爆弾魔討伐
「ところで赤棒、この世界から出る方法って何かないか?」
「うーんとな……あっ、いい方法があるぜ!」
赤棒がおもむろに腰に付いている青い箱に手を突っ込み、何かを取り出そうとする。
「えっ、なんだその青い箱!?」
「大きさ関係なくなんでも好きなだけ入れられる便利な箱さ!親友の作った発明品で、名前は『ブルーボックス』だ!分かりやすいだろ?」
「デカいもんがいくらでも入るなんてスッゲエなコレ!」
「だろだろ?お、もうすぐ例の物が見つかりそうだ……」
大きさに関係なく無限収納か。分かりやすく便利なアイテムだ。
「おっ、これこれ!『ワープメーカー』!」
「ワープメーカー?」
出てきたのは青色でリング状の物体。そこまで大きくなかった。
「これも親友が作った発明品で、いつでもどこでもワープゲートを生み出せるんだぜ!」
「おおっ!」
おお、まさしく脱出に最適なアイテムだ。
「どの世界にワープするかはランダムみたいなんだけどな」
「ランダムって事はここよりもっと過酷な世界に飛ばされる可能性があるのか」
「そうだな。というか、この世界ってそんなに過酷なのか?確かにそこら中燃え盛ってるけど平気だぜ?」
「平気なのはお前と星だけだ」
「えっ、あっ、そうか」
「えへへ」
ランダムとなるとこの方法は賭けだな。ここよりもっと過酷な世界に飛ばされる可能性があるから、この世界にとどまるのが無難か。
だけど、今のこのまともに戦えない現状も充分にキツい……いや、さっきみたいに飛び上がればいけるか。ただ、それだと空中を自由に動く手段が無いからそこを狙われるな。
「うーん、やっぱりワープするしかなさそうか……」
「よし、そうと決まれば早速いくぜ!」
赤棒が使おうとしたその瞬間──
「うおわっ!?」
いきなり爆発した。
「あああああああ壊れたぁああああっ!!」
「いやービックリしたぜ……もしかして、故障か?」
「いや、あいつが故障品を渡すはずはないんだけどな」
「だとすれば誰かが破壊したのか?」
「誰って誰が?」
「それはまだ分からないが」
「あっ、あれ見てあれ!」
「ん?」
星が俺たちの方に指差し……じゃなくて先っちょを向けているので後ろを振り返ってみる。
「どうだ、俺の不意打ち爆破は!ビックリしただろう!?」
「うおっ!?爆弾!?」
そこにいたのは、手足の生えた真っ黒で丸い爆弾姿の生物。しかも話せる。
「お前の仕業か爆弾野郎!」
「ああそうさ!俺はボ」
「火力砲ーっ!!」
「ええっ!?」
「このタイミングで撃つのか!?」
あまりにも唐突に赤棒のビームが放たれる。
「ま、まだ名乗ぐぉおああああああっ!?」
例の爆弾生物もこの不意打ちには反応できず、直撃。付近の岩盤まで吹っ飛ばされ、大爆発。
「目には目を、不意打ちには不意打ちを、ってぬあぁ……力が抜けりゅぅぅぅ〜……」
今のビームでエネルギーを使い果たしたのか、ふにゃけた状態で倒れる赤棒。なるほど、ここから誰かが補給するか自然回復で復活するまでがあいつの戦闘における一連の流れというわけか。
「星!エネルギー補給を頼む!」
「分かった!」
このままだと無防備で危険なので、星に赤棒へのエネルギー補給を任せる。さて、さっきビームが直撃した爆弾生物の様子を──
「うらぁああああっ!!」
「うおっ危ねえ!?」
見ようと思った矢先、そいつがエネルギーを纏って俺たちの方に突撃。俺も黒棒もとっさに避けられたが、少しでも反応が遅れていたら当たっていた。
「俺の名はボマァアアアアッ!!」
「名乗りながら!?」
性懲りも無くまた突撃……名乗りながら。そうか、ボマーか。さっき名乗れなかったのを根に持ってるのかもしれない。これも二人で難なく回避。
「俺に爆破させろぉお!!」
「そんなに爆破したいなら壁や地面にでもぶつかってろよ!こっち来んじゃねえ!!」
恐らく何かにぶつかると爆発するタイプの攻撃。もし爆破したいだけなら人にぶつかる必要は無いはずだ。
「そうか、その手があった!」
「えっ?」
「フンっ!!」
あっ、これ余計なヒントを与えてしまったかもしれない。奴が突撃を止めて頭を地面に叩きつけようとしている。急いで離れなければ。
「距離を取……がはっ!?」
「どわぁあっ!!」
十分な距離を取れず、俺たちは爆発に巻き込まれ、吹っ飛ばされる。それと同時にバリアが割れ、破片がそこらに飛び散る。
「まずい、張り直さないと……!」
まずバリアを張って、着地の衝撃で割れるのでもう一度張り直し。それを二人分。合計で4回か。身を守る為とはいえ、エネルギーの消費が激しいな……
「白棒、そんなに近付いたらぶつかっちまうぞ!?」
「大丈夫だ、調整はする。バリア!」
「ああ、そういう事か」
そうだ、俺が黒棒の近くに寄れば、一人分で済む。着地して割れて、張り直す。
「ふう、なんとかなったな」
別にエネルギーが枯渇しても、回復まで待ったり取り込んだりすればいい話だが、その間隙を晒してしまう。節約できる所があるならするのが一番だ。
「白棒、どうすんだコレ?同じバリアの中に二人って余計に動き辛くなってないか?」
「確かにそうだな……」
バリアはその中の人物の動きに連動して動く。二人入ってるとなると、動きを合わせないとまともに行動できない。
「うーん、いい加減バリアでこの世界に立つのは厳しいのかもな……」
何か他に良い方法は無いだろうか。熱さを防ぎ、かつまともに戦える方法が……障壁、壁、盾、鎧……そうか、鎧だ!
「黒棒、俺と一緒に飛び上がってくれ!いい技を思いついた!」
「分かったぜ白棒!」
俺と黒棒が空中に飛び上がったのを確認し、バリアを解除。そして代わりにエネルギーを互いの全身に張り付かせる。
「なんだこりゃ!?まるで鎧みたいな……」
「ああ。こいつが新技、アーマーさ。これで守りながら戦えるようになるはずだ!」
「おお!まさしくナイスアイディアだぜ白棒!」
バリアのようにエネルギーが内部で防がれる事なく戦える。これでようやくこの世界でまともに戦えるようになった。
「よし来いボマー!」
「勝負はまだまだこれから……ってあれ?あいつはどこだ?」
「ぎゃあっ!!」
「なっ、星!」
しまった、立て直しに集中していて、星やボマーから目を離してしまっていた……!
「どデカい爆発をプレゼントしてやるぜ!」
倒れている赤棒、星に向かって特大のエネルギー弾を投げ込むボマー。
「やらせるか、ウォール!」
即座に壁を立てて爆発・相殺。ふう、なんとか食い止められたな。
「どんどんいくぜ!うらぁあっ!!」
今度はこっちに向かって特大のエネルギー弾が二発投げ込まれる。
「真っ向勝負だ白棒!ビームで返り討ちにしてやろうぜ!」
「分かった、いくぞ!」
回避や防御だけでは戦いは終わらない。ここらで一回ぐらい攻撃を叩き込んでおくのがいいだろう。
「ノルマは一人一発!ぶっ放せぇええ!!」
「おらぁああああああっ!!」
二人同時に両手を構えてエネルギーを溜め、それぞれのエネルギー弾に向けてビームを発射。激突した瞬間にボマーの方へ押し進められていく。
「なんだと!?」
「いけぇえええっ!!」
そのまま直撃し、大爆発。それを見届け、俺と黒棒はビームの発射を止める。
「ぜぇ……ぜぇ……やったな……」
「ああ、そうだな……」
流石にビームともなると、一発だけでエネルギーの消費が激しい。そろそろ溜め直さなければ、枯渇してしまうかもしれない。
「やって、くれたな……!!」
「おいおい、まだ倒れてねぇのかよ……!?」
ダメだ、そんな余裕は無さそうか。それにしても、ビームを三発も受けて倒れていないなんて、物凄く頑丈な身体だな。
「もう手遅れだ。俺もお前らも、全員終わりだ……!」
「終わりだって?一体どういう事だ!?」
「俺の命が尽きる時、世界一つを丸ごと消し飛ばすほどの大爆発が引き起こされるのさ」
「なんだって!?」
今にも死にそうな状態になっている事を考えると、いつ爆発してもおかしくない。俺のライフエネルギーで少しでも延命……は一瞬だけ考えたが、残り僅かなエネルギーでは焼け石に水だ。ならば、選択肢は一つ。一刻も早く脱出しなければ。
「星!赤棒は起きてるか!?」
「うん!さっきエネルギーを与えて復活させたところだよ!」
「おうよ!バッチリ目覚めてるぜ!」
「ワープメーカーはまだあるか!?」
「さっき爆破された分が最後だ」
「じゃあ、他の世界に移動できる発明品か何か持ってないか!?」
「いや、他にそういう発明品はないな」
「なら、ワープゲートを生み出したりは」
「できないな」
「困ったな、早くしないとこの世界が大爆発してしまうのに……」
もしかしたらと思って赤棒に尋ねてみたが、ダメだったか。ううむ、本当に手詰まりだ……
「なんだと!?そりゃやべえ!えーと通信機通信機……あった!」
そう言って赤棒が青い箱から取り出したのは、青い腕輪。
「至急応答してくれ青棒!緊急事態だ!」
『……こちら青棒、一体何があった?』
赤棒が腕輪に向かって話し始めた、と思ったら腕輪から聞いた事のない声が出始めた。青棒という名前らしい。赤棒の言う親友とはこの人物の事なのだろうか。
「この世界がもうすぐ大爆発して消えちまう!ワープメーカーはさっき壊れちまったし、脱出手段が無い状態なんだ!転送機能で助けてくれないか!?」
『分かった。転送機能でエネルギー世界へお前をワープさせる』
その言葉が聞こえると同時に、赤棒の身体が青く光り出す。
「よし、俺の近くに寄ってくれ!一緒にワープしてこの世界から脱出するぞ!」
「分かった!」
「よし!」
「よいしょっと」
言われた通りに俺と黒棒、星が近付くと、同様に光り出す。
『3、2、1、転送!』
腕輪から聞こえるその言葉と共に、俺たちはこの世界からの脱出に成功するのであった。




