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22 力

いいね!ありがとうございます!これからも頑張ります!

 住宅街に入り人の数が疎らになった頃、オレはとあるお婆さんと出会った。


「お婆ちゃん、こんな夜中に1人で出歩いてると危ないよ」


 その人はこんな夜中に1人で出歩いていた。


 深夜徘徊か?

 そう思い声を掛ける。


 結構な年齢に見えたのでもしかして痴呆症による深夜徘徊かと思ったのだ。


「心配してくれてありがとうね。でも大丈夫だから」


 そう言って立ち去ろうとするお婆さん。

 まあ、本人がそう言ってるし大丈夫か。


 そう思い立ち去ろうと思ったが、やめた。


 お婆さんが立ち去った先に明らかに様子が変な男がいたからだ。

 見た感じイライラしてる感じだ。


 そういえば、と思い出す。

 少し前にお年寄りを狙った通り魔が出たと聞いたことがある。


 あのギラついた目、そして不審な様子…。

 もしかしてお婆さんに危害を加える気なのかもしれない。


 別に放っておいても構わないのだが、圧倒的に有利だと思っていた方が逆にやられて、尻尾を巻いて逃げる様を想像してみると、中々に面白そうだった。


 ということで…。


「さっさと手を出せよ…。寸前で止めてやるから」


 オレはそう呟き、男に見つからないよう隠れながら様子を見ることにした。



 隠れて様子を見ていると、お婆さんが通り過ぎた直後から、男はお婆さんを追うように歩き始めた。


 襲う場所を探しているのか、キョロキョロと辺りを見回しながらずっとお婆さんの後を付いて回っている。


 うん、これはあれだ、やっぱ不審者だわ。


 女の人のあとをあんなニヤニヤしながら追うのは明らかに不審者だろ。


 そんなことを考えていたら、襲う場所を決めたのか、足早にお婆さんに近づくのが見えた。


 ようやくか。


 足に魔力を込めて走り、男の腕を掴む。

 男は驚愕した顔をオレに向ける。


 そりゃそうだ、どこから現れたお前って思っているのだろう。


 腕を振り払われる。

 正しくは腕の動きに合わせて離してやる。


 その方が面白くなりそうだし。


「お前、なんで邪魔しやがった!?」

「普通の人なら邪魔するんじゃないの?一般常識無いのアンタ?」


 一般常識無い状態でこの社会を生きるなんて、ただ辛いだけだろうに。

 この人は大変な人生を歩んできたのだろう。


 想像すると泣ける。

 泣かないけど。


「喧嘩売ってるのかお前!?」

「いや、一般常識無いのにこの社会を生きるなんてハードモードな人生だなって思って…」

「馬鹿にしてんじゃねー!!」


 同情したのが気に食わなかったらしい。


 まあ、彼の苦労は彼にしかわからないし、オレがどうこう言うことではないか。

 お婆さんに離れているように伝え、後ろに下がらせる。


 直後、バールのようなものを振り上げて突っ込んできたため、それを掴んで彼を引き寄せ、脇腹に拳を叩き込む。


 男の口からゴフッっという音と共に息が漏れ、後ろへ数歩下がる。

 バールのようなものを離して。


 あらら、武器を捨ててどうすんだか。

 逃げるのかな?


 できるだけ無様な逃げっぷりを見せてほしい。


「なんでだよ、なんでだよ!?俺は大企業の幹部になるべき男なんだぞ!なのに老害共がいつまでも居座り続けるせいで昇進できない!老害共はさっさとあの世へ退勤するべきだろうが!!なのになんで邪魔するんだ!」


 なんだ逃げないのか、ガッカリ。


 しかもスゲェ自分勝手な理屈を口走ってる。


 面白いヤツだな。

 なにが面白いって目を血走らせながら興奮してるのが面白い。

 変なお薬でも飲んでるのか?


「あのお婆さんがアンタの会社に居座り続けている老害の1人なの?」

「あんなババアが俺の会社でのし上がれるわけないだろ馬鹿が!」


 ってことは、その幹部とやらには手を出せないから無関係な老人を痛めつけてたってだけなのか。


 小物だなぁコイツ。


 小物なら小物で、せめて散り際は面白くあってほしいと思う。


「そもそも老害共はさっさと消えて行かなきゃいけないのに、いつまでもこの世界にしがみついてる寄生虫みたいなもんなんだよ。それを世界のために駆除してやろうってんだ。俺は感謝されこそすれ、責められる謂れはないだろうが!それなのにお前も俺が悪いって言うのかよ!?」


 オレはヤツの質問に答えてやることにする。


「いや、やっぱりアンタが悪いとオレは思うよ?」


 ヤツの顔が憎悪で歪む。


「だってさ、自分の思い通りにしたいなら、周りの反対を押し切るような力が必要なんであって…」

「ごちゃごちゃうるせぇ!!」


 懐から折り畳みナイフを出してきた。

 まだ武器を持っていたか。


 だが、ヤツがどれほど武器を持っていようが関係ない。

 魔力が使えるオレと使えないアイツ。

 この時点ですでに勝敗は決まっている。


「そんな力が無いくせに好き勝手しようとしてるアンタは、やっぱり悪いでしょ」


 ナイフを突き出していた腕を掴んで引き寄せる。

 今度は脇腹への攻撃のためではない。

 髪を掴み、顔面へと膝を叩き込む。


 何度も、何度も。

 そのうち泣き声が聞こえてきた。


 何を言っているかよくわからないが、謝っているらしい。


 この程度で謝るくらいの覚悟でこんな凶行に臨んだのかよ。

 あほくさ。

 鬱陶しいので解放してやる。


 思ったよりもつまらなかったな。


 とりあえず警察に突き出してやるか。

 せめて自分が捕まるってわかった時の反応くらいは楽しませてほしい。


 そう思い、男を拘束し警察へ連絡する。

 警察と話し終わったタイミングでお婆さんが戻ってきた。


「助けてくれてありがとうね坊や。怪我はないかい?」

「怪我はないよ、大丈夫。それよりこんな時間になにしてたの?」


 気になっていたことを聞く。

 そもそも、こんな時間に1人で出歩いていること自体おかしなことだし。

 オレが言えたことでもないけど。


「私は深夜徘徊していただけよ」


 深夜徘徊?

 深夜徘徊していただけってどういうことだ?

 意味がわからなかった。

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