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54 働きたくないでござる

「ついてくるなって言ったわよね私?なんでアンタら2人がいるのよ?」

「心外だな。オレたちだってうまいホットドックを食べたかったんだよ。なあ、ブンヤ?」

「そうそう。そこに偶然3人がいた。それだけのことだろ?」


 予想通り三橋から大ブーイングを受けるオレたち2人。


 ちなみに賄賂(大量のホットドック)を渡してもダメだった。


 女子に対する賄賂としては下の下の下でしょ、太れってか!とのこと。


 メンドクセェなコイツ…。


「少しくらい太っても大丈夫だろ…。てか、むしろ三橋はもう少し太った方が健康的に良いんじゃ…」

「たっくん。男の子と女の子だと太るの基準が違うんだよ?そこを理解しないで踏み込んできちゃダメ」

「そうよ阿久津!アンタはホントにデリカシーってヤツがないわね!愛衣、一度コイツをしっかりと教育するべきだと思うわよ!」

「たしかにねぇ…。私に対してなら別に気にしないんだけど、他の人にも同じように接しちゃうのは少し問題かも…」

「噂通り常盤さんは大我の保護者だったんだな…」

「人聞きの悪いこと言うな」

「ふふ、でも素敵ね、2人の関係って。お互いを思いやっているのが言葉の端々からわかるもの」


 そうか?


 いつものこと過ぎて実感が湧かないけど…。


「姫路だって家族に対しては似たような感じじゃないのか?そうだ、姫路の家族の話聞かせてくれよ?たしか帰国子女なんだろ姫路って?外国での暮らしとか興味あるし」

「え~と、ごめんなさい…。私の両親は10年以上前に亡くなってて…。今年の3月までアメリカの教会でお世話になってて、4月からはこの街の教会でお世話になっているのよ…。だから家族の話は…」

「あ~…、まあ、知らなかったとはいえ、なんかゴメンな…」

「ゴメンね姫路さん…。たっくんが失礼なこと聞いちゃって…」

「ふふ、構わないわよ。もう昔のことだし」


 そう言ってくれるのはありがたいが、姫路以外の視線が痛い…。


「ホントに気にしてないから大丈夫よ。教会の皆は良くしてくれるし、お仕事を手伝うのも好きだし…」

「教会の仕事って興味あるな。そうだ!今度手伝いに行ってもいい?」

「あ!私も行ってみたい!」

「ええ、構わないわよ。神父様には私から話しておくわね」


 ブンヤも三橋も果報者だなぁ。


 オレは出来る限り労働なんてしたくないんだけど…。


「私たちもいいかな?ね、たっくん?」

「オレは出来れば遠慮したいんだけど…。できるだけ働かずに生きていきたいし…」

「そのクズ精神を叩きなおすためにもアンタも参加決定ね」

「おい三橋。さすがにクズ精神は言い過ぎだと思うぞ?オレだってやる時はちゃんとやるんだからな?」

「じゃあそれを見せてもらうためにも参加決定ね?」

「頑張ろうねたっくん!」

「それじゃあ日時を決めましょうか?」

「できるだけ早い方がいいんじゃないか?時間を空けると予定入れて逃げるヤツでそうだし」

「その手があったか…」

「じゃあ、逃がさないためにも最速の方がいいわね。姫路さん、今週末って大丈夫?」

「え?ええ、構わないと思うけど…皆は大丈夫なの?」

「私は大丈夫」

「俺もだ」

「私たちも大丈夫だよ。ね、たっくん?」

「いや、オレはほら、予定が入るかもしれないし…」

「問題ないって。じゃあ姫路さん、お願いね?」

「ええ、話は通しておくわね」


 オレの希望が一切通らずにいろいろ決まってしまったんだけど…。


 ああ……働きたくないでござる…。



 その後も5人でいろいろ話していたが、待ち合わせの時間が近づいてきたため、オレは一足先に抜けさせてもらった。


 中々に楽しかったなぁ…。


 ブンヤも姫路も話しやすかったし、なにより良いヤツらだった。


 予定が無ければもう少しおしゃべりに興じていても良かったかも…。


 だが、今はこっちの方が大事だ。


 というわけで待ち合わせの場所に着いたので、待ち人を待つ。


「お待たせ大我。もしかして待たせたかい?」

「大丈夫だよレイラ。オレも今着いたばかりだから」


 そう、オレが待っていたのはレイラだったのだ。


「それじゃあ行こうか?」

「ああ。今日はよろしく頼むよ」

「ふふ、心得た」


 というわけで出発する。


 どこに行くのか?


 なんと今日はハンターズギルドに連れて行ってくれるらしい。


「楽しみだなぁ、ハンターズギルド。やっぱり基本は酒場みたいな感じなの?」

「うん、そうだよ。日本のゲームでよくある感じだね」

「いいね、オレそういう雰囲気好きだよ。で、どうやって行くの?」

「これを使うんだよ」


 そう言ってレイラが取り出したのは、なにかの紋様が描かれたカードだった。


「なにこれ?」

「一番近くのハンターズギルドへワープするアイテムだよ。これが無いとギルドへ行くのは結構面倒でね…。基本は目立たないように隠れて活動しているから…」

「まあ、面倒ごとを避けるためにも隠れるのは当然だよね。でも、そういうアイテムって結構重要なモノなんじゃないの?」

「まあね。私は報酬目的でよく各地のクエストを受けてるから、その関係でもらえたんだけど、基本は高いお金を出して買わなきゃいけないみたいだよ?」

「それってギルドにとってレイラは有用って判断されたからもらえたってことだよね?さすがだなぁ、レイラは…」

「そんなことないさ。きっと大我はすぐに私に追いつくよ」


 この前も思ったけど、レイラに言われるとなんか自信が着く。


 この期待に応えられるように精進しなくちゃ!


「それじゃあ行こうか?」


 レイラの声が聞こえた直後、辺りが転移の光に包まれた。

 

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