2:『人物の二面性【200字】』
放課後、親友が私に飛びついてきた。
「オッケーを貰えたの。どうしよう、夢みたい」
うっすら涙が浮かぶ瞳はキラキラと輝いて、とても眩しく見えた。
「良かったね。おめでとう」
肩につかまり興奮でぴょんぴょん跳ねる親友を、ぎゅっと抱き締め返す。
「ありがとう。もう、なんだか嬉し過ぎて泣ける」
幸せそうな親友の声に、私の視界は徐々にぼやける。
「もしかして、泣いてくれてるの?」
抱き締めあったまま、私達はしばらく泣いた。
訊ねられた。
「なろう」の作品で、すぐ読める文字数の少ない短編で、人物に二面性のある作品は何か無いか?
二面性って?と確認すると、桃太郎を例に説明された。
人々からすれば桃太郎は英雄でも、鬼からすれば違って見えるだろう、と。
二面性を考える際に、この文のこの行動からはこう読み取れるよね、とかをしたいらしい。
さて、どんな作品があるだろうか、と考える。
一人称の作品は、地の文が主観的に書かれていて、その中で「嬉しい、悲しい、楽しい、辛い」などの感情がそのまま表現されてしまっているものが多い。二面性を考える余地無く、答えがそこにそのまま書いてあることが多いと気付く。
俯瞰的な視点、三人称であれば……と思ったが、ストーリーにはっきりとしたオチがあると、人物の感情がどうであるかの答えが出てしまっているものが多く、二面性を捉えるのは困難だと思った。
色々と考えてみたが、なかなかこれは、という作品を提案出来ず、結局自分で書いてみた。
一人称であっても、感情を書かなければ良いと思った。両面どちらにでも意味を見出だせそうな行動を主人公に取らせる。
どうだ、と思い、書いたものを見せた。
成る程と思うところはあるが、感情を読み取らなければならず、文を見せる対象とする相手には難しいだろうと言われた。もっとはっきりと、文章の中で二面それぞれの根拠を拾えるような……と言われた。
二面性……どんなものがあるだろうか、と改めて考える。
ツンデレも二面性だろうか。ツン、と、デレッ。
似たようなもので、ギャップ萌え。血も涙もない冷血漢が、実は献血50回達成している、とか。
ツンデレは?と提案すると、成る程、と返ってきた。
短い短編と言うから、勝手に頑張って張り切って折角200字ジャストに整えたのに、ツンデレという片仮名4文字に負けた。