驚異的な能力であることは間違いない。
考えろ、考えるんだ…。
いくらヤツの異能が強力でも、付け入る隙はある筈だ…。
「さあ、まだまだいくぜ!」
そう言って突っ込んでくるヤツの動きを少しでも阻害するために、ヤツが進むであろうルートへ弾丸を放ち、爆発させる。
少しでも視界を塞いで時間を稼ぐ。
今の俺にはそれ以外に取れる手は無い…!
「その程度じゃ時間稼ぎにも…っと」
こちらに突っ込んできていたヤツが、俺が爆発させた地面の瓦礫に躓いて態勢を崩す。
なんだ?
なんなんだ今の違和感は…?
そういえばさっきも…。
「考え事なんてしてる暇あんのか!?」
「くっ…!!」
ヤツの攻撃によって思考が中断させられる。
もう少しで突破口が開けそうな気がするんだが…!
「終わりだ兄ちゃん!!」
「しまっ…!!」
一瞬の隙を突かれ、ヤツの攻撃が俺へと迫る。
義姉さんの仇も討てずにこんなところで…!?
走馬灯のように今までの記憶が頭の中を駆け巡ったその時…。
「偵察に出てみたら、まさかこんな修羅場に遭遇するとはな…。これも宿命か…」
何者かが俺の影から姿を現し、ヤツの攻撃を防いだ。
「テメェは…!?」
「な、何者だ…!?」
そいつはなにか芝居掛かった動きをしながら、自分の名前を名乗り始めた。
「我が名は影!!影に潜み影を狩る…そう!〈サバイバーズギルド〉の影の戦士だ!!」
サバイバーズギルド…!?
「フラッシュの部下ってことか…!?」
「ただの部下じゃない…。一番の部下だ!!」
「そ、そうか…。とりあえず助かった…礼を言うシャドウ」
「シャドウではない、影だ!それにしても、ヤツを相手によく生き延びていたものだ」
そう言ってヤツを一瞥するシャドウ。
「ヤツを知っているのか?」
「ああ。ヤツの名は〈ミカエル・アンダーソン〉。戦争が大好きで大好きで仕方がない、イカれた戦争屋だ」
「戦争屋?」
「戦場で兵士として戦うだけでは飽き足らず、戦争を起こすために依頼を受けてなんでもやる男だ。しかも、戦場で生きていける人間こそ、これからの世界を生きていく資格があるなんて危険な選民思想を持っている危険人物でもある。ちょうどいい機会だから、ここで仕留めておくとしよう…!」
そう言って戦闘態勢に入るシャドウという男を尻目に、いまだに状況を把握しきれていない俺は、シャドウへと詰め寄る。
「ちょ、ちょっと待ってくれ…!戦争…!?そ、そういえばそんな感じのこと言ってたような…?」
「貴様が何を思っていようがどうでもいい…。俺はヤツを狩る…。邪魔だけはしてくれるなよ?」
シャドウの言葉に混乱はしたものの、ヤツを仕留めるのには異論は無いので、協力しておくことにしよう。
もちろん、俺の要件を通すことが最優先だが。
「そ、そうか…まあいい。ヤツを仕留めることには賛成だ。だが、とどめを差すのは少し待ってもらえないか?ヤツには少し聞きたいことがあるんでな」
「構わん。それでは行くぞ」
そして俺は、シャドウとの共同戦線を開始した。
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