表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/125

103話 家族

「アンタは一体…?」

「今のところは敵ではない者…かな?」


 そう言って謎の男は、俺と宮古桃の間に立つ。


「もしかして〈マーリオゥ〉か…?」


 フラッシュが少し離れたところから謎の男…〈マーリオゥ〉へと声を掛ける。


 離れているため良く見えないが、遠目にはその顔は驚愕に染まっているように見えた。


「お久しぶりねマーリオゥ。〈イーリス〉は元気かしら?」


 そう声を掛けた宮古桃は、楽しくて仕方ないという顔をしていた。


「私たちの噂を聞いていてその質問をしているのだとしたら、君は相変わらず悪趣味かつ性格が悪いな。そんなんだから恋愛がうまくいかないんじゃないのかい?」

「違うわよ!!私の運命の人の周りにいる害虫共のせいに決まってるでしょ!!」

「ふ…すまない、性格云々以前の問題だったな」


 あの宮古桃相手に小粋なトークをするとか、この男何者だ?


「さて、久しぶりに会ったんだし、思い出話でもするべきなのかもしれないが、今は時間が無くてね。すまないがここは退かせてもらおうか?」


 そう言うとマーリオゥは、周囲に球体のなにかを作り出し、そこから煙を発生させる。


「な、なんだ!?」

「安心してくれ。これは危険なものじゃない」


 目の前から声が聞こえた直後、俺の体はなにかに…いや、マーリオゥが発生させた煙に持ち上げられた。


「待てマーリオゥ!ジョナサンをどうするつもりだ!?」

「少し話をするだけさ。その後どうするかは、彼の選択次第だが、ね…」


 そう言うとマーリオゥは俺を抱え、地面を蹴って空へ向かって跳んだ。


 なんだこの脚力…と驚愕しながら下を見ると、さっきまで俺がいた場所は、かなりの量の煙が立ち込めていた。


 まるで雲の中に沈んでいるようだ。


 おかげでフラッシュも宮古桃も、俺たちのことを完全に見失っているらしい。


 こんな凄い力を持っているヤツが俺に一体何の用だ…?


「ここまで来れば安心だな」


 少し離れた場所でマーリオゥは止まり、俺を地面へと降ろした。


「アンタ一体…!?」

「無事連れて来れたかしら?」


 後ろから聞こえた女の声に俺は振り返り、そして言葉を失った。


「な…!?」

「初めまして、私は…ってどうかした?ああ、もしかしてこれ?」


 と、女は自分の背中から生えている翼を触る。


「まあ、体から翼が生えてる人間なんて早々いないものね…」

「いや!?早々なんてもんじゃないだろ!?」


 普通いねえよ!!


「って、ちょっと待て!アンタ、もしかして…!?」


 大我が会ったっていう、〈モンスター〉なんじゃ…!?


「あなたの予想通りよ。私は世間では〈モンスター〉と呼ばれている存在。正式名称は〈アーク〉って言うんだけどね」

「〈アーク〉…?」


 アークってたしか十戒が入れられたっていう箱だろ?


 聖櫃とかっても呼ばれてる…。


「ええ、そうよ。いろいろあってこんな体になっちゃってね…。って、自己紹介の途中だったわね。私の名前は〈イーリス〉。イーリス・ア……いえ、〈イーリス・ラミアス〉よ。よろしくね?」

「あ、ああ…。ちなみに、なんで言い直したんだ?」

「私たち結婚したばかりでね…。ついつい旧姓を言いそうになっちゃって…」


 ああ、そういうことか…って、今はそんなことどうでもいい!


「なんで俺を連れて来た!?」


 そう、俺を救い、そして連れ去った理由がわからない。


 一体何が目的なんだ…!?


「君を連れて来たのは会ってほしい人…というより、悪魔がいたからだよ」

「会ってほしい悪魔だと?」


 何故悪魔が俺なんかに?


 そう言えば大我が、『悪魔は大量の魔力を支払うと、サポートしているプレイヤーと直接接することができるっていうオプションがあるみたいだよ?なんか推し活みたいで面白いよね。種族が違っても、行き着く先は同じとかさ』って言ってたな。


 つまり…。


「俺を応援しているサポーターってヤツが、俺に会いたがってるってわけか?」

『まあ、そんなところだね』


 俺の疑問に答えたのは、マーリオゥでもイーリスでもなく、頭に響いてきた声だった。


「な、なんだ!?突然頭に声が…!?」

『初めましてジョナサン。私は〈ドーマ〉。君の推察通り、君のサポーターの悪魔だ』


 俺のサポーター!?


 自分で推測しといてなんだが、まさか俺なんかにそんなファンみたいなのがいるとは…。


『君は君が思っている以上に魅力的だよ?もっと自信を持った方がいい』

「そ、そうか、ありがとう…。それで?なんで俺と会いたかったんだ?」


 そう、それが疑問だ。


 しかも今はゲーム中…話したいだけならゲーム終了後でも良い筈だ。


『単刀直入に言うと、君に勝って叶えてほしい願いがあるからだよ』

「叶えてほしい願い?」


 それはつまり…。


「アンタの願いを俺に代わりに叶えてほしい…そういうことか?」

『ああ、そういうことだね』

「ふざけるな!」


 なんだそれは!?


「お前は自分の命を懸けたゲームで優勝した賞品を、他のヤツに譲れって言ってるんだぞ!?そんなの了承するヤツなんかいるわけないだろ!?」

『君のいう通りだ。だから取引しよう。私の願いを叶えてくれた暁には、私が君の家族を生き返らせてあげよう』


 は?


 今、ヤツはなんと…?


『聞こえただろう?私の願いを叶えてくれたら、私が君の家族を蘇らせる。そう言ったんだよ?』


 家族を蘇らせる…?


 そんなことが…。


「本当に…そんなことができるのか…?家族を…リディを蘇らせるなんて…そんなこと…」

『誰が「リディを」なんて言ったんだい?」


 違うのか!?


 それじゃあ話が…!?


『私は「家族を」と言った筈だよ?』


 は…?


 それってつまり…?


『私の願いを叶えてくれれば、君が亡くしてしまった家族…父親、母親、そして弟…その全員を蘇らせよう』


 その言葉を聞いた俺は、少しの間放心してしまった…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ