72 命の選別
本日2度目の最新話投稿です!
お読みいただければ幸いです!
「代用品…?」
亡くなった弟の…代用品…?
「あなた…何を……?」
「だってそうじゃないですか?昔亡くした弟さんと同じ名前で、同じような無鉄砲な性格で、おまけに自分を庇って亡くなった弟さんと同じように守ってあげるよなんて言われて…!大我君、面白いくらいスペンサー先生のトラウマを抉ってて…!先生のトラウマを探ろうと、少し味見するだけのつもりだったのに、まさかこんな極上の獲物だったなんて!?こんなの、手を出すなって方が酷ってモンじゃないですか!?」
なるほど、そういうことか…。
いくらなんでも樹里愛の態度は出会ったばかりのオレに対して、おかしいとは思っていたんだ。
昔亡くしたっていう弟と重ね合わせてしまってる部分があるのかな?と思ってはいたが、まさか共通している部分が多すぎてトラウマ抉ることになっていたとは…。
「樹里愛…。今のは…」
「ち、違うのよ大我!?私はアンタをあの子の代用品と思っていたわけじゃ…!?」
「ホントですか、それ?」
楠本が心底楽しそうに笑いながら樹里愛へ疑問を投げかける。
クソムカつく顔だ、殴り飛ばしたい…!
「違う、違うのよ大我!?お願い信じて!!」
「わかったから!落ち着いて樹里愛!」
そりゃ代用品と思われていたってのは良い気はしないけど…。
「というかスペンサー先生、まさか私がなんの確証もなしに御二人のことを姉弟なんて言っていたと思っていたんですか?」
それに関してはあのクソ神父が直前に紛らわしいことを言っていたのが悪い。
単純にプレイヤーだったから、オレたちの魔力の波長を感じて姉弟だと思ったんだなとしか思わなかった。
「私はしっかりとあなたのトラウマから推測して言葉を発していたんですよ?そう、全てはこうしてあなたを追い詰めるために…。そしてその計画は成功した。だってそうでしょ!?あなたは今そんなにも絶望した顔をしていて、それを見ている私はこんなにも楽しいのだから!!」
「下種野郎だなアンタは…!」
オレに幻滅されたと思った樹里愛は、さっきからオレへと弁解の言葉を発している…。
かなり動揺していて、そのうえ過呼吸まで引き起こしていて…。
これでは…。
「違う…違うのよ大我…。私…私…!?」
最後にそう言って、案の定、樹里愛は気を失ってしまった。
何故かはわからないが、樹里愛をこんなにも苦しめているこの女に対する怒りが、さっきから抑えられなくなってきている…!
怒りを胸にブーストダッシュを使い、一瞬で楠本の眼前へと到達し、宣言する。
「オレの楽しみは、アンタみたいな下種野郎に、相応しいバッドエンドを味合わせることなんだ…!だから、アンタはオレの楽しみのために犠牲になってくれ!!」
その言葉を皮切りにヤツの顔面へ拳を叩き込む。
相手は女だが、最早そんなこと頭の片隅にもなかった。
今はこの女を一刻も早く叩きのめしたい。
そんなことしか頭に無かった。
「ぐ…!さすがに手荒過ぎないかしら?あなたの大切な常盤さんは今、私の手の内ってことを忘れてない?」
「良く回る頭と舌だな?やれるもんならやってみろよ?その前にアンタを殺してやる!」
「あなた、ホントに数か月前まで一般人だったの!?イカれてるわね!?」
「言い残すのはそれだけでいいのか!?なら死ね!!」
爆破が使えないのなら、単純な力でその頭蓋骨を粉砕してやる。
そう思い拳に魔力を込めると、見たことのない青色の炎が灯った。
また知らない能力の炎か…。
まあ、使ってみればどんな能力なのかわかるだろう。
「物は試しだ…喰らえ!!」
青色の炎を纏った拳を楠本へと叩きつける。
「きゃあああ!!!なにこれ!?痛い!なんなのよこれ!?」
なにが起こったのか説明すると、楠本はオレの拳に対して、電撃を纏った棍棒でガードを試みた。
しかし、青色の炎を纏ったオレの拳は、その棍棒を砕いて楠本の顔面へと吸い込まれる。
「なんだこれ…?凍ってる?でも動く…?」
そう、青色の炎を纏っているオレの拳は、明らかに凍っていたが、なぜか動くという不思議な状態になっていた。
そして、そんなオレの拳に殴られた楠本の顔には、とても硬い物で殴られたような傷と、冷たいものを押し付けられたような痕が残っていた。
つまり、この青色の炎の能力は…。
「凍結能力か…。しかも、相手の異能の能力も無効化するらしいな」
あの電撃を無効化したことから考えると、それしかあり得ない。
どこまで無効化できるのかはわからないが、これはかなり強力な能力だ。
だが今は…!
「これで周りへの被害を気にすることなく、アンタをボコボコにできる!!」
楠本の顔面を五、六発ぶん殴る。
その後逃げようとしたので、地面ごと足を凍結させて、強制的に止める。
これで思う存分殴れるな。
「う、動けない!?待って大我君!?いいの!?このままじゃ常盤さんが…」
「今すぐ舞衣さんを解放するなら一生ベッドから出られない程度で抑えてやる。今すぐ解放しないなら…」
「か、解放するわ!?」
そう言った直後、今までなにも無かった空間に気を失った舞衣さんが現れる。
良かった、気を失ってるだけみたいだ。
「さてと…。ホント好き勝手してくれたよなアンタ?覚悟しろよ?」
「い、いやぁ…!こっちに来ないでー!!」
そう言って逃げようとする楠本。
「無駄だ!」
楠本へとどめの一撃を与えるために魔力を練る。
と、その時。
「死ねあのクソ女ー!!イケメンをとっかえひっかえしやがって!!死ねー!!」
随分俗物的なゴーストが現れた。
なんだいきなり。
「消えなさい、不浄なる魂よ」
これまた突然現れた姫路が中二的なセリフを吐きながら現れ、巨大な白い炎を纏った剣を振るう。
「え?」
だが、その標的はゴーストだけではなく…。
「きゃあああ!?」
ゴーストと共に楠本まで一刀両断する。
なにしてんだコイツ!?
オレの疑問とは裏腹に、姫路は問題は片付いたとばかりに残心を行っている。
人殺した直後にその態度とか、どの口でオレのことを責め立てていたんだよマジで…。
「おい、どういうつもりだよ」
「なにがかしら?」
「なにって…ゴーストだけじゃなくて人まで殺してんだろ!?」
「彼女は無垢なる人間じゃないわ。プレイヤーという力を持つ側の存在でありながらゴーストに力を貸した、謂わば堕落した罪深い存在よ?私たちからしたら排除すべき悪よ」
「なんだそれ…。結局自分たちで救うか殺すか選んでるだけじゃんか…。それで正義とか悪だとか…」
「なにが言いたいのかしら?」
「独自の価値基準で人の命を救うか、奪うかを勝手に決めたり、人の家族に当然のように催眠をかけたりするとか…とんでもなく傲慢な集団なんだな〈聖王教会〉ってのは」
そんな傲慢な連中が正義面をして人に説教とか…反吐が出る。
「私たちが救うのは無垢なる人々であって、力がありながら悪に堕ちた者たちではない。それだけのことよ」
「力を持っておきながら悪に堕ちた者を救う必要が無いってのは、個人的には文句はない…。だが、誰を生かし、誰を殺すのかを自分たちの価値基準で勝手に決めてるのは傲慢そのものだろ」
まあ、それはオレも同じなので、強くは言えないんだが…。
「いちいち人の癇に障ることしか言えないのかしら?」
「一つの貴重な意見ってヤツだと思うけどね…。まあ、傲慢なお前らには届かないんだろうけど…」
姫路はきっと自覚が無いんだろうな…傲慢にも命の選別をしているということに…。
今後もアイデアがあふれて止まらない時は、1日2度の投稿をしていこうと思いますので、これからもよろしくお願いします!




