29 説教
昨日は職員室に呼び出され、いろんな先生から説教をされた。
深夜に出歩いていたこと、危険な通り魔に立ち向かったこと、そして持ち物検査の際、結果的にとはいえ騒ぎを大きくしてしまったこと。
朝だけではなく、まさかの放課後も呼び出され説教をされた。
しかも相手は校長だ。
全校集会で話が長いのは知っていたが、説教の時も話が長いらしい。
正直何度か寝落ちしそうになった。
だがまあ、説教の内容は大半が深夜に出歩いたこと、そして通り魔に関することだった。
つまり昨日ホームルームでの騒ぎはそんなに大事にはなっていないということだ。
それは朗報と言っていいだろう。
というわけで今日も元気に登校してきた。
「おはよう皆」
「ああ、おはよう阿久津」
「おはよう阿久津。今日はなにやらかしてくれるんだ?」
「おはよ阿久津君。あんまり常盤さんに心配掛けたらダメだよ?」
昨日の一件でなぜかクラスメイトから変なヤツというレッテルを貼られてしまった。
いや、変なヤツとか変人と言われるのはいい。
だが、コンチと同類と言われたのだけは少しイラッとした。
ちなみに愛衣はそんな変なヤツを世話してあげている聖人という話になっていた。
なんだそりゃ。
「昨日は放課後も職員室に呼び出されたみたいだね」
そう声を掛けてきたのは禅院だった。
「まあね。しかも朝と違って相手は校長だぜ?話長過ぎて何度か寝落ちしそうになった」
「うわぁ、それは災難」
「もう、少しは反省しなよ?たっくん」
「なあ」
昨日から愛衣は校長に説教されたのにあまり反省していないオレに対して苦言を呈している。
いやだってさ、同じ話10回以上されたらさすがに飽きるでしょ。
「ははは。いいね阿久津君。心配してくれる幼馴染がいてさ」
「なあってば」
「そんな畏まって阿久津君なんて呼ばなくていいよ。見てみなよ、皆バカだとかアホだとか好き放題に呼んでるし」
そんな中で苗字呼びとか逆に浮くしね。
「そう?じゃあ大我で」
「じゃあオレも皆人って呼ぶわ」
「2人でオレを無視するのやめろよ!傷つくだろ!!」
そばにいたコンチが声を上げる。
というかずっといたの知ってた上で、話しかけてきてたのを無視してただけなんだが。
「無視されるようなことする方が悪いだろ」
「自分が困ったら他の人に丸投げってのはさすがにね…」
そりゃ怒られて当然だろ。
というかコンチも同じ事されたら怒るだろ。
「自分がやられたら嫌なことは、人にするなってことだな」
オレが言えたことじゃないが。
それからの数週間は何事もなく過ぎていった。
学校に通いながら、魔力の制御訓練をする。
そしてたまに樹里愛と会って情報交換、という体で手作り料理をご馳走してもらったり。
何気に楽しく、充実した日々だった。
いいね、こういう日常と非日常を行き来する感じ。
異能バトル物って感じがする。
「どうしたの、たっくん?」
愛衣に声を掛けられ、我に帰る。
「いや、なんでもない。それよりも本当に待ってなくてもいいのか?」
「大丈夫だよ。暗くなる前には帰れると思うし」
「わかった。じゃあ先に帰ってるわ」
そう愛衣に伝えて学校を出る。
愛衣は委員会があるらしく学校に残らないといけないらしい。
ちなみに最近よく話すようになった皆人やコンチはサッカー部なので、放課後は部活に行っている。
なので今日は1人での帰宅だ。
まあ、帰宅と言っても帰るのは愛衣の家なんだが。
数週間経っても舞衣さんが許してくれないのだ。
酷いよな、と思う反面オレを心配してくれているのもわかっているので、なんとも言えない。
要は舞衣さんの愛情表現の一種なのだ。
オレにとっても舞衣さんはもう1人の母親のようなものなのでありがたくはある。
でも早く自由になりたい。
そんなことを考えていたら、目の前が真っ暗になった。
「皆さま、デモンズゲームへようこそ」
とうとう来たか…!
「久しぶりだな皆」
声のした方を見るとジョナサンが立っていた。
近くには樹里愛とジャンもいる。
「ああ、そうだな。しかしわかっていたことではあるが、やはり俺たちしかいないんだな」
ジャンは人数が少ない場合はプレイヤーが追加される可能性を考慮していたらしい。
たしかに可能性としてはあり得るな。
考えたこともなかったけど。
「まあ、悪魔が主催してるくらいだし、全滅してもそれはそれでいいとか考えてるんじゃない?」
というか、ほぼ間違いなくそうだろう。
勝つのを見ても面白い、負けるのを見ても面白いとか思ってるだろ、悪魔だし。
「それはともかくとして、皆、前に言ったものは持ってきた?」
はて?
前に言ったものとは?
「もちろんだ。ほら」
ジョナサンがメモを渡してくる。
なんだこれ?
「俺も書いてきたぞ」
ジャンもメモを渡してきた。
「私も。あなたはもう私の連絡先知ってるしいらないわね」
連絡先?
あっ!
「なんだ、大我とはもう連絡先を教えあったのか?」
「ええ。住んでいた場所が近所だったから」
連絡先の交換、完全に忘れてた。
ヤバい、どうしよう。
「はい、これ大我の連絡先よ」
樹里愛がオレの連絡先を書いたメモを2人に渡している。
どういうこと?
「どうせあなた忘れてたんでしょ?念のため私の方で用意しておいて正解だったわ」
「なるほど。つまりオレは、ある意味樹里愛の期待に答えたってことだな」
結果オーライだ。
「そんな期待にばかり答えないで」
「皆さま、ゲームの説明を始めてもよろしいでしょうか?」
ナビゲーターが若干苛ついてるような声で話しかけてくる。
顔は笑っているが。
まあ、この空間に来た直後から全員ガン無視していたのだ、それも当然か。




