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49 クズの末路

~大我SIDE~



「レイラ、こっちの方角であってる!?」

「ああ、間違いない!!」

 

 オレたちは今ダッシュでモンスター通り魔の気配がする方へ急いでいた。


 気配がする方というか、レイラが言う方へだが…。


 なにせオレには気配が察知できないのだ。


 だからレイラの言う方へ走るしかない。


 ちなみにレイラが言うには、近くに一般人が2人もいるらしい。


 何してるんだろう、命が惜しくないのかな?


 そんなことを考えていたらオレにもモンスター通り魔の気配が察知できた。


 つまり現場はもうすぐ近くといったところということだ。


「いたよ大我。見える?」


 レイラに示された方へ目を向ける。


 結構な距離があるが、魔力で強化された視力なら遠目に今どんな状況なのか確認できた。


 ふむふむ。


 なんかあの嫌味な爺さんが襲われかけていて、近くには誰かが倒れている。


 中々にスリリングな状況らしいな。


 おかげで誰もオレたちの存在に気づいていない。


 これは不意打ちのチャンス…!


 さっきの毒のお返しにその顔面、骨格整形ですか?って聞かれるくらいへこませてやる。


 覚悟しろよモンスター通り魔め…!


「さてと…。準備ができたら行こうかレイラ?」

「ああ…。っ!?危ない大我!!」

「え…!?がっ……!?」


 オレの横に瞬時に移動してきたレイラがなにかに吹き飛ばされるようにオレにぶつかってくる。


「痛ゥ…!!大我、無事かい!?」

「あ、ああ…。それよりも一体何が…」

「ふむ…。防がれたか…。やるな女…」


 目の前には巨漢の外国人の男が立っていた。


 今のはアイツが…?


「今の一撃…。大我、ヤツは危険だ…。片手間で相手をするのは無理だと思った方がいい…。と、なると道は2つに1つだ。協力してヤツを倒してからあのモンスターを倒しに向かうか、それとも…」

「二手に分かれるか、か…」

「そういうことだね…」

「そういうことなら話は簡単だ。二手に分かれよう。オレはモンスター通り魔を、レイラはあの男をそれぞれ担当する。どう?」

「私も同意見だが、いいのかい?」

「いいんだよ。てかさ、未熟者のオレにだってわかるよ?アイツが恐ろしく強いってことくらい。そしていくらレイラが強くても、オレを庇いながらだと勝ち目が薄いってこともね…」


 悔しいが今のオレだと足手まといにしかならない。


 ならオレはオレでできることを、あのモンスター通り魔の相手をした方が賢明だと思ったのだ。


「ふふ、そうかい…。大我は自分の実力を正しく評価し、最善を尽くすことができるんだね。君は強くなるよ、私が保証する」

「そう?ありがとう。レイラに保証してもらえるなら自信が持てそうだ…「話は終わったか?」……」


 巨漢の男がオレとレイラの会話に割って入る。


 なんつー空気の読めない男なんだ。


「せっかくレイラと楽しくおしゃべりしてたところなのに…。空気の読めないヤツだなアンタは…。オレみたいな年頃の男子にとっては、レイラのような綺麗なお姉さんとの会話は天国みたいなもんなんだぞ?しかもこの死地に赴く前の男女の会話っていう、恋が芽生えるかもしれない絶好のシチュエーションを邪魔するなんて…。アンタさてはモテないな?」

「む?そうか、邪魔をしてしまったか…、すまない。恋を芽生えさせ、愛を育むのは素晴らしいことだ。存分に語り合うといい」


 ジョークのつもりだったのになんかこう…、予想外の反応を返されてしまった…。


 さては真面目だなコイツ!?


「き、綺麗なお姉さん…?それに、こ、恋…?な、なんだか恥ずかしいね…」

「ホントにね!なんかゴメンね!!」


 照れてるレイラは凄い可愛いんだけど、なんか凄い居心地が悪い!!


「なんだ?愛を語り合わないのか?」

「そういうのは2人きりの時の方が盛り上がるんだよ!!というわけでここは頼んだよレイラ!!」

「え?あ、ああ!任せて!!」


 レイラの返事を聞きながらオレは足裏を爆発させて加速する、命名ブーストダッシュを使ってモンスター通り魔の元へと急ぐのだった。



 モンスター通り魔がお爺さんへとその凶爪を振り下ろす直前、その場に辿り着いたオレは瞬時に腕を炎にして魔力を限界まで込める。


 さっきは全身で行ったが、今度は腕だけ。


 準備が出来たので、ブーストダッシュでモンスター通り魔へ突撃、拳を叩き込む。


 そしてぶつかった瞬間に魔力開放!!

 

 中々の爆発が起こる。


 いいなこれ、結構な威力だ。


 なによりやっぱり爆発ってのはいいもんだ。


 なんせ綺麗だし。


「ぐああああ!!またおまえかくそがき!!」

「そうです、オレです。いい顔になったね、前よりイケメンに…。いや、何でもない…ふふ…」


 オレの爆発パンチで愉快な顔になっているモンスター通り魔。


 ちょっとスッキリしたけど、あの顔を見るとなんかこう…笑いそうになる…。


「た、大我?どういうことだ?そ、それにその手…」


 皆人の声を聞いて、初めて倒れていたのが皆人だったことに気がついた。


 というか、なんか顔が青白くない?


 よく見ると脇腹も青紫色に変色してるし…。


 あれはオレも喰らった毒か?


 というか、手?


「うおっ!?なんだこの手!?」


 オレの手が無くなってそこには手の形をした炎が揺らいでいた。


 さっき爆破したからか?


 再生するまではこのままなのか?


 少し驚いたが、手を動かそうとするとこの炎が動くので、まあ、問題はないか。


「まあ、痛みはないから大丈夫だろ、多分。それよりも皆人は大丈夫なの、それ?」

「少しヤバいだけだよ…」

「ヤバいはヤバいのね、了解」


 エリーの話では死んでしまうと蘇生は無理って話だったが、逆に言うと死んでいなかったらなんとかなるってことだろう…多分。


 てことで、できるだけ早く終わらせよう。


「お、おい小僧!さっさと私を連れて逃げるんだ!」


 は?何言ってんのコイツ?


 寝言は寝て言え。


「イヤだけど。オレはアイツをぶっ飛ばしたいんだ」

「何を言っている!?何故どいつもこいつも私の言うことをまったく聞かないのだ!?私を誰だと思っているのだ!?」


 いや、知らんけど……。


 てかさ、ゾンビゲームの時のイキりヘタレクソザコチンピラもそうだけど、なんで自分の命を他人に預けるしかない状況下で主導権が自分にあると思えるんだろうな?


 頭おかしいのかな?


「おまえのめいれいにかちなどないからだ。おまえのいのちとどうようにな」

「貴様もさっきからなんなのだ!?もしや、以前私私との間に何かあったのか?ならばいかるのはお門違いであろう!?私のために犠牲になれたのだ!むしろ誇るべきであろうに!」


 スゲー自分勝手な爺さんだな。


 でも生存能力は低そうだ。


 だって自分を殺せる力を持ってる相手と、自分を救えるかもしれない相手、両方を相手にあんなにナチュラルに挑発してんだぜ?


 こんな状況下であれじゃ、殺されても自業自得だろ。


「ほんとうにおぼえていないようだな。もういい」


 お?


 とうとう手を下すか?


「お、おい!待て、話し合おう!頼む、助けてくれ!お、お前も見てないで私を助けろ!」


 って言われてもなぁ…。


 助ける気無くさせるようなことしかしてない癖に、図々しいなコイツ…。


「話を聞く限りアンタ、そいつ相手に…というよりも自分以外の人相手に、随分自分勝手な振る舞いをしてきたんだろ?なのに自分が報復されたら助けを求めたり命乞いをするとかってのはなぁ…」


 ホント自業自得過ぎてなぁ…。


 強いて言うなら、このまま報復で殺されても仕方ない言動ばかりしてるアンタが悪いというか…。


 そもそもの話、オレとしては報復で殺される展開の方が面白そうと思っているので、正直助ける気が起きないんだよなぁ…。


「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだって言葉を知らないのか?人には散々嫌なことしておいて、いざその報復を受けそうになったら命乞いとか情けない通り越して図々し過ぎるだろ…。まあ、なんだ…。つまり報復された時に自分の力でどうにかできないんだったら最初から報復されるようなことはするなよってことだな。というわけで!いい教訓になっただろうし、来世では気を付けてね?」


 というわけで見殺し……ではなく静観することにする。


 爺さんは唖然とした顔をしている。


 そうそうそれ、そういう顔が見たかったんだよ、最高。


 やっぱクズの末路はこうじゃなくちゃな。

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