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37 復讐

 大きな音、そして人の話し声が聞こえて俺は目を覚ます。

 体中が痛む……。

 一体何が…と思ったところで思い出す。


 そうだ、俺は……!


 何があったかを思い出した俺は辺りを見渡した。


 そして見てしまった。


 血まみれになっている義姉さんを…。


 そのそばで血まみれになりながら立っているマーリオゥを……!


 そして、マーリオゥの手に握られた、血まみれのナイフを……!!


「おい、なんだよそれは……。なんなんだよそのナイフは……。なんで姉さんはそこで倒れてるんだよ……!答えろよマーリオゥ!!」


 マーリオゥに掴みかかるが腹へ衝撃を感じ意識が遠くなる。


「私は……。私は行かなければならない。すまない。こんなはずじゃなかったんだ、こんなはずじゃ……」


 その言葉を最後に俺は再び意識を失った。



 それからは現実感がない中、瞬く間に話が進んで行った。


 俺の義理の兄となったマーリオゥの戸籍は偽物だったらしい。


 そして義姉さんの遺体は無くなっていたが、大量の血液がその場に残されていたこと、そして凶器と思われるナイフが現場に残されており、そのナイフからはマーリオゥの指紋が発見されたこと。 


 そのため、警察はマーリオゥを義姉さんを殺した殺人犯として指名手配、現在その行方を捜索中であること。

 それが1か月後に目覚めた俺へと伝えられた内容だった。



 その日、俺は義姉さんが埋葬されたことになっている墓地に立っていた。


 俺は最後に残された家族の葬儀に出席することが出来なかった。

 義父さんと母さんの時もそうだった。

 一緒に事故に巻き込まれて、目が覚めた時には全てが終わっていた。


 俺は家族を送り出してやれない星の元に産まれたらしい。


 ふざけてる。


 失うだけじゃなく送ってやることすらできないとは。


 何故だ?

 何故こうなった?


 自分の中でドス黒いなにかが湧き上がるのを感じる。


 頭の中で声がする。

 報復してもいいのだと。


 そうだ。

 俺には権利がある。

 なぜなら大切な人を理不尽に奪われたのだから。

 奪われたものは戻ってくることはないのはわかっている。


 それでも…。

 それでも、思わずにはいられない。


 あの男が憎い。


 殺してやりたい。


 義姉さんのためにも。


 だからあの日、俺は決意したのだ。


 義姉さんのために、あの男に復讐してやると。


 決意した瞬間、俺はあの真っ暗な空間にいた。

 


 そうだ、復讐を決意したあの日、俺はデモンズゲームに巻き込まれ、そして思ったのだ。


 あの襲撃してきた男たちはもしかしたらデモンズゲームのプレイヤーなのではないか?

 だとしたらこのゲームに関わり続けて情報を集めるしかない、と。


 だから俺はこんなところで死ぬわけにはいかない。

 なにがなんでも生き延びて、そして……俺は復讐を果たすのだ。



~大我SIDE~



 樹里愛の機嫌が悪い。

 いつもより小言が多い。


「わかった、わかったからホント。大丈夫だから!」


 強引に話を打ち切る。

 じゃないと一生続くぞこれ。


「あなたねぇ……」

「まあまあ、落ち着けって樹里愛。大我もな、さっきも言ったが樹里愛はお前のことを心配してるからこそ気が立ってるんだよ。察してやりな」


 そんなこと言われても……。


「ねえ?もう一回考え直さない?やっぱり危険すぎると思うわ」

「え~。さっきは納得してくれたじゃん」

「考えれば考えるほどやっぱり危険すぎる気がして……」


 それはもうわかりきってることだしなぁ。



 オレが提案した作戦。

 それはオレが囮になり、その間にアイテムを強奪、奉納してしまおうというものだった。


 もちろん、そのままでは敵が集まらないのでこんな作戦は成立しない。

 だが、あるタイミングでだけは敵を集めることができる。


 それはいつか?

 それは奉納できる祭壇が1つだけになったタイミングである。


 そのタイミングなら、単純な戦術しか取れないエネミーは確実に最後の祭壇へ集まってくる。

 そこを前回のゲームで手に入れた盾を使って奉納出来なくさせるのだ。



 さっき調べてみたら、実はあの盾、簡易的な結界を張るという能力があるらしい。 なのでそれを利用してやろうというわけだ。


 まあ、エネミーは入って来れないが強力な攻撃は結界を貫通してくるので、持久戦をするのもそれなりに大変なのだが。


 だが、問題はない。


 なぜならオレは再生能力持ちだからだ。

 持久戦には持って来いな能力である。


 だが、1人で攻撃を受け続けることになるため、危険すぎるということで樹里愛は反対をしているというわけだ。


 ホント心配性だよね樹里愛は。


「ねえ?やっぱり別の案にするか、せめて私も一緒に残った方が……」

「大丈夫だって!それより1秒でも早くゲームをクリアさせてくれた方が助かるよ」

「そう……、そうね…。わかったわ…」


 まだ納得してなさそうだな。


 でもホントにさっさとクリア条件満たしてくれた方が全然助かるんだよなぁ。


 ちなみに奉納によりクリアする場合どうやって優勝者を決めるかというと、クリアに貢献したポイントによって決めるらしい。


 悪魔らしい適当な方法だな、と思った。


 それって本来ゲーム始める前にリストかなんかを作って見せておくべきなんじゃないの?

 じゃないとどんな行動がポイント高いのかわからないし、なにより悪魔側の独断と偏見で優勝者を決めてしまうことも可能になるし。

 というか、不正かどうかプレイヤー側からわからないとか前代未聞だろ。


 そんなことを考えていたら目的の場所、最後の祭壇へと着いてしまった。


「じゃあ、皆は作戦通り柱の陰で待機してて。ここにアイテムが5個集まったら作戦開始ってことでよろしく」


 そう皆に伝えてオレは祭壇の前へ立つ。

 ここからはただただ耐えるのがオレの戦いだ。

 辛いけど仕方ない。

 やるしかないのだ。


「大我!」


 樹里愛が駆け寄ってくる。

 なんだ?


「お願いだから防御に専念して。無茶なことはしないでね」


 手を握られて懇願される。

 柔らかい。


 まあ、それはともかく。

 もちろんそのつもりではあるけど、約束はできないよね。

 でもそんなことを正直に言っちゃうとどうなるかは目に見えている。

 なので、ここは樹里愛を安心させるような言葉を選んで伝えよう。


「大丈夫大丈夫。わかってるって。安心して」

「私本気で言ってるのよ?」


 手を握る力が強くなる。


 やめて!?

 前回それのせいで大ピンチに陥ったんだよ!?


「まったく!」


 よかった、手を離してもらえた。

 前回みたいな痛みはない。

 一安心だ。


「ホントにお願いよ大我?絶対に無茶はしないでね?」


 そう言い残し樹里愛は戻っていった。


 心配してくれてるんだな。

 ありがたいけど毎回手を握りつぶされそうになるのだけは勘弁してくれないかな?

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