38 誓い
「エネミーチーム、祭壇への奉納を確認。各チームの祭壇への奉納は、プレイヤーチーム残り6、エネミーチーム残り1となります」
「とうとう来たか」
覚悟を決める。
ここからのオレの仕事は最初から最後まで耐え続けるだけだ。
…………。
長丁場になるのはわかってるけど、最初くらいは楽させてほしいな。
頼むぞ神様……。
あまり贅沢は言わないから最初からデュラハンとか勘弁してくれ……。
そう思っていたら、最初に部屋に入ってきたのはリッチーだった。
たしかにデュラハンではないけどさぁ……。
オレの日頃の行いって本当に良いのか不安になるからそういうのやめろよ…。
「オレもう神様信じないわ……」
そう言いながらも、盾の能力を発動させる。
速攻でリッチーが来ようとやることは変わらない。
青白い光が溢れ出てオレの周りを包む。
結界の設置完了だ。
あとはゲーム終了まで耐えるのみ…。
その時リッチーの掌から何かが飛んで来るのが見えた。
「危なっ!!」
さっきオレの腹に穴を開通してくれやがった雷だ。
咄嗟に盾を掲げて防御する。
直撃してたらまた風穴を開けられてたところだっただろう。
再生能力がどれだけの傷なら再生できるのかわからない以上、攻撃を喰らわないに越したことはない。
その後も攻撃を続けてくるリッチー。
そして結界を攻撃してくるスケルトン。
結界を攻撃されるとその衝撃がオレに伝わってくる。
意外とキツイぞこれ。
「アイテム持ってるヤツらまだ全員集まってないのかよ……!?」
すでに部屋はエネミーだらけになっていたが、気配察知をしてみるとまだアイテムを持ってるヤツが1体ここへ向かっている途中だった。
つまり、まだ攻撃を耐え続けなければならないというわけだ。
「痛ッ……!さっさと来いよ!」
つい文句が口をついて出る。
さっきから矢が肩を貫いたり、リッチーの魔法が体に当たったりしている。
正直これはかなり痛い。
自分から言い出したことだが、これは辛い、辛いぞ!?
いくら再生するからって、傷つけばその都度痛みは感じるのだ、なのにこんなことをゲームクリアまで続けるとか正気の沙汰じゃないぞマジで!!
できれば一刻も早く終わってほしい!!
その時、最後のアイテム持ちが部屋に入ってきたのを感じた!!
「皆、今だ!」
合図を出した瞬間、3人がアイテム持ちのエネミーへ攻撃を仕掛ける。
完全に虚を突かれたのか簡単にやられるエネミー。
よし、これでアイテムを3つ確保。
残り2つだ。
問題はそのうち1つはデュラハンが持っているってことなんだが…。
まあ、3人ならなんとかするだろ、多分……。
リッチーの魔法を喰らいながらも、その時のオレは楽観視していた。
~ジョナサンSIDE~
1体目のアイテムを持ったエネミーを倒した。
残るはアイテムを持っているエネミーはデュラハン1体だ。
大我からアドバイスをもらって気配察知をした結果、デュラハンがアイテムを持っていることがわかった時は絶望した。
あんな強いエネミーを倒してアイテムを奪うなんて無理だろ。
あの時はそう思ったが、やるしかないとなけなしの勇気をふり絞った。
このゲームをクリアして家族の元に帰るにはそれしかないんだ。
「そうだ……。それしか方法は無いんだ……」
自分を鼓舞し、ゴーレムをデュラハンへと向かわせる。
オレのゴーレムはかなり頑丈だ。
そう簡単に破壊されることはない筈…。
なのでゴーレムを盾にデュラハンへ攻撃することにした。
俺の頭ではデュラハンを倒す方法はこれしか思いつかなかった。
大我から受け取った剣を手にデュラハンへと走る。
幸いデュラハンは俺に気づいていないのかゴーレムへと攻撃を仕掛けている。
ここだ!
俺はゴーレムの後ろから飛び出しデュラハンへと攻撃する。
狙いは頭を持っている左腕だ。
横薙ぎに一閃。
だが…。
「なっ!?」
なんと、デュラハンはそこに攻撃が来るとわかっていたかのように俺の攻撃を防いだ。
なんでだ!?
完璧に隙を突いた筈……!?
その時、俺は目が合った。
デュラハンが持っていた頭と。
「そういうことかよ!」
あの手に持っていた頭が周りを見ていたのか!!
通りで反応されるわけだ…!
「クソ!」
デュラハンの攻撃を避け、ゴーレムの後ろへ退避する。
一安心……かと思ったところで左肩に鋭い痛みを感じる。
なんだ!?
と思い目を向けると、ゴーレムから生えた剣が俺の肩を貫いていた。
これは、デュラハンの剣?
まさか、俺のゴーレムを貫いたってのか!?
「クソ、クソ、クソォ!!」
痛みに呻きつつ、ついデュラハンから距離を取る。
その瞬間、自分の失策に気づくがもう遅い。
ゴーレムを薙ぎ払いデュラハンが俺に近づいてくる。
「ああ…」
自分でも気づかぬうちに声が漏れる…。
すまないリディ、ジョディ。
兄ちゃんは2人の元へ帰れないかもしれない。
最期の瞬間を感じ、目を閉じる。
だがその瞬間、間近で大きな音と衝撃を感じ目を開ける。
デュラハンの左半身が消失し、煙を上げている光景が目に飛び込んできた。
「大丈夫かジョナサン!」
大我の声が耳に届く。
顔を向けると、ズタボロになり、体中から炎が立ち上がっている大我が見えた。
「大丈夫そう!?大丈夫なら返事して!………ねえ、ホントに大丈夫?もしかしてオレ巻き込んじゃった……?」
なんかオロオロしながらオレへと声を掛け続けているアイツの姿が目に入り、おかしくなって少し笑ってしまった。
アイツ、15って言ってたっけ。
てことは、妹のジョディと同じだな…。
そうだ、俺は弟と妹の前では最高に頼りがいのある兄でいようと決めたじゃないか…。
なのに妹と同い年の子供に助けられっぱなしなんて、なんてカッコ悪い兄貴なんだ。
「そうだ、俺は頼りがいのあるカッコいい兄貴になるって決めたじゃないか…」
もう一度、あの日の誓いを口にする
そう、あの日…。
俺は親父の墓の前でそう誓ったんだ…。
ならやるべきことはビビったり、諦めたりすることじゃない。
覚悟を決める。
死ぬことをじゃない。
生き抜くことを、家族の元へなんとしてでも帰る覚悟をだ!!
「よし!大我、あとは頼んだぞ!」
大我がデュラハンを倒してくれたおかげで近くに落ちていた最後のアイテムを拾う。
あとはこれを奉納するだけだ。
こんなゲームはすぐにでも終わらせてやる。




