33 無理ゲー
軽い気持ちでリッチーを探すために魔力による気配察知を行う。
ポツポツとエネミーの気配がある。
その中に一際大きな気配を感じた。
多分これがリッチーだろう。
……うん……、明らかに危険な匂いがするね…。
どうしようか…?
「向こうにボスがいるみたいなんだけど…」
「なんでわかるんだよ?」
「気配察知してみた」
「気配察知?」
「魔力使えば案外簡単にできるよ?」
そんなことよりあれだな、リッチーこっちに近づいて来てるな。
まあ、オレが気配を感じられるぐらいなんだからボスであるリッチーが感知できない筈がないか。
「ボスこっちに気づいて近づいて来てるよ?」
「好都合だ、先制攻撃をお見舞いしてやる」
なんだかんだジャンは好戦的だよね。
いや、臨機応変っていうのか?
まあ、どっちでもいいか。
「先制攻撃ってなにすんの?」
「オレの異能で罠を張る」
なんと、そんなことができるのか。
「それで状況確認なんだが…」
ジャンがオレを見る。
「お前その腕、動くのか?」
「そりゃこの通り……」
問題なく動く…。
え?
どういうことだよ。
「動く……な…。どうなってるんだ?」
「さっきからずっと左腕が燃えてたから変だな、と思ってたんだ。そしたら傷が治ってたから、大我が気づいていないだけでそういう異能なのかと思ってたんだが…」
自分ではまったく気がついてなかった。
「え?オレの能力って回復、いや、再生能力まであるのか?というか言ってよ」
「それはすまん。だが腕が動くなら、隙ができたら追撃頼むぞ」
それは構わないけどさ…。
オレに再生能力あるなんて初耳なんだけど…。
どうなってんだよ未来の記憶…。
「来るぞ!」
ジャンの言葉で我に返る。
考えるのは後だ。
リッチーを倒してしまえば考える時間なんてたくさん確保できるのだ。
焦る必要はない。
そう考え、ロングソードを構える。
そしてヤツは現れた。
「お、おい。あいつなんかヤバくないか?」
ジョナサンのいう通りだ。
見ただけでヤバいとわかった。
なんだこの威圧感…。
魔力のおかげかな、と考えていたらリッチーの動きが止まった。
足から出血している。
ジャンの罠に掛かったようだ。
というか、あいつら血流れてたんだな。
「行け、大我!」
ジャンの言葉を合図にリッチーを切り裂く。
「は?」
派手に炎は上がったが、リッチーは少し肉が裂けたくらいの傷しかついていない。
なんだこの硬さ…!?
魔力による障壁か!?
にしたってこれ硬すぎだろ……!?
「ジャン、ヤバい!コイツ斬れない!!」
ジャンに叫んだ直後、何かがオレの体を貫く。
凄く熱い。
なんだこれ……。
「大我大丈夫!?」
樹里愛に引っ張られ、リッチーから離れる。
ジョナサンが盾を構えてリッチーの追撃から庇ってくれているのが見えた。
「大丈夫?!あなた雷みたいなのに貫かれたのよ?」
電撃か…、通りで熱いし見えない筈だ…。
今はジョナサンに対して火炎放射してるし、ホント多彩な能力だな…。
リッチーはこのままじゃ埒が明かないと判断したのか、スケルトンを召喚し出した。
スケルトンを相手しながらリッチーと戦うのは厳しいか…。
だがやるしかない。
貫かれた腹は炎に包まれているが、痛みはあまりない。
やはり再生能力があるらしい。
それなら、と立ち上がろうとして気がつく。
これ、体麻痺してないか?
体が思ったように動かない…。
「何してるの大我?早く立って……!?もしかして立てないの!?」
「か、体が痺れて……」
動けない、と続けようとしたところで樹里愛がオレを抱える。
「撤退だ!俺が先導するからジョナサンは殿を頼む!」
ジャンの指示が飛びオレ以外の全員が動き出す。
ゴメンね皆、世話かけて……。
さっきの部屋から少し離れたところで地面に降ろされる。
「お腹の傷は塞がったみたいだけど、体の痺れはどう、大我?」
樹里愛に聞かれ、自分の状態を確認する。
痺れはほとんど消えている。
これなら問題なく動けそうだ。
「大丈夫。痺れは無くなったよ」
「よかった。でもお腹に穴が開いてたんだから、もう少し休んでなさい」
「お言葉に甘えてそうさせてもらおうかな」
そう言って横になる。
なんだかんだで疲れた。
「だがどうする?このままではマズイぞ」
「リッチーの能力の多彩さも厄介だが、あのスケルトンを召喚する能力…。あれは対処のしようがないぞ」
「スケルトン自体は脅威じゃないけど、あの数はマズイわね。そこにリッチーが加わるとなると手がつけられなくなるわ」
そう。
リッチー単体でもクソゲー感があるが、そこにあの大量のスケルトンが加わることにより、途端に無理ゲーに進化する。
詰みだろコレ。
いや、詰んでしまうと困るが。
オレはまだまだ面白いものを見たい。
どうにか策を考えなければ。
「エネミーチーム、祭壇への奉納を確認。各チームの祭壇への奉納は、プレイヤーチーム残り6、エネミーチーム残り3となります」
ナビゲーターの声が響く。
向こうはもう半分か。
これはいよいよもってヤバいぞ。




