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19 口では言えない関係

 次の日。


 今日は土曜日だから、本来ならまだ寝てる筈の午後2時。


 オレは隣町の駅前にいた。


 ここには駅ビルが入っており、いつも人で溢れている。

 あの大量のゾンビを思い出すので正直気分が悪い。


「なあ、早く移動しようぜ?」

「え~。映画まで時間あるから洋服とか見ていこうと思ったのに」


 そうはいっても、昨日のゲームのせいで人が大量にいる場所を見ると気分が悪くなっちゃうから、あんまりここに長居したくないし。


「どこかのカフェに入って時間つぶそうぜ」


 そう言って強引に歩き出す。

 愛衣には悪いと思うけど、早くここから離れたかった。

 

「仕方ないなぁ」


 若干不満げな顔をしながらも愛衣はついてきてくれる。

 本当にありがたい。

 愛衣には感謝しかないな、ホント。


 

 駅前から少し離れたカフェに入る。

 ここは駅前にあるカフェとは違い、ほどほどに人は入っているものの基本的には静かで落ち着いた雰囲気の店だ。

 オレは元々人が多い場所があんまり好きではないので、たまにこのような人が多くないけど雰囲気がいい店を探して入ってみたりしている。

 ここも以前来て、また来ようと思っていた店だった。


「いい雰囲気のお店だね」


 愛衣も気に入ったらしい。


 というよりあれか、基本一緒にいるからお互いの好きなものが大体似通ってしまっているんだろうな。


 席について二人分のコーヒーを頼む。

 ちなみにオレも愛衣もコーヒー党だ。

 愛衣がいつも豆から挽いてくれるから飲んでいたら好きになってしまっていた。


 コーヒーが来たので早速一口飲む。


「うん。かなりさっぱりしていて酸味が強いコーヒーだね。いつも飲んでるコーヒーとは全然違うけど、こういうコーヒーもいいね。豆はどこのを使ってるんだろう?」


 愛衣はここのコーヒーがかなり気に入ったらしい。

 連れてきてよかった。


「大我?」


 突然声を掛けられる。

 誰だ?

 怪訝な顔で声のした方を見る。


「樹里愛?」


 そこにいたのは樹里愛だった。

 結構近所に住んでいたらしい。


 店内で固まるオレと樹里愛。


 当然だ。

 だってこんな近くに住んでるとは思いもしなかったし。


「こんなところで出会うなんて驚いたわ。もしかしてデート中だった?」

「ただの幼馴染だよ」


 と訂正しておく。


 勝手に恋人扱いされたら愛衣も困るだろう。


 ほら、現に不満げな顔してるし。


「ただの幼馴染……ね」


 と樹里愛がオレと愛衣を交互に見て言う。

 その目は昨日も見せていた呆れているような、残念なヤツを見るような、そんな感じの目だった。


「な~に樹里愛?いつの間にこんな若い子と知り合ったのよ?」


 樹里愛と一緒にいた女性が会話に入ってくる。

 ボーイッシュ系の綺麗な人だ。


「ええと……。この前ネットで知り合ったの…」


 樹里愛が目配せしてくる。

 合わせろってことか。

 任せろ。


「そうです、この前たまたま知り合いになりまして」

「そうだったのね。あ、相席いいかな?」


 愛衣に確認したら構わないということだったので、愛衣にはオレの隣に移動してもらい、2人には向かい側に座ってもらう。


「自己紹介がまだだったわね。私は樹里愛・スペンサー。医者をしてるわ」


 と、樹里愛が愛衣に自己紹介をする。


「樹里愛さんですね。私は常盤愛衣といいます。たっくん…大我君の幼馴染です」

「私は岩永美香。近くの中学校で理科の教師をしてるの、よろしくね。…………。それにしても大我君か…」


 オレを見て懐かしむような目をする岩永さん。

 樹里愛は目を伏せている。


「なんですか?」

「いえ、なんでもないわ、ごめんなさい…。ええと、大我君でいいのよね?」

「はい、阿久津大我と言います。夢は素晴らしい人生を送ることです」


 昨日と同じように自己紹介をする。


 横を見ると愛衣は何言ってるの?と目で訴えかけてきていた。


 樹里愛は頭が痛いと言うような顔をしている。


「あははは!面白い子ね!」


 そんな2人と対照的に、岩永さんは大笑いしている。


「それくらいわかりやすい子の方がいいわよ。今時の子は変に謙虚で、溜め込むような子ばっかりだし…」

「だとしても、夢があまりに抽象的過ぎるでしょ。高校生なら将来のことを考えてもうちょっと具体的な夢を持たないと…」

「相変わらず固いわねアンタ」

「アンタが大雑把過ぎるのよ」

「仲良いですね2人とも」


 率直な感想を言うと、2人とも恥ずかしそうにしていた。


「ま、まあ、子供の頃からの仲だからね…。それよりも!」


 と、面白そうなものを見つけた!とでも言いたげな顔でこちらを見てくる岩永さん。

 なんとなく先が予想できる。


「ただの幼馴染って言ってたけど本当なの!?」


 ほらやっぱり。


「ええ、そうですよ。ねえ?たっくん」

「ええ、そうですよ。姉弟同然に育ったんで距離が近いだけですね」

「本当に?もしかして今はまだ……。ってこともあり得るんじゃないの??」


 ノリノリだな岩永さん。

 学校の生徒のコイバナとかにも積極的に参加してそう。


「ノーコメントでお願いします」


 そこでノーコメントとはやるな愛衣。


 絶対気になるヤツじゃん。


 おかげで岩永さんのワクワクした目がオレに、どういうことか説明求む!って感じで向けられてるけど。


「そんなことより」


 愛衣が話題を変える。


「2人はネットで知り合ったって言ってましたけど、どういった関係なんですか?たっくんもそんな無関係って顔してないで答えて」


 愛衣の追及にオレと樹里愛は黙り込む。


 だって、どう説明したらいいかわからないし。


 デモンズゲームのことは話せないし、どうしたものか…。


 いや、逆にここははっきりと本当のことを言った方がいいのかな?


 変に誤魔化すよりも本当のことを言った方が変な誤解を与えずに済む場合もある。


 決して言い訳が思いつかなかったわけではない。


「どんな関係かって聞かれたら、口では言えない関係としか言えないな」


 その瞬間、店内の空気が凍った。

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