56 経験
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「仕事ってさっき言ってたみたいに悪さをするプレイヤーを捕まえたり、ゴーストを退治したりするってヤツ?」
「そうよ。ちょうど今、少し厄介な仕事があってね?それを二人に受けてもらえないかなって思ってね?」
「はあ…。大我気をつけなよ?こうやって仕事を振って使えると判断したら大量の仕事を押し付けてくるのが彼らのやり方なんだ。実際、私も気づいたら大量の仕事を押し付けられてたからね」
うわあ…。
それってオレもターゲットにされてるかもってこと?
怖ぁ…。
「人聞きの悪いこと言わないでよ、もう!?まあ実際、レイラちゃんをハンターズギルドに引き込むためにいろいろと画策したって話は聞いてるけど……」
「じゃあ誤解でもなんでもないじゃん。なに?組織同士で人員確保するために暗闘とかしてるってこと?生々しいね…」
「将来有望な人員を確保するっていうのはどこの組織でも死活問題なのよ、仕方ないでしょ?でもウチは他の組織よりまだマシな方よ?運営はまだしも、クエストを受けるだけのプレイヤー陣はたとえ他の組織に属していようとウチの施設を利用可能だし。だからそこまで露骨に勧誘したりはしてないのよ。ほら、現にレイラちゃんだって基本はフリーでしょ?まあ、たしかに結構な数の仕事を振ってしまってるけど…」
「なるほどね。サバイバーズギルドとかと違って、キッチリ組織に所属しなくても好きにクエストを受けたりできるってことか」
「そういうこと。他にも現金や魔力を対価にアイテムを売ったりしてるわよ?ちなみに悪魔に回収されていないアイテムを手に入れることができたら買取もしてあげるわよ?」
「悪魔に回収されてないアイテムなんてあるの?」
「ああ。プレイヤーが死ぬとそのプレイヤーの異能がアイテム化するんだけど、ゲーム中に死ぬと悪魔がそれを即回収してしまうんだ。でも稀にゲーム外で死ぬプレイヤーもいてね。その場合、本来は悪魔やサポーターの悪魔に依頼されたプレイヤーが回収しに来るんだけど、そいつらより先に手に入れてしまえば自分の物にできるんだ」
「つまりゲーム外で発生したアイテムに関しては早い者勝ちってこと?」
「そういうことだね」
「まあ、ゲーム外でアイテムを手に入れる確率なんてそんな高くないから、そんなに気にしなくてもいいわよ?それより仕事の話なんだけどね?これが結構厄介なものなのよ…。だからレイラちゃんと、それとできれば大我ちゃんにも受けてもらえればと思ったんだけど、どうかしら?」
「私は構わないけど、大我はどうだい?」
「オレも構わないよ。何事も経験!て言うしね」
「ふふ、そうかい…。他にも日本では、経験に勝るもの無し!って言葉もあるんだよね?」
「そうそう。よく知ってるね?」
「ふふ…。日本の言葉はカッコいいから好きなんだ」
「仲良いわねあなたたち…。邪魔して悪いんだけど、仕事の説明をしても構わないかしら…?」
なんかマリーさんがかなりげんなりした顔で俺たちに語りかけてくる。
どうしたんだろ?
「それで?どんな仕事なんだい?」
「それがね、魔力を使って悪さをする犯罪者プレイヤーと怪異、どっちも関わっててね、かなり厄介なことになってるみたいなのよ。だから早急に解決してほしいんだけど、構わないかしら?」
「となると今から動くことになるから、多分夜中まで掛かることになるだろうね。大我、どうする?」
「今から動こう。大丈夫、オレは凄くワクワクしてるよ!」
「ふふ、そうかい。なら受けさせてもらおうかな。マスター、詳しく聞かせてもらえるかい?」
「オーケーよ。まずね、事の発端なんだけど…」
マリーさんから聞いた話をまとめるとこうだ。
魔力で悪事を働いて逃げた犯罪者プレイヤーが廃病院に逃げ込んだが、その廃病院にはその病院で亡くなったゴーストが棲みついていた。
そしてその廃病院に肝試しをしに来た子供たちや廃墟マニアに悪さをしているらしいので、即刻対処してほしいとのことだった。
「話はわかったけどさ、その犯罪者プレイヤーはゴーストになにか悪さされたりしてないの?」
「魔力を持つ者は怪異に対しての抵抗力を持っているからね。ほら、霊能力を持つ者は幽霊に乗っ取られにくいとかって話があるだろう?あれって、魔力を持つ者がゴーストに対して抵抗できるって話が曲解されて広がった結果、そういう話になったんだ」
マジかよ。
ってことはもしかして…。
「霊能力者って言われてる人たちって魔力を持ってる人たちのことなの?」
「そうだよ?魔力で感知能力が高まった結果、幽霊…というよりゴーストを知覚できるようになった人たちを一般人が霊能力者って呼んでるんだよ」
「へえ…そうだったんだ。ってことは、霊能力者って皆デモンズゲームのプレイヤーってこと?」
「一概にそうとは言えないかな…。レアアイテムの中でも珍しい『イリーガルアイテム』と呼ばれる悪魔や天使自身が作ったアイテムによって魔力に目覚めるものもいるし。ちなみに、教会の騎士やシスターはみんなこのイリーガルアイテムによって魔力に目覚めた者たちなんだ」
「そうなの?『イリーガルアイテム』ねぇ…。でもそんなものがあったら、世界中魔力持ちの人間だらけにならない?」
「それは大丈夫。そもそも『イリーガルアイテム』を使えるのは強力な魔力を持つ者だけだからね。それに、一度使うと次に使えるようになるにはそれなりの時間が必要になるし」
「へえ、やっぱり強力な力を持つアイテムってのは、早々自由に使えるものじゃないんだね」
「そういうこと。ちなみに日本にも『イリーガルアイテム』で魔力に目覚めた人はいるよ。ほら、有名な神社とかで働いてる人で霊能力者の人とかってたまにいるでしょ?そういう人たちは『イリーガルアイテム』によって魔力に目覚めた人なんだ」
「ああ、なるほど…。有名な神社で祀られているのが『イリーガルアイテム』だったりするのか」
「そういうことさ」
そう考えると意外と魔力ってのはオレたちの身近にあったんだな。
まったく気がつかなかったけど。
「それで、依頼としてはそのプレイヤーとゴースト、どっちもぶっ飛ばせばいいんだよね?」
「簡単に言うとそうね。でもプレイヤーの方は出来れば生きて連れて帰って頂戴。手配されたプレイヤーは私たちの方で処罰することになっているから。でも、無理そうならそこまで無理しなくてもいいからね?報酬は少し減るけど、殺してしまったからってペナルティとかは特にないから」
生死は問わないのか。
まあ、利用できるならなにかしらに利用しようって考えで生きたまま連れてこいと言っている可能性もあるけど、なによりもまず他人に迷惑を掛け続ける害悪プレイヤーを排除するのが第一ってことなんだろう、多分。
「説明は以上だけど、他に質問はあるかしら?」
「オレは特にないけど、レイラは?」
「教会の連中に鉢合わせた時はこちらの判断で動いて構わないね?」
「ええ、構わないわ。その代わりなにかあっても自己責任でお願いね?」
「つまりいつも通りってことでいいんだね?了解だ」
これがいつも通りなのか…。
この殺伐としていてカッコいい雰囲気…。
なんかワクワクしてきたぞ!
お読みいただきありがとうございます。




