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81 結構ピンチな状況

~大我SIDE~



「…きて!起きて!起きて阿久津君!」

「う…」


 耳元で大声を出されたうえ、体を揺すられて意識が覚醒する。


 覚醒するが、体を揺すられたからかさっきよりも酔いが回った気がする。


 気持ち悪い…。


「よかった…。さっきの空間から突然街中に移動させられて訳が分からなくて…。でも知ってる人がいて安心したよ…」

「……有馬か…?」

「そうだよ?ていうか阿久津君、凄い体調悪そうだけど、大丈夫?」


 オレを起こしたのはクラスメイトである〈有馬ありま由美ゆみ〉だった。


「なんで有馬がここに…」


 ヤバい、かなり気持ち悪い…吐き気が…。


「なんかデモンズゲーム?ってゲームの参加者に選ばれたみたいで…」

「は?有馬もプレイヤーになったのか?」

「やっぱり阿久津君もプレイヤーだったんだ…。さっきの真っ暗な空間にいた時にもしかしたら…って思ってたんだけど、なんか周りにたくさん人がいて近寄れなくて…」


 そうだったのか…。


 いや、オレは気持ち悪かった上、気を失ってたみたいだからよくわからないけど…。


「で?その周りにいたって人たちは何処に?オレたち以外誰もいないけど…」

「それが、ここに移動させられたら、周りには阿久津君しかいなくて…」


 なるほどね…今回はバラバラの位置に転送されるパターンだったわけか…。


 未来のオレの記憶では何度も見たことがあったが、実際経験するのは初めてだ。


 いつもなら大して気にしないんだが、今回みたいな状況だと割とマジで困るなこれ…。


「有馬、聞いてくれ…。今のオレたちは結構ピンチな状況だ。なぜならこれからエネミーと呼ばれている敵が出てくるからだ。言いたいことはわかってくれるか?」

「阿久津君…その説明でわかってくれる人なんて皆無だと思うよ?エネミー?って敵が出てくるってのはわかったけど…」


 人に思っていることを伝えるってのは難しいな…。


 まったく…これだから人付き合いは面倒臭いんだ。


「つまりあれだ、オレは泥酔状態で戦うのは割と…いや、かなりキツイ。そして魔力を持っていない有馬じゃ戦いにすらならない…。つまり結構ピンチな状況ってことだ…」

「ああ、そういうことね…」

「ああ、そういうことだ」


 なんだ伝わっているじゃないか。


「阿久津君はあれだね、言葉が絶望的に足りないんだね…」


 そうなのかな?


 まあ、喋るの面倒臭いって思ってるから、もしかしたらそうなのかもしれない。


「って、どうするの!?というか阿久津君はなんで泥酔なんてしてるの!?お酒飲んでたの!?」

「不幸な事故だったんだ…」


 なんて話をしていたところ…。


「きゃー!!」


 近くから悲鳴が聞こえてきた。


 急いで気配察知を行ったところ、近くで人がエネミーに襲われているようだった。


「クソ…。体調悪いってのに!」


 有馬を連れて襲われている人の元へ走る。


 うぅ…走ると酔いが回ってさらに気持ち悪くなる…。


「あ、阿久津君!あそこ!」


 有馬が指さす方を見てみると、女性がデカいゴリラみたいなエネミーに襲われていた。


「伏せて!」


 女性へ声を掛けてから炎弾を放つ。


「え?」


 有馬が驚いているが、今は放っておこう。


 オレの放った炎弾はエネミーを焼き尽くす…が。


「うっ!」


 走ったからか吐き気が…。


「阿久津君大丈夫!?」

「大丈夫…ではないけど…。それよりも襲われていた人は…?」

「えっと…。腰が抜けてるみたいだけど、怪我は無いみたいだよ?」

「そっか…。有馬、悪いけどあの人をここまで連れて来てもらっていいか?オレ、今は動くこともままならないから…」


 気持ち悪くて…。


「わ、わかった!待ってて!」


 女性の元へ走っていく有馬を見ながら呼吸を整える。


 吐き気は少し収まってきたが、油断するとすぐに吐き気が戻ってくる。


 こんな状態でゲームを攻略しろとか、無茶言うな状態過ぎる。


 てか、ゲームのクリア条件どころか、名前すら聞いてないんだけど…。


 いつも通りボスを撃破すれば終わるとは思うけど…。


「阿久津君、連れて来たよ」

「あなたが助けてくれたんですか?ありがとうございます、ありがとうございます!!」


 頭を下げてお礼を言ってくる女性がオレの手を握って上下にぶんぶん振ってくる。


 気持ち悪くなるから勘弁してほしい…。


「阿久津君、とりあえずこれからどうする?」

「とりあえず今回はなんのゲームなのかを知りたい。デモンズゲームはエネミーを倒させることが主な目的のゲームだから、基本的にボスを倒せばクリアできるんだけど、ボスは相当強いからな…。ボスを倒す以外にゲームをクリアする方法があるなら、そっちを狙った方が利口だと思う」

「なんのゲームか…?たしか、『トレジャーハントゲーム』って言ってたけど…」

「『トレジャーハント』?つまり宝探しってことか?なら、最悪ボスとの戦いは回避できるな…」

「宝探しゲーム…。なら、ヒントとかありそうじゃない?」

「だな。まずはヒント…宝の地図とかか?それを探すことを目的に動くとするか」

「だね」

「あの…私は…」

「危険だからついてきてください。大丈夫、いざとなったらオレが守りますよ」

「ありがとうございます…。優しいんですね…えっと…」

「ああ…オレは阿久津大我。素晴らしい人生を送りたい高校生です」

「阿久津君、その自己紹介はどうかと…。えっと、私は阿久津君のクラスメイトの有馬由美と申します」

「大我君に由美ちゃんですね?私は〈宮古みやこもも〉。よろしくお願いします」


 自己紹介を終えたオレたちは、ヒントこと宝の地図を求めて歩き出した。


「大我君…カッコよかった…。もしかして彼が私の…」

「宮古さん、どうかした?」

「いいえ、なんでもないわ大我君。さあ、行きましょうか」


 この宮古さんからはなにか面白そうな匂いがするな。


 今度はどんな面白いことが見れるんだろうか…。


 そんなことを思いながら、今度こそオレたちは移動を開始した。

お読みいただきありがとうございます!

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