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106 事実

更新が遅れてしまって申し訳ございません。

今日から更新を再開しますので、よろしくお願いいたします。

「だが、条件が一つある。アンタが国連が作った軍隊のトップだと言う証拠を見せてくれ」


 敢えて危険に飛び込む覚悟は出来たが、一応信用してもいいのかどうかの線引きはしておきたい。


 となれば、ヤツの言っていた軍隊が本当にあるのかどうかを確かめるのが一番手っ取り早い。


 ということで聞いてみたのだが…。


「どんな証拠を望む?名刺でも出すか?部下を見せればいいか?」


 予想通りの答えが返ってきた。


 この状況で証拠を見せろと言われてもどうしようもないであろうことは、少し考えればわかることだ。


 だから俺はここで、このゲームが終わったら軍隊のある本部にでも連れていけと言うつもりだった。


 〈虎穴に入らずんば虎子を得ず〉ってヤツだ。


 ソースが大我なので、意味として合っているかはわからないが…。


「まあ、突然証拠を見せろと言われても難しいよな。だから…」

「それともこうするのが一番手っ取り早いか?」

「なっ…!?」


 ヤツがそう言った瞬間、目の前の景色が変わった!


 そこにはたくさんの人間(服装から見て軍人か?)がいた。


「中将、なにかありましたか?」


 軍人風の女が俺たちへ話しかけてくる。


 まさか瞬間移動でもしたのか?


 そう思い、ヤツを見てみると、そこには半透明になったヤツの姿があった!


「お前、それは…!?」

「驚く前に自分の姿も確認してみるといい」


 言われて初めて、俺の姿も半透明になっていることに気づいた。


「これは一体…」


「これは自身の意識のみ霊体化し、飛ばすというアイテムの力だ。そしてここが、私の作り上げた〈対デモンズゲームプレイヤー特殊部隊〉の作戦本部だ」


 ここが…!?


 なんか映画でしか見たことがないようなデカいモニターや機械が置かれているし、周囲には同じ制服を来た人間たちが忙しそうに動き回っていた。


 正直これだけで、ヤツの言っていることは、本当のことなんだと信じてしまいそうになる。


「中将、彼は?」

「彼はジャン・ルイージ・アガッツィ、マーリオゥの義弟だ」

「ラミアス大尉の…!?」


 ちょっと待て…!


 今、ラミアス大尉・・と言ったのか…!?


「おい、今のは…」

「マーリオゥは元々この軍にいた。そして理由は不明だが、突然脱走し、君の義姉…イーリスと出会い、行方を眩ませた。だから私は脱走の理由を知り、必要があれば連れ戻すために彼を追っているのだ」


 こんなところでヤツの過去を知ることになるとはな…。


 というか…。


「アンタも義姉さんを知っているのか?ミカエルも義姉さんを知っていたようだが、一体何故なんだ?」


 一応予想はついている…。


 ついてはいるが、正直外れていてほしい予想だった…。


「君も本当はわかっているのだろう?イーリスがデモンズゲームのプレイヤーだったということは」


 …やっぱりそうだったか…。


 今にして思えば、あれだけ旅行に行くといって家を空けていたのも、その間にゲームに参加していたからだったのだろう。


 そしてある時、あの男…マーリオゥと出会った…。


「マーリオゥを連れて帰って来る少し前に連絡が着かなくなったことがあった。その理由はアンタたちが義姉さんとマーリオゥを追っていたからか?」

「そうだ。二人はその時、我々から隠れるために息を潜めていたからな。君に連絡を取るわけにはいかなかったのだろう」


 正直知りたくなかったというのが本音だ…。


 まさか義姉さんがこんな命を命とも思わない戦いに巻き込まれていたとは…。


 そしてそれ以上に、俺はそれに気づくことが出来なかった、不甲斐ない、馬鹿な義弟であることを痛感させられたのだ。


 そんなことも知らずに、呑気に「女性の一人旅は危険だよな」なんて見当外れの心配をしていて当時の俺をぶん殴りたい。


「あなたにとっては知りたくないような事実まで私たちは把握しているわ。」


そう言ってヤツ…ラウルの部下が見せてきたのは、なにかの資料だった。


「これは…?」

「イーリスについてまとめた資料だ」


 その言葉に俺の思考は固まってしまった。


 言葉だけならそこまで動揺することはなかったかもしれない。


 だが、俺は見てしまったのだ。


 義姉さんが、異能を使って戦闘をしている画像を。


 そしてその写真はまるで…いや、明らかに…。


「いや、いい…。こんなの見なくても義姉さんがプレイヤーだったていうのはもう理解した」


 義姉さんがデモンズゲームのプレイヤーだった。


 その事実は最早揺るぎようのない真実であると、俺は理解していた。


 だが俺には、そんな事実を受け止めるだけで精一杯だった。


 いや、もう一つ、俺が気づいてしまった…であろう事実を断定されたくなかったのだ。


 義姉さんがさっきの資料に載っていた画像通りの、他のプレイヤーを盾にして戦ったり、平気で騙し打ちをするプレイヤーであったという事実を。


「わかった、アンタを信じよう…」


 これ以上義姉さんが俺に隠していた真実から目を背けるかのように、俺は話を打ち切ったのだった…。



~樹里愛SIDE~



「ということがあって手を組むことにしたんだ。で、その後は信頼できる人は参加しているかって聞かれたから樹里愛やジョナサン、それに大我の名前を挙げて、三人を探して今に至る…ってわけだ」


 なるほどね…でも…。


「今の話、シャドウ…?のくだりって必要だったのかしら?」


 正直ノイズにしかなっていなかった気が…。


 というかシャドウのせいで話が頭に入りづらかったというか…。


「アイツはそういうヤツだからな…。だが、アイツのおかげでこの男…ミカエルを捕らえることが出来たんだ。良いヤツなのは間違いない」


 まあ、それは間違いないんだろうけど…。


「それはともかくとして…。あなた、お義姉さんとのことはそれでいいの?」


 私には知りたくないからと目を背けるのはいいことだとは思えなかった。


 現に、ラウルが証拠として見せた光景も、ジャンを騙すための幻覚である可能性も否定できない。


 だが、ジャンはお義姉さんの話をこれ以上聞きたくがないために、信用するという返答をして話を打ち切った。


 これでは、アロナクスの思う壺ではないのだろうか?


「ああ…。正直怖いんだ…。俺の知らない義姉さんを知ることが…」

「自分が知りたくない真実だろうと、知らないといけないことはあると思うわよ?」

「俺は樹里愛みたいに強くないんだよ…」


 そう言ってジャンは目を伏せる。


 ジャンはそう言うが、私だって別に強いわけではない。


 ただ、もう二度とあの子を失いたくない…。


 それだけなのだ。


「俺だって義姉さんのことを全て受け止められるんだったら受け止めたい…。でも無理なんだよ…。義姉さんのためならなんだってできると思っていた…。だけど、義姉さんが非道なことをしていたかもしれないと思っただけで、それが揺らいでしまっているんだ…。でも、樹里愛は違うだろ?たとえ大我がどんなことをしたって、きっと樹里愛は大我のために全力を尽くすだろ…?」

「それは…」


 そう言われて考えてみたが、たしかに私はこれまで、そしてこれから先、たとえあの子が悪事を重ねていったとしても、あの子をためならなんだってするだろう。


 私はもう、二度とあの子を諦めることはない。


 それだけは断言できる。


 自分でも気づいていなかった事実を突かれ、言葉を失ってしまった私に、ジャンは悲痛な目を私に向けながら言う。


「俺と樹里愛…一体何が違うって言うんだ…?」


 その瞳を見た私は、彼に何も言うことは出来なかった…。

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