表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/72

8、鑑定詳細結果

「留守を頼みましたよ」

 執事長との打ち合わせで少しお疲れ気味のお母様が挨拶します。急なお出かけですからね。さあ、出発です。


 馬車の中で、お父様とお母様と様々な話を聞きました。上のブルーナスお兄様が王都でひとり立ちをしたら、お父様は王城でのお仕事を引退したいという話、ブルーナスお兄様に婚約者ができるだろう話です。トレミエール姉様は歌唱力コンテストで中等部優勝を重ね、マイクス兄様は騎士団入りを目指してなかなか王都のタウンハウスにこないなど、たくさんの話をしてくれました。ブルーナス兄様の婚約予定者には王都で会えるそうです。兄様達と婚約者、鑑定してみましょう。


 王都までの道はかなり整備されているようで、道中揺れもほとんどなく、かなりのスピードで進んでいきました。


 そして、初めての外泊になりましたが、育児スキルのあるミールに久しぶりに子守唄を歌ってもらい、安心して眠ることができました。


 お父様とお母様はもちろん一緒におやすみされました。仲が良いのは良いことですね。王都をブルーナス兄様に任せて、領地でのんびり過ごすことを熱く語るお父様、頑張って引退してくださいませ。


 特記事項はまだ【王都経理総監督】のままですので、まだまだのようです。表記は変わってますが、似たようなものですからね。監督になったので実務は減ったのでしょうか…。お母様の特記事項は変化なしですね。うなじフェチ、そう言えばツアンさんも、庭師のラックさんもでしたね。うなじフェチ、意外に多いのかもしれません。


 ☆☆☆☆☆



 王都につくと早速詳細スキルを調べるために教会へむかいます。


「そうそう、リーリアと同じ鑑定スキルや判定スキルを持った人がいるはずだよ」


 お父様が手続きをして、いよいよ判定の間へ移動します。鑑定スキル者に見られるとなると。これは、転生者がバレるかもしれないですね。


「鑑定の表示はどれくらい詳細にでるのでしょうか?」


「さぁ。スキルは人によってまちまちだからね。まぁ王都だからだれからの祝福かはわかるはずだよ」


 こうなったら、鑑定士を抱き込んで、転生者なしの嘘の報告をしてもらうしか方法がないようです。料理スキルを使っておいしいお菓子でも渡せれば良かった。お菓子はもちろん持ってきていません。キッチンはどこでしょうか、ここは教会です。ああ、無理です。抱き込む方法が思いつきません。駄目です。転生者だけは絶対に隠したいのです。


 どんどんと進んでいく通路。領地の教会と規模は違えど仕組みは同じようです。私だけ通されて、両親は家族席へ。いよいよスキル判定器具に触れます。


【鑑定スキル、料理スキル、創造神の加護、女神の祝福】


 表示されたのは4つ。祝福関係として、独自に発達していたのでしょう。転生者なし。ホッとしました。


「創造神の加護?祝福も一緒?聞いたことがありませんね。鑑定してもよろしいでしょうか?」


 判定の間にいた一人が声をかけてきました。断るわけにはいかないですよね。怪しまれます。


 転生者表記なしで!!強く願って


「鑑定お願いします」


 と伝えます。


「……皆さんに表示しても?」


 鑑定した彼は一瞬驚き、静かに確認されます。もちろん拒否できません。


「…はい」



【リーリア・オーキッド・クリサンセマム 5歳、鑑定スキル(89)、料理スキル(5)、創造神の加護(大)、恋する女神の祝福(小)】


 表示が私の見ているものと違います。スキルにレベル表示があります。その分、転生者やロリータファッション愛好家などの特記事項はないようです。あと女神の祝福が増えていますね。読み漁った恋愛小説を活かせとの啓示でしょうか。精進いたします。


「……加護と祝福。我が国では2つの神の加護や祝福を持った者はおりません。陛下へご報告を」


 もう一人部屋にいた人にそう伝えると、その人は頷き、急ぎ退室していきました。


「あの。私が自分を鑑定した時はこの表記ではなかったのですが、人によって鑑定表記は異なるのでしょうか?」


「ええ、違いますよ。ちなみに今までに見たことがないレベルの低さに驚いています。料理スキルは期待しないでください。スキルは平均50くらいですので、鑑定はかなり高いですね。では、私を鑑定してみてください」


興味津々という、キラキラした瞳に見つめられながら鑑定します。


【グリース・トリーナス・フォンナンス(男)29歳 鑑定スキル、王国認定鑑定士、トリーナス伯爵家三男、足フェチ、奥様との入浴が趣味】


「表示してもらっていいですか?表示と唱えればできるはずですよ」


 唱えていいのか、果たしてこの趣味を暴露させていいのでしょうか?私ができないと思って親切に唱えることを教えてくれましたが…。鑑定士のお兄さん、覚悟はできているのでしょうか?


「大丈夫、ご両親と私だけです。どんな秘密が見られました?」


 少し楽しげに微笑む鑑定士のお兄さんの雰囲気に乗せられて、


「…表示」


 覚悟を決めて、唱えます。


【グリース・トリーナス・フォンナンス(男)29歳 鑑定スキル、王国認定鑑定士、トリーナス伯爵家三男、足フェチ、妻との入浴が趣味】


 鑑定士のグリースさんは表示した部分のある部分だけを必死で手隠ししています。大変申し訳ございません。


「なるほどね。君の場合は人間らしいコメントが最後にくるんだね。創造神の加護と恋の女神の祝福に関係しているのかもしれないね」


 暴露されたのに、何故か楽しそうです。


「そうだ。私の奥さんを鑑定してくれるかい?私は彼女と入るのがとても好きなのに、彼女は最近楽しんで入ってくれないんだ。やはり、マンネリしてしまうのかな」


 いや、私は5歳児です。質問する相手、間違えてますから。とりあえず、表示を消して、家族席にいるお父様とお母様に助けを求めて振り向きます。


「…王都にいる間であれば、可能ですわ。奥様とご一緒にどうぞ」


 お母様が怖い。そう、子供に対する質問でないですよね。でも断らないのは、同じ伯爵家だからですね。王妃候補になるかもしれない子供が生まれるかもしれないですし、助けて恩をきせるパターンも予想されます。オーキッド伯爵家の裏番長は相変わらず恐ろしいです。


「リーリア、後で私達の表示も見せてちょうだいね」


 おっとぉ!私にお怒りの様子です。困りましたね。


「…はい」


 小さい声ですが、ちゃんと返事しましたよ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代物の軽い読み物です。恋愛なしでゆるっと1500字程度ですので、こちらもよかったらよろしくお願いします!
授業中に居眠りする彼の事情
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ