表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/72

69、ロリータファッション

 王妃教育も最終段階に入り、私は“仕事“として“王妃“になることに決意を新たに精を出します。


 「最後のレッスンよ!!」と張り切って王妃自ら声掛けがございました。もうすぐ卒業です。確かに最後のレッスンかもしれません。


「今度私が主催するお茶会をあなたに一任するわ」


 と、全てのお茶会の流れを任せられました。私が一任されたことは王妃が話しているので失敗はもちろんできないですし、ブックカフェも経営している私への期待は想像以上となります。


 そこで、()()()()と思って考えたのは前世の記憶です。最近ルーカン先生からあんこを仕入れたので、和菓子にしてみようと考えました。


 さらに、ロリータファッションをドレスコードとしてみるのです。


 ロリータファッションは様々な系統がありますが、今回はフリルをつける!この1択にしてみようと思います。


 フリルは様々なところにつけられるはずです。話題になるのも面白そうです。


 和菓子✕フリルファッション、私の好きなものを集めて茶会といたしましょう。



 ☆☆☆☆☆



「リーリア様、こちらのお菓子は何で作られているのかしら?食べるのがもったいないほどきれいですわ」


「ユーリースト共和国で盛んに食べられております、あんこでございます」



 和菓子には緑茶が合うのは分かっておりましたが、準備ができませんでした。今後の課題です。渋めの紅茶と、コーヒーを用意しました。超甘く仕上げた白あんにピンクを色付けして、昔和菓子手作りキットで試していたことを思い出しながら基本に忠実に花を作っていきました。


 あとは菓子職人が私の作品から基礎を学び、自由に作り出しました。お茶会を一任されてから最後の1ヶ月は色とりどりで楽しめるけれど、全て同じ味の和菓子を食べさせ続けられました。


 おかげで少し太ったようで、ドレス合わせのときに王宮侍女にキラッと目を光らせられました。


 その侍女にも和菓子の弟子が作った作品の賄賂を渡し、ドレスを手直しいただきました。何事も色付けは大事です。


 毎日食べ続けた結果が出たのでしょう。見た目も華やかで、甘く濃厚な味に満足いただけたようです。


 その他、水ようかんも色付けされて、和菓子の中でも華やかさを目立たせたお菓子の選択をいたしました。


 テーブルは初夏の雰囲気を出して柔らかな感じにしました。爽やかなブルーをメインに白で統一感をだしました。


「いよいよ卒業ね。リーリア様、おめでとうございます」


「ありがとうございます」


 そう。いよいよ卒業です。婚約から成婚式への準備が始まります。いよいよ覚悟を決めねばならないのです。


 フェリスから大切にされているのは伝わるので、別に愛がなくてもいいと思っています。


 家族の愛に今世も恵まれました。女神様のいたずらがなければ、王太子殿下と無理矢理くっつけられることもなかったと思うのですが。一体どうしてこうなったのでしょうか。


 まぁ、生きていればなんとかなるわよね。


 前世も含めて齢3桁にもなると諦めも上手くなるのかしら。いえ、これは心の持ち様ですわね。前世、かつて新人だったころ、尊敬する師から言われた人生の教訓を思い出します。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そうね、状況に応じて、王妃という仕事をやりきりましょう。


 人生はまだまだこれからよ。もちろん我が子を抱ける嬉しさも経験できるかもしれないですし、きっと、楽しみはいくらでもありますわ。



 あと、閨は心配だけれど、王妃の義務ですもの。やりきるしかないわよね。


 きっと、取材と思えばいいのよね。実際に経験していくと思えばいいのよ。今まで聞いてきた経験がどれほど活かされるか実験もいいわね!







 

卒業式、卒業パーティーのその前に野菜カレーダイエットでスタイルを戻すことに前向きに取り組みました。


 卒業パーティーでのパートナーはもちろんフィルリス殿下です。


 お互いの瞳の色を挿し色にお揃いで誂えたとわかる正装でした。


 式典が終わり、歓談へ入ると、私は家族の元へ向かいます。


「卒業おめでとう」


 公爵家お取り潰しに一役買ったブルーお兄様がにこやかに微笑んでおります。


「ありがとうございます。お兄様、当馬は今日までですわ」


「そうだね。やっぱり殿下に捕まったね。ふふふ」


「…命は惜しいですもの。たとえ気持ちはなくても、伯爵家の娘として、立派に努めて参ります」


「あら、そんなこと言っていると殿下が今夜は離してくれないわよ」


 お母様は扇で隠しながら全力で微笑んでおります。これは怪しい笑みです。


「ほら、あ!リーリア、卒業おめでとう!殿下と幸せにな」


 お父様は既に目が合いません。チラッと何度も私の後ろを見ております。どこを見ているのかしら。


 振り向くより先に腰に腕が回ってきました。


「フィルリス殿下、ご卒業おめでとうございます」


「ありがとう。これからもよろしく。少し、リーリアをお借りしてもよろしいか?」


「どうぞ、存分にお伝えください。まったく他人の恋愛相談には的確に判断してアドバイスしているのに、自分のことになるとさっぱりで…申し訳ない」


「…いや、私も力不足で、、、」


 お父様とフェリスは何の話をしているのかしら。私が自分の恋愛が分かっていないって?そんなことないわよ。もうスッキリ仕事に生きる女になると決めたのよ。新しい門出よ。

作者は和三盆の飾り砂糖が好きです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代物の軽い読み物です。恋愛なしでゆるっと1500字程度ですので、こちらもよかったらよろしくお願いします!
授業中に居眠りする彼の事情
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ