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83 仇の一人

~ジャンSIDE~



「ここは…!?」


 転送された場所は、どこかの繁華街のようだった。


 辺りを見渡すと、日本語らしき文字が書かれた文字が書かれた看板が目に入る。


 ということは…。


「ここは日本なのか…!?」


 いや、本来ならここが日本だろうと問題はない…だが…。


「え?今あの人、突然現れなかった…?」

「そんなことよりあの人凄いイケメンじゃない!?声掛けようよ~!」

「な、なんだ突然!?一体どこから現れた!?」


 そう、何故か今回のゲームの舞台には、一般人が存在していた。


 いや、違う…普通の街がゲームの舞台になっているのか…!?


「あれ?なんか化け物が現れたって、ネットで騒がれてるみたいだよ?」


 俺の近くで騒いでいた女性がスマホを見ながら友人になにかを伝えていたので、耳を傾ける。


 化け物?


 まさか…。


「おい、アンタたち!今言っていた化け物はどこに出たのかわかるか!?」

「えっ!?えっと…あっちの方みたいですけど…」

「すまない、礼を言う!」


 女性が示した方へ走り出す。


 突然現れた化け物…間違いなくエネミーだろう。


 魔力を持たない一般人ではエネミーに対抗できないのは、前回のゲームで身をもって思い知らされている。


 となると、俺たちがどうにかするしかない。


「うわあー!!」

「いやー!!」


 悲鳴が聞こえてきたので声のする方へ向かうと、ゴリラのような体躯をしたエネミーが、人を投げたり吹き飛ばしたりと好き勝手やっていた。


 最悪なのは、そのエネミーが一体だけではなく、大量にいたことだ。


「なんだこの状況…!最悪じゃないか…!?」


 文句を言っていても始まらない…!


 今は人を助けるため、少しでもエネミーの数を減らさないと…!


「おいおい、萎えるようなことするなよ?」

「お前は…!?」


 俺の前に立ちはだかったのは、ゲームが始まる前に話した男だった。


「最高だなこの状況。そうは思わないか?」

「こんな状況のどこが最高なんだ!?」


 人々が助けを求めながら逃げ惑い、それでも犠牲となる人が出る…。


 こんなもの、最悪な光景だろ!


「最高だろう?見ろよ、あの女なんてついさっきまで仲睦まじかった男をエネミーへ突き出して、自分だけ助かろうとしてる。あの男は目の前で人が動けなくなって助けを求めているってのに、その声を無視してああして隠れてやり過ごそうとしてやがる。そして極めつけはあの親子だ。見ろよ、どうすればいいのかわからなくて、親が子供を抱きしめてじっとしてやがる。そのままじゃ襲われるってのにな。な?一人一人行動が違っていて面白いだろ?」

「面白いだと…!?謂われなき理不尽に対して必死に耐え、逃げ惑う彼らの行動が面白いだと!?ふざけるな下種が!」

「ひでぇこと言う兄ちゃんだな?だがな、戦場ではこんな光景が日常なんだぜ?その中で己が生きるためにどんな行動を取るのか…。それが人それぞれで面白いんだ。これがわかんねぇかな~?」

「そんなもの、知りたくもない!」


 怒りのままに、ヤツに風の弾丸をお見舞いする。


 その弾丸は、すんなりとヤツの体を貫通する。


 おかしい…俺はヤツの体にぶつかった瞬間、爆発するように設定した弾丸を放った筈…それなのに貫通した?


「おお、意外と鋭い攻撃だな。だが残念、俺は無敵なんだ」


 下卑た笑いを浮かべながら、ヤツはこちらへと歩いてくる。


 一刻も早くエネミーを片付けたいところだが、ヤツから目を離すのは危険だと直感が告げている。


 周囲から聞こえる一般人の悲鳴とヤツから発せられている威圧感が俺の焦りを加速する…。


 だが不用意に動けば死ぬのは俺なのは明白だった。


 落ち着け…と自分に言い聞かせているとヤツが口を開く。


「やっぱりどっかで見た顔だな兄ちゃん…。どこだったかなぁ…」


 ヤツが意味がわからないことを言いながら隙を見せる。


 よくわからない状況だが、チャンスだ!


 さっきと同じように爆発する弾丸を作り、ヤツへと放つ。


「ん?おいおい、人が考え事してるってのに…」


 ヤツはそんなことを言いながらも、先程と同じくなにも対処しようとはしていない。


 その余裕が命取りだ!


「ここだ!」


 爆破の範囲がギリギリヤツに届くところで弾丸を爆発させる。


 これでどうだ…!?


「思った通りの場所で、思った通りに爆発させて来やがったな?まったく、素直なヤツで助かるぜ」


 そう言いながら、ヤツは俺へと近づいてくる。


「お前…なんだその体…」


 ヤツの体は、まるで液体のようにゆらゆらと蠢いていた…。


「体を液体にする異能…だと…まさか貴様…!?」


 忘れるわけがない…!


 それは…!


「お前、俺たちを襲ったヤツらの一人か!?」


 そう、それは俺や義姉さんを襲撃したプレイヤーが使っていた異能だった…!


「見つけたぞ…!義姉さんの仇の一人…!」


 最早ヤツ以外はどうでもいい…!


 周囲から聞こえていた筈の一般人の悲鳴も、最早俺の耳には届かなくなっていた。





 

お読みいただきありがとうございます!

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