53 秘密組織
「それじゃあまたね新君、阿久津君」
「たっくん、新君、2人ともまたね」
「ついてくるなよ2人とも!じゃあまた明日!」
3人が去っていくのを見届けたので、オレも帰ることにする。
待ち合わせの時間にはまだ余裕があるので一旦家に帰るつもりだ。
「じゃあオレたちも帰ろうか?」
「え?オレ、新君と一緒に帰るの?初耳なんだけど」
「別にいいだろ?これもなにかの縁ってヤツさ」
「縁ねぇ……。まあ別にいいけど」
「よっしゃ決まり!それとオレのことは新君なんて堅苦しい呼び方しなくてもいいからな。皆と同じように〈ブンヤ〉でいいよ」
「ならそっちもオレのことは名前でいいからな。こっちだけ苗字で呼ばれるとかなんか落ち着かないし」
「了解だ大我。あ、うまいホットドッグ売ってる店知ってるんだけど、そこ寄って行こうぜ?」
「ハイハイ、じゃあ行こうか」
「そういえばこの辺りだったよな、あの事件の現場って」
歩いている最中にブンヤにそう言われて思い出す。
そういえばこのあたりだったか…。
たった数日前のことだってのに、かなり前のことのような気がする。
「あの事件、結局犯人は捕まってないらしいよ?」
「へぇ、そうなのか。ちょっと不安だな。早く捕まってくれることを祈ってるよ」
まあ、そんな日は一生来ないんだけど。
なぜならオレが跡形もなく消し飛ばしてしまったからな、ははは。
そういえば、何故あの時モンスター通り魔を消し飛ばすことができたのか…。
その理由はすでに判明している。
あの時新しく発見した黄色い炎。
あの炎はオレの力を強化する能力があったらしい。
そのおかげで以前とは桁違いに強力な力を発揮できたというわけだ。
この力も未来の記憶には無かった力だ。
エリーが言っていたように記憶が改竄された結果、元々持っていた橙色の炎と黄色の炎の記憶が無くなってしまったのか。
それとも本来の世界と違う未来へ分岐した結果、新たに目覚めた能力なのか。
皆目見当もつかない。
だがまあ、正直そんなに気にしてない。
結局のところ、オレは面白おかしく人生を楽しめればそれでいいのだ。
細かいことなんて正直どうでもいいし。
そういう頭脳担当がやるようなことはエリーに任せておけばいい。
「でもイカれてるよな。あんなにたくさんの人を殺しまわるとかさ」
「たしかにな…。正直本当に人間がやったことなのかって思っちゃうよな」
実際やったの人間じゃなかったしな。
アイツ一体何だったんだろうな?
あの日から毎日考えてるけど、正体はさっぱりだ。
エリーも調べてるけどわからないって話だし。
「それはそうと姫路とは仲良いのか?」
「まあ、よく話はするけど…。なんでだ?」
「いや、オレは今日初めて話したからな。正直もっと話しづらいヤツってイメージあったんだけど、そうでもなかったからさ。どういうヤツなのかなって少し興味が出たというか、ぶっちゃけ暇だし、噂の完璧超人の話でも聞いてみようかなって」
「そういうことか。まあ、別に構わないけど。といっても、普段から噂通りの完璧超人って感じの人だぞ?性格良いし、物腰柔らかだし、成績良い上に教えるのも上手っていう…」
「漫画のキャラかよ…。そして運動神経もいいんだろ?さすがだな」
「ははは…。まあ、たしかにね…」
「これで秘密組織のエージェントでした!とかって設定だったらマジで漫画のキャラで笑えるんだけどな」
「ゲホッ!ゲホッ!た、たしかにな…。で、でもそんな秘密組織なんて存在するわけないだろ…?大我は面白いこと言うなぁ…!」
なんだこの反応?
まさかマジなのか?
そしてブンヤはなんらかの事件に巻き込まれて姫路の秘密を知ってしまい協力しているとか、そんな漫画的展開になっているとか…?
な~んてな。
そんなことあるわけないか。
デモンズゲームに参加するようになって非日常の世界を経験してしまったからか、最近そんな漫画みたいな展開をよく想像するようになってしまった。
気を付けないとな、世界はそんなにも面白いことで溢れているわけではないんだし。
「だよなぁ…。でもそういう組織って存在していてほしいよな?絶対に面白いだろうし」
「まあ、それには同意するけど…。と、ここだよここ。うまいホットドッグを売ってる店!」
「へえ…。キッチングカーか」
目の前にあったのはホットドックを販売しているキッチングカーだった。
凄いいい匂いがしてくる。
この匂い…食欲を刺激してくるんだよなぁ…。
「なんでキッチングカーって見るだけでこんなにワクワクする上に腹減ってくるんだろうな?」
「わかるわかる。キッチングカーを見ると無性に腹減ってくるよな」
そんなキッチングカーあるあるを話ながら行列に並ぶ。
てか、行列が出来ているとか、この店って結構な人気店なんだな。
と、そこで見覚えのある姿を目にした。
「あれ、姫路?」
「新君に阿久津君…?どうしてここに…?」
「ブンヤがホットドッグのうまい店があるって言うから来たんだけど…」
「3人もこの店に来てたのか?奇遇だな」
「ふふ、そうね。あっちにあるテラス席を取ってるんだけど、一緒に座る?いい機会だし、阿久津君ともお話してみたいし」
「出来ればお願いしたいかな?な、大我?」
「まあ、可能ならな…。でも三橋が嫌がる気がするんだけど…」
「きっと大丈夫よ」
というわけでオレたちは各々ホットドックを(賄賂として愛衣と三橋の分も)買ってテラス席へと向かうのだった。




