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57 招かれざる客

 その日の夜、オレとレイラはくだんの廃病院へと来ていた。


「雰囲気バッチリだねここ。まさに悪霊います!って感じ!」

「たしかにね。さて、目的のプレイヤーとゴーストはどこにいるかな?」


 そう言って魔力探査を始めるレイラ。


 オレもやってみるか。


 魔力を操作して周囲の気配を探る…。


 ……………。


 うん、特に何も感じられない。


「レイラはなにか感じる?」

「いや…。これは厄介そうな相手だね…」

「そんなこと言いながらレイラ、楽しそうだね?」

「そう見えるかい?」

「まあね。でも気持ちはわかるよ?こういう非日常感、オレもワクワクして仕方ないし」

「そうだね。私たち、気が合うのかもしれないね?」


 レイラみたいな綺麗なお姉さんに気が合うのかもしれないとか言われて、テンションが上がらない男子高校生がいるだろうか?


 いや、いない(断言)。


「じゃあ、病院に入ろうか?」

「うん」


 ということで、これから起こることに対する楽しみからか、そわそわしながら廃病院に入る。


 事情を知らない人たちから見たら完全に肝試しに来たけどビビって挙動不審になってる陽キャか単なる不審者だなオレ…。


「ロビー…だよねここ?かなり荒らされてるけど…」

「ああ、恐らく肝試しや廃墟探索に来た連中が荒らしていったんだろうね…」


 ホントああいう連中のすることは理解できないな。


 不法侵入だけでも意味わからんのに、そのうえ中を荒らしていくとかどういう神経してんだろうな?


 真人間のオレには理解に苦しむ行動だ。


「さて、これからどうする?この前みたいに二手に分かれて目標を探す?」

「いや、今回は一緒に行動しよう…。この静けさ…。嫌な予感がする…」

「嫌な予感?」

「招かれざる客がすでに来ているかもしれないってことさ」


 招かれざる客…。


 それって…。


「さっき言ってた教会の連中ってこと?」


 今日初めて話した同級生が思い浮かぶ。


 いや、彼女はこの街の教会の世話になってるだけなんだろうし、無関係なんだろうけど。


「そうとは限らないよ?」

「え?どういうこと?」

「そのうちわかるさ」


 レイラはそう言うと、病院の奥へと進んで行く。


 なのでオレも急いで追いかける…が、なんだろう…?


 先へ進むにつれてなにかこう…そう、なにかの匂いが強くなっていく感じがする。


 なにか匂いがするものが近くにあるというよりも、『これは危険だ』という直感がするような匂いを感じているというか…。


 よくわからないが、そういえばこの匂い、あのモンスター通り魔が近づいてきた時にも感じたような…?


「ストップだ大我!何者だ!」


 え?そこに誰かいるのか?


 急いで気配察知をするが、オレには気配が察知できなかった。


「レイラ、オレには誰も察知できないんだけど、レイラには誰かいるのがわかるの?」

「ああ、間違いなく誰かいる。しかもこの気配…。恐らく…」

「まさか気づかれるとは…。だが、相手が君ならば仕方がないな…ローレンス」


 そう言って姿を現したのは長身かつ細マッチョな感じのイケメンだった。


 誰だコイツ?


 レイラの知り合いみたいだけど…。


「ゲイル…。なんで君がここにいるんだい?」

「それはこちらのセリフなんだが…。もしやハンターズギルドも犯罪者プレイヤーを狙っているのか?」

「まあ、犯罪者プレイヤーだけではないんだけどね…。概ねそちらの予想通りだよ」

「そうか…。できれば君たちとの戦闘は避けたいんだがな…。一応聞くが、犯罪者プレイヤーの身柄を我々に預けるつもりは…「ない」…聞くまでもなかったか…」

「ねえ、レイラ?あの人って一体…?」

「大我。彼の名はフラッシュ・ゲイル…。サバイバーズギルドの現トップ……そのうちの1人だ」

「サバイバーズギルドの!?ん…?あれ…?トップってことはアレックス爺さんの後任の人ってこと…!?」

「そういうことさ」


 そのフラッシュの顔を見てみると、何故か彼はひどく驚愕したような表情をしていた。


「……?どうしたんだいゲイル?」

「今、彼のことを大我と呼んだのか…!?も、もしかして彼が阿久津大我かい!?」

「オレを知ってるのか?」


 なんでオレの名前を知ってるんだ?


 向こうはサバイバーズギルドなんて巨大な組織の現トップ……いわば雲の上の存在だ。


 そんな人が何故?


「ああ…。なんせ我々の元リーダーが死んだゲームをクリアした人間だ。知らないわけがないさ…」


 ああ……そう言われればたしかにそうだよな…。


 サバイバーズギルドのサポーターがあのゲームを見ていないわけないだろうし、そのサポーターから優勝者であるオレの名前を聞いていても不思議じゃない。


「もしかして、元リーダーが死んだのにオレみたいな新参者が生き残ったのが気に食わないとか、そんな感じの流れ?」


 そうだとすると非常に困ったことになる。


 今のオレがあの人に勝てるわけないし…。


「いや、そんなこと思っていないさ。まあ、アレックスさんが死んでしまったことに関してなにも思わないわけではないが、我々のサポーターからなにがあったのかは聞いているからね…。ただ、見ておきたかったんだ…最後にアレックスさんが命を懸けて守った人が、どんな人なのかを…」


 そういうことか。


 まあ、気持ちはわからなくもない。


 それにサバイバーズギルドの人たちは仲間想いの人たちばかりだったしな。


 彼も同じなのだろう。


「アレックス爺さんたちのおかげでオレは生き残れた。アレックス爺さんは…いや、彼らはオレの命の恩人だよ」

「そう言ってもらえてよかった。アレックスさんや仲間たちも喜んでいるさ、きっと…」


 そうだといいな…。


 アレックス爺さんは間違いなく善人だったので、できればあんな最期ではなくハッピーエンドを迎えてほしかったんだけどな…。


 ホント、あのイキりヘタレクソザコチンピラのせいでこんなにも悲しむ人が増えることになってしまうなんて…。


 猶更アイツの面白おかしかったであろう最期を見れなかったことが悔やまれるな……。


 

お読みいただきありがとうございました。

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