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27、王家のお茶会

 最後の仕上げとばかりにお母様から檄を飛ばしていただきまして、いよいよ予定されていた王家のお茶会です。黄色のリボンが編込みされたドレスで登城です。いや、私ってこんな美少女だったのね。ベースが黄色系の淡い色でまとまっておりますわ。前世では自然に出せなかった髪色。全身淡い色使いをしたことで、柔らかな、野原に咲く可憐な花をイメージさせます。素敵です。


 うちも王家も、このお茶会で私と王太子殿下の婚約を結ぶ予定で動いていたようですが、教会からの反対が強く今回は諦めざるを得ない状況となったらしいです。


 よって両家は二人の仲の良さをアピールし、周囲に見せることで容認派を増やし、反対派をあぶり出すことにしたそうです。


 ちなみに王家は私よりも魅力的な相手が現れたらすぐに乗り換えるだろうと、お父様は話しておりました。リーリアが王太子殿下を好きになったなら応援はするよ、とも。いや、もともと王太子殿下のお生まれに合わせたところがあるので期待はしているのかもしれませんが。


 お茶会はお母様が招待されて、王太子殿下と王女殿下とも一緒に遊ばせましょうねという好意により娘も招待です。これに異を唱えた同じ伯爵家の息子と娘がいるサージェント伯爵家もお茶会予定とのことです。


 王太子殿下の生誕祭で公式なお茶会までは高位貴族である伯爵家のみの交流に抑えるようです。何事もバランスですわね。



「先日お城でスコーンをいただきまして」


「え?あの前に?」


「ええ、昼食前に少しだけですわ。朝からの準備でお腹が空いていましたので、助かりました。たいへん美味しゅうございましたわ。スカーレット殿下は毎日お城でシェフこだわりのスイーツを召し上がっていらっしゃるのかしら?何がお好き?」


「スコーンはもちろんですが、最近はフルーツパイかしらね。とくにブルーベリーパイがお気に入りよ」


 テーブルにはブルーベリーパイと色とりどりのマカロン、マフィン、もちろんスコーンも置いてありました。


 私は王女スカーレット殿下とお菓子の話で盛り上がります。今日はクリス殿下は不参加です。王太子はつまらなさそうです。お母様は王妃殿下、側室アニー様と朗らかに話しております。たまにちらっと王太子殿下とも話せや!と視線を感じます。


 私がちらっと王太子殿下を見たのを王女殿下が感じ取ったらしく、


「お兄様は余り甘いものはお好きではないわ。甘くないものが好きみたい」


 見るとスコーンを食べておりました。


「フルーツサンドなどは良さそうですわね。あとは私の領地で流行中のポテイトチップスなど」


「「ポテイトチップス?」」


「ええ、じゃがいもの塩っぱいお菓子ですわ」


「塩っぱい。ぜひ食べてみたいな」


「串焼きロンに負けないほど美味しいはずよ」


 私は少し小さめの声でフィルリス殿下へ話します。串焼き屋の話はお母様に怖い角が生えるかもしれませんからね。


「ふふふ。楽しみにしてる。今度一緒にお忍びにいこう。食いしん坊の君に教えたい場所があるんだ」


 フィルリス殿下も小さめの声で話します。また人のこと食いしん坊って言って。まったく。


「食いしん坊ではないですが、美味しいところならぜひ教えてくださいませ」


 前世は美味しい店を巡るのは趣味のようなものでした。美味しい料理をお店で食べた後は再現にもハマっておりました。美味しいものへの探究心はリーリアになっても同じであることに少し嬉しくなります。


「お兄様、内緒話?私には教えてくださらないの?」


「もう少し大きくなってからかな」


 いや、王太子殿下、あなた、スカーレット殿下の年にお忍びで護衛振り切ったんでしょう。無事だったからよかったろうに。ルマから聞きましてよ。


 ジト目でフィルリス殿下を見ていると、

 私達を見ている大人の女性陣のニマニマと視線がぶつかりました。内緒話をしている様子が仲睦まじく見えたようです。


「仲間外れは良くないわ。私も一緒にお話ししとうございます。リーリアお姉様、いいでしょう?」


 私へアプローチするなんて交渉上手ね。


「そうね、でもスカーレット、お話はそろそろ切り上げて、リーリア様に庭園を案内するのはいかが?」


 私へのフォローでしょう。王妃殿下が話題転換されました。ありがたく合わせます。


「ありがとうございます。王城の庭園、広すぎて1日では見れないと聞いております。スカーレット王女殿下のお気に入りを見せていただけないかしら?」


「もちろん!お兄様には、内緒の場所もあります」


「それは楽しみですわ」


 手を引かれて庭園へ向かいます。可愛らしくトテトテと歩きます。見応えのある庭園でしたが、何より広いということが印象に残りました。


 お茶会での帰り道、お母様が「王太子殿下攻略の前に立ちはだかるのは妹の王女殿下ですね」とぼそっと呟きます。私はまずは王城を歩く体力だと思われます。お散歩コースに給水コーナーやおやつタイムが用意されていたのはスカーレット様と一緒だからでしょう。王家御用達のお菓子、たくさんいただきました。ごちそうさまでした。

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現代物の軽い読み物です。恋愛なしでゆるっと1500字程度ですので、こちらもよかったらよろしくお願いします!
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