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14 詰んだわ

いいね、ありがとうございます!引き続き頑張ります!

 皆から離れて、待機する。


 ここは2階、ちょうどロビーの上に位置している部分だ。

 オレはここで待機して、3人がゾンビを引きつけたタイミングで飛び降り、魔法陣を破壊することになる。


 正直に言うと不安は残っている。

 だがやるしかない。


 3人が打ち合わせた通りの待機場所につく。

 あとは3人が動き出すのを待つだけだ。


 それにしても、と階下を見る。


 本当に駅の中みたいにうじゃうじゃと、人の形をした亡者がロビーを跋扈している。

 あんな数が一気に押し寄せてきたら、噛まれる噛まれない以前に押しつぶされてすぐにペシャンコだ。


 つまるところ、オレがさっさと魔法陣を破壊してしまわないと皆がもたない。

 頼むから魔法陣の近くにいるゾンビ共、大人しく陽動に引っ掛かってくれよ。


 そう祈っていたら、樹里愛とジョナサンが出てきた。

 ジャンは打合せ通りに後方で狙撃の態勢に入っている。


 始まるか。


 そう思い、体に力を込める。

 いつでも動き出せるように。


 こちらも準備は完了だ、いつでも来い。


 樹里愛が手にしたメイスで床を叩く。


 甲高い音が鳴り響くと共に、ゾンビ共が一斉に樹里愛を見て、直後に動き出す。


 始まった。


 再び階下を見る。


「よし!いい感じだ!」


 魔法陣の近くにいたゾンビ共も樹里愛たちの方へ動き出している。


 作戦通りだ、あとは連中が魔法陣から離れたところで飛び降りて……。


 と思ったところで後方からなにか嫌なものを感じた。


 日本一有名なロボットアニメのパイロットたちは、きっとこういうものを感じてる能力があるんだろうな。

 そんなことを思いながら即座に階下へ飛び降りる。


 後ろを確認する余裕は無かった。


 下を見ると、まだ魔法陣の近くには多くのゾンビが残っている。


 だが、そんなこと言ってる場合ではないと直感が告げている。


 飛び降りた直後、壁を突き破って何かが出てくる。


 よく見えなかったが、予想はついていた。


 壁破りのアレックスの称号をプレゼントしてやるよクソッタレ。



~ジャンSIDE~



 陽動作戦を開始して数秒。

 事態は狙い通りに動いていた。

 魔法陣の近くにいたゾンビも、奥にいたゾンビもこちらへ向かって来ている。


 いい感じだ、あとはもう少しゾンビがこちらへ来たら大我が魔法陣へ向かって破壊すれば作戦成功、俺たちの勝利だ。


 そんなことを考えていたら、突然大我が飛び降りる。


 「なっ!?まだ早いぞ!?」


 つい驚愕が口から漏れてしまう。


 まだ多くのゾンビが魔法陣の近くにいる。


 焦って飛び出したのか?

 そう思ったが違ったらしい。


 なぜなら直後、大我がいた場所のすぐ後ろの壁を突き破って、あのゾンビが現れたからだ。

 そう、あのクソ強い爺さんゾンビだ。


 あの爺さんと戦わないために、わざわざロビーから遠く離れるまで待っていたというのに!


 なんでだ?と理由を考えそうになるがそんなのはあとだ、と思考を切り替える。


 せめて大我が少しでも早く魔法陣を破壊できるように、通り道にいるゾンビを狙撃する。


 慣れたのか、さっきまでと比べて遠くにいるゾンビの動きがよく見える。

 即座に数体のゾンビを片付ける。

 大我も目の前のゾンビを斬り捨て走り出す。


 よし、予定は狂ったが要は大我が魔法陣を破壊できさえできればいいのだ。

 そのまま行ってくれ大我!


 そう思ったところで爺さんゾンビが動き出した。


 マズイ。


 あの爺さんを行かせるわけにはいかない。


 爺さんに照準を合わせる。


 目的は足止め。

 足を止められさえすればいい。

 引き金を引く。

 撃ち出された矢は緩い曲線を描いて爺さんゾンビの頭へ向かっていく。

 

「完璧だ」


 つい口から漏れてしまう。

 それぐらい完璧な狙撃だった。


 なのに。


「なっ!?」


 言葉にならない。


 アイツ、矢を掴んで止めやがった!

 映画とかではよくあるシーンだがそんなことが可能なのか!?


 驚愕していると直後、さらに驚愕する事態が起こった。


 なんと、ヤツが掴んだ矢が爆発したのだ!


 ヤツの腕が弾け飛ぶ。


 事態が飲み込めないが、考察するのはあとだ。

 続けざまにヤツへ矢を放つ。


 ヤツは回避行動を取り空中へ跳ぶ。

 空中なら回避行動は取れないだろう。

 そう考え、冷静に狙いを定め矢を放つ。


 今度は足へ当たる。


 ヤツが地面に着いた瞬間、刺さっていた矢が鎖に変化し、足を地面に縫い付ける。


 そうか、これがこのアイテムの能力なのか、と理解する。


 さっきまではただ無限に矢を撃てるとしか思っていなかったのに、今は矢を変化させることができるアイテムと理解できている。


 どういうことだ?と疑問に思った瞬間、後方から何かの気配を感じる。

 後方を確認するとこちらへ向かってくる自警団ゾンビが見えた。


 マズイ、ヤツらのスピードだとすぐにオレの元に辿り着く。


 咄嗟にボウガンを盾にする。

 予想通り、即肉薄して来た自警団ゾンビとボウガンを挟んで応戦する。


 ヤツの口がオレの目の前に来る。

 噛まれたら一巻の終わりだ、少しでも距離がほしい。

 ボウガンを力いっぱい押し、ゾンビを突き放し、離れたゾンビへ即座にハイキックを叩き込む。


 予想以上に吹っ飛ぶゾンビ、おまけに完全に首が折れている。

 なんだ?なにが起きているんだ?



~大我SIDE~



 ロビーに着地した直後、近くにいたゾンビが突然倒れた。

 頭を矢で撃ち抜かれているのを見るに、十中八九ジャンの援護だろう。

 さすがだな、と思い目の前にいたゾンビを斬り捨て走り出す。


 目的はただ一つ、魔法陣の破壊だ。


 ジャンがオレの通り道にいるゾンビを次々と狙撃していく。


 凄い、百発百中じゃないか!


 おかげでかなりスムーズに進めている。


 それはそれとして、手が痛いな、と思っていたらさっきまでオレがいた2階から爆発音がした。


「なんだよ?なにが起こってんだよ?」


 気になる。

 凄い気になるが、今は前へ走る。


 ジャンの援護が止まったのでゾンビがこちらへ向かってくる。

 なにが起こっているのかわからない状態とかなんか気持ち悪いが、今は後回しだ。

 移動のために最低限のゾンビだけを倒し走る。


 すると前方にアレックス爺さんのゾンビが降ってきた!

 マジかよ、マズイ!と思い止まりそうになるが、なぜかその場から動かない。


 よくわからないがチャンスなのは間違いない。


 アレックス爺さんの横を駆け抜ける。


 前方を見ると、まだかなりの数のゾンビが残っていた。

 その光景を見た瞬間、少し迷う。


 このまま最短距離で突っ込んで無理やり進むか、少し迂回してゾンビが少しでも少ないところから行くか。


 前者は典型的なハイリスクハイリターンだ。

 あの数だ、一瞬でもゾンビたちに掴まれて足が止まれば一巻の終わりだろう。

 その代わり、うまくいけば速攻で魔法陣まで辿り着ける。


 後者は反対にローリスクローリターン。

 安全かもしれないが時間が掛かる。


 誤差の範囲かもしれないが、一秒を争う今の状況だと致命傷になりかねない。


 なのでオレは、即前者を選択する。


 時間を掛け過ぎると危険になるのはオレじゃなく樹里愛たちだ。

 彼女たちの安全が最優先、オレのことは二の次だ。


 ゾンビの中に飛び込む前に3人の状況を確認する。

 樹里愛とジョナサンはエスカレーターの途中でゾンビたちの相手をしていた。


 なるほど、あそこなら一度に相手をする数を制限できる。

 さすがだな。


 ジャンの方を見ると、ちょうど自警団ゾンビにハイキックをしているところだった。

 スゲェ吹き飛んだな。

 ていうか、あのパワー普通じゃないぞ。

 もしかして……。

 

「アァァ……」


 声がした方を見ると、大量のゾンビがオレに向かって歩いて来ていた。


 余計なことを考えている暇はなさそうだ。


 躊躇せずにゾンビの中へ飛び込む。

 ゾンビ数体の首をまとめて斬り落とし、首無しゾンビの体を蹴り飛ばす。

 後ろにいたゾンビ共を巻き込んで倒れる。


「ざまあみろ!」


 今のはスカッとした。

 なんせドミノ倒しみたいに次々とゾンビ共が倒れていくのだ。


「人が密集するとこういう危険性があるんだよ、次から気をつけな!」


 忠告して倒れたゾンビの上を走り抜ける。


 まあ、忠告されても役立てられないのが人間という生物だ。

 過去の教訓を鼻で笑って同じミスを繰り返す。

 それはゾンビになっても変わらないだろうから、忠告なんて無意味だろうけど。


 いや、ゾンビにはほとんど知性残ってないからどちらにしても無意味か。


 そんなどうでもいいことを考えていた。

 魔法陣が目の前に迫っていたため、気が緩んでいたんだろう。


 だからゾンビに腕を掴まれるまで接近に気づけなかったのだ。

 

「なっ……」


 横を見ると自警団ゾンビがいた。


 マズイ。


 幸い掴まれているのはロングソードを持っているのとは逆の腕だ。

 オレが腕を掴まれて動けないのと同じで、向こうもオレを掴んでいる以上動けない。

 今なら簡単に首を落とせる。

 そう判断し、ロングソードを振り上げ…ようとしたところで手に痛みが走る。


「あっ……」


 落ちていくロングソード。


 マズイ…マズイ……!


 あれがないとこのゾンビを倒せない。

 このゾンビを倒せないとこのまま噛まれることになる。

 噛まれたらどうなる?

 散々見てきたんだから一々思い出さなくてもわかる


 やべ、詰んだわ。

 

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