10、ドレスの付属品
次の日、ブルーナス兄様とお父様は王城へ出勤、姉も、高等部へしょんぼりした足取りでむかいます。
昨夜、姉には伝えました。不満爆発の寸前ですから、できる限り早いほうがいいと思ったのです。ですが、あの姿を見ると伝えて良かったのか不安になります。
さすがにお姉様の様子がおかしいので、お母様が私へ鑑定内容を聞き出します。
「…そう。トレミエール自身が知ることで、変わろうとしているのなら、きっと上手くいくはずよね。教えてくれてありがとう」
帰ってきたら、お姉様をまた鑑定しようと思います。不満爆発寸前の物騒な表記がなくなっていますように。
「さ、今日はお茶会へいく予定のドレスを仕立てるわ」
王都で御用達のデザイナーの呼び出し予約をしているそうで、姉様達を送り出したらすぐに客間にお客様がおりました。
「ご予約ありがとうございます。リーリアお嬢様の王城でのお茶会用のドレスをご注文ですね。最近のお子様向けはこちらです」
お母様といっしょにデザインをいくつか見せてもらいました。これに近いなら、クラシカルロリータですわね。短いスカートを履くと批判される年齢になったころからたくさんお世話になりました。
「お母様、私、これがいいですわ!あと書き加えてもいいかしら?」
お母様はロリータファッションを概ね認めているようで、以前私がドレスや服に注文したことで、洋裁スキルがあると思っていたそうです。今は創造神様の加護と思っているのでしょうね。
私は一枚のAラインドレスに描き加えていきます。薄い緑色をグラデーションで3色使い、裾を3段にし、中にレース生地、リボンは淡い黄色、袖口は同じ黄色の紐で編み上げて、リボンにする。胸元はフリルに同じく黄色のリボンチョーカー風にしていきましょう。
お茶会なら帽子か傘が必要よね。ロリータファッションの醍醐味、可愛い傘!!あるのかしら?
「傘は売っておりますの?」
「傘?いいえ、弊店は貴族向けですので、うちでは販売しておりません」
傘は貴族の方は持たないそうです。
「貴族向けの可愛い傘を作っていただけないかしら?」
「…デザインで判断させていただきたいと思います」
慎重な判断ね。お互い見合ったタイミングで鑑定が表示されました。
【リットラ・シーセシー(男)33歳、洋裁スキル、王都有名マリーナ看板デザイナー、猫耳カチューシャをお揃いでつけた彼女と一緒ににゃんにゃんすることに夢中】
「ブォッ、コホン。コホン」
「リーリア、はしたない」
吹き出した私を窘めるお母様。いや、だって、お母様だってこれを表示したら表情が変わると思うわ。本人のために、表示しませんけれど。
「失礼しました。では、デザインを描いていきますね」
ロリータファッションで必要グッズとして王道の傘がないなんて!私はロリータファッションを愛する気持ちをこめて描いていきます。基本、布製の日傘です。ドーム状のふわりとした形、細い持ち手、フリルを上段中段下段にそれぞれ増やしながら。色はまず白にしましょう。
「こちらは日傘として持つイメージですわ」
「日傘でしたら、大きめを使用人に持たせます。なるほど、こちらは御婦人自身で持たれるイメージですね」
食いついてきました。いいですね。
「まずは一本、作っていただけないでしょうか?」
「奥様方、私共は傘を作ったことがございませんので、商会へ製作を依頼し、売出しはこちらで対応させていただきます。おそらく、これくらいの費用がかかりますがよろしいでしょうか?」
デザインした紙に数字を書き入れます。ドレス一着分の費用です。傘一本にしてはかなり高額です。
「もし、売りに出すならデザイン料をいただくわ。それでいいでしょう?」
お母様、このデザインで、売れると判断しているのでしょう。加護持ちですしね。えっへん。
「かしこまりました。ドレスより完成は遅くなりますが王都にいらっしゃる間にお届けに参りましょう。しかし、上のお姉様も芸術センスがあるとお聞きしておりましたが、下のお嬢様もですか、素晴らしいですね」
「リーリアのスキルは違いますわ」
「ほう。それは、、」
デザイナーさん、キラリと野次馬の瞳になりました。
「まだ言えませんの。ほほほ」
お母様、わざとらしい様子が逆に怖いですわ。
「では、またドレス完成時に。よろしくお願いいたします」
すっと立つ二人に合わせて慌てて私も立ち上がります。
デザイナーさんはペコリとお辞儀をしてさっと帰っていきました。
「…リーリア、吹き出したのは何を見たの?」
お母様には隠し事は無理なようです。
「猫耳カチューシャでにゃんにゃん」
それだけを伝えました。
その後、しばらくして、お母様の鑑定表示に同じにゃんにゃんが表示されたのを見ました。女神様、祝福ありがとうございます。
明日も日没後に更新します。




