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78 確信

 この店に来て多分一時間くらい経った。


 オレはもう何杯目になるかわからないジュースを飲みながら、ひたすらに料理を食べていた。


「放っておいてゴメンね大我…。大我?なんか顔赤くない?」

「へ?」


 そういえばさっきから、なんか暑いなとは思ってたんだ。


「ここ暑いからじゃない?汗掻いてきたし…」

「ここそんなに暑くないけど…。って、ちょっと待って!アンタなに飲んでるの!?」

「なにって…オレンジジュースだけど…」


 ほら、と樹里愛にグラスを見せる。


「ちょっともらうわね…」


 と、樹里愛はオレの飲みかけのオレンジジュースを少し飲む。


 どうしたんだろ?


「これお酒じゃない!?」

「お酒じゃないよ?カシスオレンジって名前の…」

「カシスオレンジって名前のお酒なのよ!」


 そうだったのか…。


 通りでなんか変な味がすると思った…。


「アンタ体調はなんともない!?」

「別になんとも…ヒック…」


 あれ?


「ヒック…ヒック…。……なんともないよ?」


 ほら、と立ち上がってくるりと回ってみせる…実際は回れずに途中で樹里愛の方に倒れ込んでしまったが。


「ね?」

「ね?じゃない!これのどこがなんともないのよ!?」

「この状態でなんともないって言い切れるの、大したもんですね。この子、大物になりますよ」

「褒めないで渡辺さん!この子、褒められるとすぐ調子に乗るんだから!」


 そんなことない…と言い返そうとしたが、思うように声が出せなかった。


 なんか…体がおかしい…。


「お客様、どうかしましたか?」

「この子未成年なんですけど、ジュースと勘違いしてお酒飲んでたみたいで…」

「ねえ樹里愛…」

「なに大我!?」


 周りが騒然となり始める中、オレは一言、樹里愛へ伝える。


「気持ち悪い…」

「もうちょっと我慢して!!」


 樹里愛がそう言って、オレを引きずるように移動させようとした瞬間、突然目の前が真っ暗になる。


 これって……。


「皆さまデモンズゲームへようこそ」


 やっぱりデモンズゲームか…。


 いつもなら喜ぶところなんだけど、今は別だ…。


 気持ち悪い…。


 

~樹里愛SIDE~



「よお!樹里愛…ってどうしたんだ?あれ?その脇に抱えてるの、大我か?」


 初参加のプレイヤーへ対してナビゲーターが説明をしている中、ジョナサンが声を掛けてくる。


 本当なら、いろいろ情報交換とかしたいところなんだけど、今はそれどころじゃない。


「ええ、そうよ。この子、お酒をジュースだと思ってがぶがぶ飲んじゃってたみたいで…。私の監督不行き届きだわ…」


 場を盛り下げないためとはいえ、私が男の人たちに良い顔をしていて、この子を放置していたせいだ…。


 そのせいで、この子はこんなにも苦しんでいるのだ。


 自分の馬鹿さ加減に嫌気が差す…。


「がぶがぶって…。ちなみに何をどれくらい飲んだんだ?」

「カシスオレンジを一時間で恐らく15杯以上…」

「それ大丈夫なのか…?」

「魔力があるから急性アルコール中毒にはなってないみたいだけど、初めてのアルコール摂取だろうし、安静にするに越したことはないわね…」

「どうしたんだ大我のヤツ…?」


 ジャンもやって来たので事情を説明する。


「なるほどな…。俺も飲みすぎの経験はあるが、最悪なんてもんじゃなかったからな…。大丈夫か、大我?」

「大丈夫じゃない…。気持ち悪い…」

「だろうな」

「というか、なんでそんなに短時間に飲んだんだよ?普通のジュ―スだってそんなに短時間に飲まないだろ普通?」

「だって…樹里愛が…」

「私?」

「樹里愛が他の男の人と楽しそうに話してたから…」

「「は?」」


 ジャンとジョナサンの声が重なる。


「樹里愛が他の男の人と話してるのを見たら…なんか嫌な気持ちになって…。だから…」

「だからジュースがぶ飲みしてたのか?いや、実際は酒だったみたいだが…」

「だって…樹里愛が他の人と話してるのを見るのは…面白くないし…楽しくないし…」

「まんまお姉ちゃんを取られたくない弟の発言だな…」

「愛されてるな樹里愛」


 いつもならジョナサンの発言にもうまく返せていたかもしれないが、今の私にはできなかった。


 この子の言葉に胸が締め付けられるようで、それだけで頭がいっぱいだったのだ。


「オレはただ…面白いものを見て…楽しく生きたいだけ…なのに…。それなのに…樹里愛に蔑ろにされると全然楽しくない…。これからも…ずっと一緒に…楽しいことをして…ずっとオレが笑顔でいられるようにしてあげるって…そう言ってたのに…。嘘つき…」


 そう言って大我は気を失ってしまった。 


 ジャンとジョナサンが大我に声を掛ける中、私は大我の言葉に胸が張り裂けそうな錯覚を覚えていた…。


 だって…それは…その言葉は…あの子の…。


 ああ…やっぱりこの子は私の…。


 疑念は確信へと変わっていた。




お読みいただきありがとうございます!

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