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54、夏の領地

 領地へ戻り、本屋カフェの運営計画を立て、領地へ来る陛下達の準備を進めます。


 殿下でなく、陛下です。以前お父様が名物と言ったポテイトチップスが気になるそうで、視察しちゃおうということになったそうです。夏祭りに合わせていらっしゃいます。陛下と、側室様、フィルリス殿下、スカーレット王女で、さらに直前になり王妃様も来られるとのことで、大騒ぎになっております。


「おかえりなさい。お姉様、マイク兄様、お父様とブルー兄様から連絡は?」


「明日の午前中には着くとの連絡ですわ」


「わかりました。時間は予定通りとお母様に伝えて、あとは調理場でのトラブルが発生してないか、私、確認してきます!」


 こういう時って、準備される予定の〇〇がまだ届いていない!とか、腐ってしまった!とか、おもてなしの料理ネタであるものね。確認しておいて、損はないわ。


 部屋のメイキングの最終チェックに、歓迎会の夜会の花飾りは明日夜予定通りくるのかの確認、お母様は総監督であっちへこっちへ指示を飛ばしております。


 その後はお姉様、マイクお兄様、お母様と少し遅めの夕食です。今日は簡単鮭のクリームグラタンです。明日と最終日、戦場となる調理場にピッタリの本日のメニューです。これも少し工夫して本屋カフェのメニューにしたいわね。鮭の事前にクリームシチューを作ってしまえば後は焼くだけですものね。いいわね。


「リーリア、メニューは決まった?レシピは売るつもりなの?」


 お兄様は私と同じことを考えていたのでしょうか。


「そうですね。門外不出にしたほうが差別化されるので、お店の中での管理にして、売るつもりはなかったのですが、結局辞めたシェフや味を調べて真似る人もいるのかなと悩んでます」


「それならレシピは1年間は門外不出として、その後安く売ってしまうのもいいかもしれないわね」


 お母様が折衷案をだします。確かにそれが一番利益がでるかもしれないわね。


「また新しいレシピをリーリアが発案すればいいじゃない」


 というのはお姉様、簡単には出てこないと思いますわ。前世の記憶から思いついているだけですもの。よって、ストックは減るばかりです。


「お母様のおっしゃる通り、最初は門外不出で契約して、その後はレシピを買ってくれるところがあれば売りたいですわ」


「領地の料理人はリーリアのレシピについてはすでに門外不出の契約を結んでいるんだよ。商会にも求人の話の時に話しておこう」


 その後、本屋カフェは次期伯爵家としてお兄様を主に担当させることになったことを伝えられました。


「試験が終わったらいよいよオープンへ向けて動きたい。いくつかお店の候補があがったんだ。試験前に見てほしい。夏祭りが終わったら少し早いけれど王都へ行こう」


 今度はミールは置いていくことになりそうです。契約も変更しましたし、大丈夫でしょう。ちなみに久しぶりにフェリスに会えるとか、そんな緊張はすでにどこにもありません。


 次の日の朝、淡々と業務をこなす私にお姉様が


「少しは浮かれたりしないのかしら?好きな人が会いにくるのに」


 浮かれる?何故に?好きな人ではないからでしょうか。そういえば、好きだと言われたままでしたわね。確かに小説では好きな人が自分に会いにくるとなったり、会えるってなった時はどの作品も同じ様に浮かれていた描写がありました。そういう意味でも私はまだフェリスが本当に好きじゃないんでしょうね。何より


「準備が慌ただしくてそれどころじゃなかったですもの」


 お姉様達が来る前の送迎準備を遠い目で思い出します。


「確かに。前日でこれだもの、前もっての準備を含めたらすごい大変よね。しかも直前での陛下と王妃殿下の来訪。確か最初はフィルリス殿下と側室様だけだったんでしょう?」


 そうです。人数変更に伴う食事、部屋、時間スケジュールも全て変更になりました。お母様はあの日は徹夜したかもしれませんね。


「先触れが来たわ!まぁ!サントス!!」


 どうやらお姉様の婚約者(仮)のサントス様が先触れ隊員の1人のようです。騎士団の粋な計らいですわね。お姉様は聞いていなかったのでしょう。驚きと嬉しさで大興奮しています。無事に告白できたのでしょうか。


【告白後はサントスへの恋心爆走中】


 ―大丈夫そうね。本当に好きだったら、私もこんなふうになるのかしら。見つけた瞬間から走り出して、自分から駆け寄り抱きしめ合っております。


「驚いたかい?」

「ええ、嬉しいわ!」とでも会話しているのでしょうか。抱きしめあったあとそのまま二人乗りして。周りに見せつけているようです。


 今日のサントスは騎士服が凛々しく、まさに美女と野獣のカップルに見えます。



「お久しぶりです。サントス様、そしてようこそお越しくださいました。騎士の皆様」


 私にとってはこれからがスタートです。お姉様もあっと気づいて戻って来られました。騎士の方々の生温かい目がこちら側、ホスト側へ向かうお姉様を追いかけます。


「殿下の到着まで1時間です。本日より3日間、よろしくお願いいたします」


 本日は歓迎会の後、2日目に夏祭り、3日目には領地周辺の貴族との交流で夜会となります。


「よろしくお願いいたします」


 まずは全員での出迎えからですわね。

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現代物の軽い読み物です。恋愛なしでゆるっと1500字程度ですので、こちらもよかったらよろしくお願いします!
授業中に居眠りする彼の事情
― 新着の感想 ―
[一言] なんでまだ王子に怒っているのか分かりません。 浮気したわけでもなく、蔑ろにされたわけでもない。 かわいいって一言褒めただけなのに。
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