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40 優先度

~大我SIDE~



「よし!大我、あとは頼んだぞ!」


 最後のアイテムを手に入れたジョナサンを見送る。

 さて、アイテムを全部回収したらもうこの祭壇を守る必要はない。


「溜まった鬱憤、解消させてもらうぞ!」


 集まっていたスケルトンへ炎弾を叩き込む。

 アイテムを持っている3人を追おうとしていたスケルトンたちは、反応できずに爆散していく。


 くうう~!!

 スカッとしたぁ~!!


 ちなみに本来の作戦だと、オレはリッチーを逃がさないようにしながら守りに徹することになっていた。

 なので見つかったら樹里愛辺りに怒られる案件である。


 でもさ、だって仕方ないじゃん?

 やられてばっかりでストレス溜まってたんだもん。


 ストレス解消のために次のスケルトンたちに狙いを定める。

 ストレス発散に爆散させてやるよ!!


 と、思った次の瞬間、オレは何かに吹き飛ばされ、壁に激突していた。


 何がおきた?


 さっきまでオレがいた場所を見ると、リッチーが掌底を繰り出したようなポーズをしていた。

 アイツ、魔法だけじゃなくて身体能力まで高いのか……!?


「上等だよコノヤロー……。こっちは再生能力持ちなんだ…!気の済むまで付き合ってやるよ!!」


 足の裏で炎を爆発させて加速、リッチーとの距離を一気に詰める。

 そのままの勢いでリッチーへ右ストレートを叩き込む。


 だが、硬い感触しかしない。

 魔力で障壁を張ったらしい。


 この対応力、地味にムカつく…!


 このスピードでも反応してくるのかよ…!

 ならもっと攻撃のスピードを上げるしかない。


 牽制のために左フックをリッチーの脇腹へ放つ。

 ガードされるが想定済みだ。


「本命はこっちだ!」


 2度目の右ストレートを放つ。


 もちろんそのままでは通用しないのは承知の上。

 秘策はあるんだよ…!


 直後、肘の先に炎を灯し、即爆発させる。


 炎を纏った拳が尋常じゃないスピードでリッチーの顔面へ突き刺さる。


「どうだ?今度は効いたろ!?」

 

 顔の左側を焼き潰されたリッチーは、憎悪に染まった目でオレを睨んでいた。


 オレはお前にもっとボコボコにされたんだからな。


 これくらいでそんなキレるなよ。

 

「ざまあみろ、と言いたいところだがまだまだこっからだ!」


 オレの言葉を聞いたリッチーは、さっきも見たスケルトンを召喚する術を使い始めた。


 また厄介なものを。


 だがスケルトンなんかそこまで脅威じゃない。


 厄介なのは数だけだ。


 どうせ目的は足止めだし、とことんまで倒し尽くしてやるよ。

 

「来いよ骸骨ども!お望み通り火葬してやるよ!」


 挑発通りにスケルトンに炎弾を数発浴びせてやる。


 おーおー、よく燃えるなぁ。

 だが、本命はお前らじゃないんだよ!


「はあ!」


 もう一度スケルトンを召喚しようとしているリッチーに向かって炎弾を放ち、間髪入れずに距離を詰め、接近戦に移行する。


 距離を離されたら魔法は撃たれるしスケルトンを召喚されるしで、メリットは一切ない。


 だからここからはずっと張り付いてやるからな、覚悟しろよ!


 スケルトンが何体かこの部屋を出ていくのが見えた気がしたが、気づかなかったことにする。

 あれくらいなら誤差として3人も許してくれるだろう。


 それにあんなスケルトン数体よりも、リッチーを足止めする方が優先度は高い筈だ。


 高い筈だよね?


 心の中で3人にゴメンと謝りながら、先程と同じ方法でリッチーに熱く燃える鉄拳をぶち込む。


 だがこのリッチーも馬鹿じゃないらしい。

 さっきまでは障壁だけで対応していたのが、手でガードするようになってきた。


 正直うっとおしい。


 攻撃しても攻撃してもガードされる。

 まったく、黙って殴られてろよ。


 完全に膠着状態だが、目的であるリッチーの足止めは出来ているから及第点だろ。


 あとはこのまま3人が奉納するまで耐え抜けばオレたちの勝ちだ。


「プレイヤーチーム、祭壇への奉納を確認。各チームの祭壇への奉納は、プレイヤーチーム残り1、エネミーチーム残り1となります」


 よし!


 ようやくここまで来たか。


 あとは最後の祭壇へ奉納してくれれば……!


 そう考えたところで違和感を感じた。


 リッチーと共に戦っていたスケルトンが攻撃の手を止め、ブルブル震え出したのだ。


 なんだこの展開……。


 未来の記憶にはなかったぞ。


 まあ、未来ではアレックス爺さんが速攻でリッチーを倒したから、実はギミックのほとんどを知らないのだが。


 その時、ブルブル震えていたスケルトンが突然光り出した。


 なんか、某ゲームの進化シーンを彷彿とさせるな。


 そう考えたのがまずかったのか。

 光が収まった時、その場にいたのはデュラハンだった。


 スケルトンがデュラハンに進化するとか聞いてないんだけど。


 これ絶対アレックス爺さんがいる前提の難易度だろ。

 いい加減にしろよ、あのクソ悪魔共。


 そもそもデュラハン単体でもオレより強いんだぞ?


 曲がりなりにもオレがリッチーと戦えていたのは、リッチーが接近戦があまり得意ではなかったからだ。


 リッチーの戦闘スタイルはスケルトンを召喚し前衛をさせ、自分は後衛として遠距離からの魔法による攻撃というものだった。

 オレはそれを無理やりスケルトンを爆散させてリッチー相手に接近戦をすることによって膠着状態に持ち込んでいただけなのだ。


 それが、接近戦でオレより強いデュラハンが出て来てしまえばどうなるか?


 ワンサイドゲームになるのは火を見るよりも明らかである。


 しかもデュラハンの数は1体だけではなくたくさんだ。

 正確に数えるのなんてバカバカしくなるくらいの数がいる。


 これじゃあ、逃げるのも無理だ。


 さっきみたいに盾の結界を張って耐久戦に持ち込むか?


 いや、このデュラハンの数だ、さっきと違って結界破られるかも・・・。

 そうなると、回避に専念して時間を稼ぐか?


 いや、それもなしだ。


 何故なら、気配察知をしたところ、3人も大量のデュラハンに襲われているのがわかったからだ。


 これはアイテムの奉納を待っている余裕はなさそうだ。


 むしろ、時間を掛けると向こうの3人が倒されかねない。

 と、なると……。


「もう一つの勝利条件を果たすしかない…か」


 リッチーを見ながらひとりごちる。


 もうそれしか全員揃って生き残る道はない。


 しかし、目の前には大量のデュラハン。

 これを躱してリッチーを倒すのは至難の業だ。


 だがやるしかない。


 覚悟を決めてデュラハンたちへ突っ込む。

 こっちは再生能力持ちだ。


 ごり押しでデュラハンたちを抜けていくのが最短距離。


 そう判断しての行動だったのだが、甘かったようだ。

 何体ものデュラハンから串刺しにされる。


「い、いってぇーーー!!!」


 痛い!

 これは痛い!!

 痛すぎる!!!


 痛すぎて意識が飛びそうになるが、痛すぎてまた意識が覚醒する。

 ダメだ、これは耐えられない!


 そう思って後方へ退避しようとする。

 だが、オレは剣で串刺しにされていたので、動けなかった。


 いや、そのはずだった。

 何故かオレはすんなりと後方へ退避できていた。


 なんでだ?

 不思議に思い自分の体を見る。


「燃えてる?いや、炎になってるのか!?」

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