20、風呂夫婦
【グリース・トリーナス・フォンナンス(男)29歳 鑑定スキル、王国認定鑑定士、トリーナス伯爵家三男、足フェチ、妻との入浴が趣味】
【イポメア・フォンナンス(女)27歳、清書スキル、フープ教会筆頭書記官、耳フェチ、お風呂はマンネリ感、SMプレイに興味あり】
「「・・・・・」」
一同驚愕。
さすがのお母様も言葉がでないようです。
「えーっと、最近、君がお風呂を嫌がるのはマンネリ感があるから?僕の耳が好きなの?」
「あなたこそ、趣味って、足って」
いえ、イポメア様のその後の特記事項がなかなか衝撃的で、突っ込むところはそこじゃない気がします。
「お風呂のマンネリは仕方ないわよね。私も入っていたけれど、隠しようがないからはずかしがるとかもなくて、お互い裸でしょう?見慣れてくるのよね。家族としてスキンシップとしては毎日入るのはいいと思うけれど、性的なものではなくなっていくわね」
お母様がズバッと切り込みます。いったいどちらの援護でしょうか。
「私は別に性的な意味で君と毎日お風呂に入らなくてもいいと思っている。趣味だから。あぁでも、太ももは愛でさせて」
彼は堂々と宣言します。
「毎日お風呂に入ってすみずみまで見られているのよ?欲情しないなんて女として悲しくなるかもしれないわ。だからといって毎回は辛いし、のぼせるし、ねえ」
お母様が同意を求めてイポメア様を見ます。頷きあう二人、経験者同士、思うところがあるのでしょう。
「でしたら、イポメア様のSMプレイを体験してみてはいかがでしょうか?お風呂は一緒に裸で二人のんびり入り、夜は雰囲気を変えてみるのは?興味があるようですし、グリース様も楽しめるかもしれませんわ」
「「・・・・」」
皆さん静かです。興味はあるが経験はないのでしょう。ちなみに私もありません。前世では多くの恋愛小説を読みましたので、情報は十分に知っておりますが。体験はありません。
「イポメア様が興味をもったきっかけはどなたからかお聞きになったのですか?」
こんな時はSMプレイ経験者から教えてもらうのが一番でしょう。聞き出しましょう。
「ええ、二人目を授かろうとしている友人からマンネリ感防止策としてやってみなさいよとお勧めされましたの。まだ子供もおりませんから、刺激が足りないんじゃないかと」
「道具はどちらで購入するのかしら?やはり有名なあのお店かしら?」
お母様が興味をもったようです。ついでににゃんも教えてあげてください。
「お母様、せっかくですので、お母様の表示もしますわね」
「え、リーリア」
止める間もなく表示します。フェアじゃないですものね。情報交換ですわ。
【犬耳カチューシャ尻尾つきワン、SMプレイに興味あり】
猫から犬に変更されてました。最近のお母様の特記事項はノリが良すぎます。私が楽しんでいるのが伝わるのでしょうか。
「「犬」」
風呂夫婦の二人が呟きます。ですよね。びっくりですわ。でも前は猫でしたのよ。
「・・・お店、紹介しますわ」
静かに伝えるお母様。夫婦がさらなる大人の階段を登るお手伝いですか?素敵です!
お風呂夫婦がマンネリ防止のためにあるお店のお得意様になるのはまた後々の話でしょう。
お母様はもちろんすでにお得意様になっているようですわね。
私もいつかはそのお店にお世話になるのかしら。そんな素敵な旦那様ができたらいいですわね。前世で結婚はせずに独身だった分、今世では幸せな結婚に憧れる気持ちをより強く感じるところです。
「恋する女神達の祝福。なるほど」
と、どうやら勝手に鑑定されていたようです。
「小は変わりませんか?」
「達になったからか、祝福は大になっているよ。すごいな。誰か縁結びでもしたのか?この短期間でよっぽど好かれる体質なのだろうか」
「いずれにしろ、祝福はありがたいですわ。お二人がこれからも仲の良い夫婦でいられるよう、お祈りいたします」
「そうね。確かに。これもご縁ですもの。イポメア様、困り事があれば相談にいらっしゃい。私達はお互いの秘密を教えあった仲ですものね」
お母様、笑っているのになんでしょう。これ、怖いですね。マウントを取っているのでしょうか。
「これから夜会でお会いする時にはご挨拶させてくださいませ。仲良く、よろしくおねがいします」
イポメア様も負けていません。笑顔ですがバチバチと火花が見える気がします。
「リーリアちゃん、鑑定スキル持ち同士、これからよろしくね」
「よろしくおねがいします」
私とグリース様は二人とは正反対でほのぼのと笑い合いましょう。
わんわん
楽しんでいただけましたら作者幸せです。




