12、全員集合
お父様とブルーナス兄様が帰宅されました。お父様、お疲れのようです。
「カナー、ちょっといいか?」
お父様は帰宅後すぐにお母様と二人で話をするようです。
「明日!?あなた、そんな、まさか」
お母様の声が大きすぎてそこだけ聞こえてきました。
ブルーナス兄様は苦笑いでドア越しに耳をつけている私を見ています。ここはお父様の部屋です。護衛のジーナは呆れ顔です。だって、気になるんですもの。
「後から教えてもらえるよ。さあ、リビングへ行こう」
ブルー兄様はすでに知っているようです。しぶしぶリビングへ移動します。
私はブルー兄様に促され、今日あったお姉様の友人の話や傘の話をします。また、ブルー兄様の婚約者の話を聞きながら待っているとお父様がやっと現れました。
「明日、家族で王城へいくことになった。リーリアの祝福と加護持ちが発表される。マイクスも呼び出し、家族全員登城だ。学園は午後から行ってもいいが、おそらく騒がしくて大変だろうからいかないほうがいいだろう」
「リーリアはその後王族と昼食だ」
・・・は?なぜに?
「これから急いで陛下への正式な挨拶の仕方と王族との食事の流れを説明するわ。とても心配だわ」
「私も同席する。が、リーリア、メインは君となる。発言には気をつけるように」
「国から正式に保護されて、護衛もつくことも説明したほうがいいよ」
ブルー兄様が付け加えます。保護と言われると珍しい動物扱いされているようで不満です。昼食は囲い込みでしょうか。何より、今以上に、外出も制限されるのは嫌です。いっそのこと、護身術を習えばいいかもしれません。
「ああ、保護は教会からと国からの両方だ。加護と祝福を受けた者を無下にはしないだろうが、リーリアがまだ幼いことから囲い込みができると思われて、傀儡にしようと狙ってくるかもしれぬ、としてな」
ブルー兄様が慰めるように私の頭をポンポンと軽く撫でます。
「リーリア、領地にはしばらく戻れない。神様からの祝福は過去に何度もあったが、加護と祝福をそれぞれ違う神様からもらっているのが我が国歴史上初めてなんだ。神の御使いとして巡業したほうが良いという教会からの申し出を年齢を理由に断った」
お父様は思い出したのがよっぽど嫌だったのか、苦虫を噛み潰したような顔です。
「さあ、夕食前に挨拶の一通りの練習を」
お母様に促されてカーテシーの練習と挨拶の言葉を頭に叩き込みます。
お父様とブルー兄様は今後の方針を続けて話すようです。
お父様が帰宅前に連絡していたのか、マイクス兄様も帰り着いたと連絡が入り、家族全員で夕食となりました。
食堂へいくと、いつもと席が違います。王族との食事についての流れを説明するために、お母様の席が私になり、お母様の食事の用意はされておりません。
「私は後で食べますから、リーリアに説明した後で」
まだ5歳なので、できなくてもいいことはあると思うのですが。
「粗相すると作法知らずで教会へ学びにこいと囲われてしまってはよほどのことがないと戻ってこれないだろう。また、発言によっては神の御使いで巡業。この登城で判断される可能性もある。むしろ教会は狙っている。教会は国を超えての活動だ。自国に残して置きたい王族と静かに敵対している」
状況がだいぶ掴めてきました。どちらにしろ、領地に戻ってまったりのんびりは先のようです。
ブルー兄様がマイクス兄様とトレミエール姉様へ説明していきます。久しぶりの家族揃っての食事は慌ただしく過ぎていきました。
明日が不安です。無事に帰れるのでしょうか。
☆☆☆☆☆
慌ただしく朝も準備が進みます。ドレスの正装なんて持っていないので、昨晩のうちに私のドレスの1つが正装タイプへチェンジしていました。正装タイプ?ええ、腰を紐で縛るコルセット付の、プリンセスラインのドレスです。
朝食はパンを一口かじっただけ、出発するころにはお腹が空きましたわ。いくら腰を締めるたって、お子様ですからね。
挨拶の時にお腹が鳴りそうです。困りましたね。
家族みんなで馬車に乗り込みます。私はお父様のお膝です。人数オーバーな感じがします。
「内緒の話をしようと思ってね」
なるほど。馬車にぎゅうぎゅうにもわけがあるのですね。
「まず、リーリアはもともと王妃候補筆頭ではあったが、陛下は王太子殿下の婚約者として内定を急いでいる。王弟である公爵様の息子が婚約者として希望を出す前に。私も王弟殿下の息子にリーリアを嫁がせると良くないと思っている」
「なぜですか?王弟殿下のご子息は今10歳で、そこまで年齢が離れていないではないですか」
お姉様が聞きます。
そう、囲い込みという、単純な話なら王族に嫁がせるのであれば私はどちらでも問題はないはずです。
お父様は内緒話の真髄を語り出します。
「王弟、現在の公爵様は次期王太子候補の墮胎及び王太子殿下暗殺を計画したことで領地へ飛ばされたんだ」
なかなかディープな内緒話に車内はしんと静まります。
極秘で処罰されたそうです。公爵様の息子は子に罪はないとして、王位継承権第2位のままとなり、息子は父の公爵様から離した結果、教会へのつながりが強くなっているそうです。
そして、王族の昼食は王弟の息子も出席することを伝えられました。
祝福と加護持ちのリーリアが教会へ抱き込まれると今以上に教会のパワーバランスが崩れてしまうそうです。
「「・・・・」」
情報過多でしたので、父の話した後はしばらく静かでした。
「・・・・つまり、私を教会に抱き込まれると王族は困るってことで、合ってますか?それで、私は教会へ連れて行かれると帰ってこれない?」
「そうだ。表立っては教会に行きたくないとは言えないから、無難に断っていくことになる。あと、王弟の息子、クリス殿下からアプローチされる前に王太子殿下と婚約を内定しておきたいところだが昼食までには間に合わないだろう。とにかく、クリス殿下は無視だ。王太子殿下を見ておけ。いいな」
お父様、作戦が雑になってます。王族に無視。大丈夫でしょうか。
「鑑定もそこそこにな。聞かれても答える必要はない。まだ練習中で、上手くいくときとそうでないときがあるとか言っておこう」
こちらの指示も適当です。
ただ、お父様が適当な理由はすぐにわかりました。王城へ着いたのです。




