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エネルギー修行(実戦編)

「えーと、確かポーズはこんな感じで……」


 現在、黒棒と共にエネルギーを使う技の開発の真っ最中。まずは茶棒との戦いで偶然発動したバリアを再現しようとしているのだが、なかなか上手くいかない。あの時は運が良かっただけなのだろうか……


『コツはイメージする事じゃ』


 ふと、師匠に言われた言葉を思い出す。そういえばあの時、灰棒のバリアを想像しながら発動しようとしていたな。手を前に構えて、エネルギーを注ぎ込み、ドーム状の障壁をーー


「……バリアっ!」

「うおおっ!?」


ーー張れた!


 間違いなく俺の周りに白くて透明なドーム状の障壁ーーバリアが張られている。偶然じゃない事を確かめる為に、黒棒にも張る。


「バリアっ!」

「って俺にも!?しかもちゃんと張れてる、って事は……完成したんだな!」


 無事成功。二回連続で成功したのなら、疑う余地もないだろう。


「ああ!灰棒の技を一つ受け継いだんだ!」

「よーし、俺も負けてられないな!」

「俺だって負けないぜ!」


 技を一つ開発でき、俺たちの勢いは増す。どんどんと開発が進んでいった。


【命名:エネルギースナイプ】

「指一本にだけエネルギーを集中させて、対象を慎重に狙い済まし、極細のレーザーをイメージしながら放つ」

「おおっカッケェ!まるでスナイパーじゃねえか!」


【命名:エネルギーブレード】

「白棒、俺も灰棒の技を再現してやったぜ!今から見せてやる!」

「うおっ!?黒棒、それ……」

「アッハハハ、長すぎて木に刺さっちまった……ちゃんと調整しないとな」


【命名:エネルギーシールド】

「平面で丸い障壁だ。身体よりも前に張れば、攻撃を防ぎつつ突撃できる」

「いいなそれ、俺も使えるようになりてえ!やり方教えてくれよ白棒!」

「少し待ってくれないか?この技、形や大きさなどを変えれば応用できそうな気がするんだ」


 他にも色々な技を開発。開発した技は二人共使えるように共有した。こうして時間が過ぎ、最後の修行の時がやって来たーー





「ではいよいよ、最後の修行に入る。この前にも言った通り、ワシと2vs1で戦ってもらう。詳細じゃが、お主らがそれぞれ一発ずつ攻撃を当てられれば合格じゃ」


 師匠との対決か。実際に師匠が戦う場面を見た事は無いが、どんな戦い方をするのだろうか。


「では始めるぞ」


 師匠が臨戦態勢に入るのに合わせ、俺たちも戦闘の構えに入る。こうして対峙すると、相手からの威圧感がヒシヒシと伝わってくる。


「ヌ……」

「来るぞ……」


 師匠の右手にエネルギーが集中。何を仕掛けるつもりなんだ?


「スプレッド!」


 こっちに向かって投げられる。ただのエネルギー弾……いや違う、散らばってる!


「げっ、拡散してくるのかよ!?これじゃ逃げ場がねえぞ!」

「バリアっ!」


 とっさに俺と黒棒を覆うようにドーム状の障壁を張る。直後、大量に弾を弾く音が鳴り響く。


「ほう、防いだか」

「ふぅ、危ねえ危ねえ……ありがとな白棒!早速やられちまう所だったぜ」


 ひとまず出オチは防げた。ただ、バリアを張ったままだと動けないな。シールドなら動けるが、大きさ、耐久の面で弱く、時間稼ぎには向かない。もっと大きく、もっと硬くーー


「ウォール!」


 よし、できた。俺と黒棒の目の前に大きな四角形の壁を張り、バリアを解除。これで弾を防ぎつつ動けるようになった。というかまだ弾が大量に飛んできてるのか。一体どこから……あれか。師匠の目の前に浮かんでいる、青くて丸い塊。


「白棒、何じっと見てるんだ?……あっ、あれか。ギチギチにエネルギーが詰まってるな」


 うーん、しばらく止まりそうにないなアレは。


「さあここからどうする?この大量エネルギー弾の布陣をどうにか切り抜けなければ、ワシに攻め入る事はできんぞ」


 そうだ、守ってばかりではいけない。攻撃を当てる必要がある。ただ、今は待ってエネルギーの弾幕が途切れるのを待つのが賢明だ。


「因みに、あの塊から放たれる弾一発一発のエネルギー量はかなり節約されているから、塊自体がエネルギー切れで消える事はないぞ」


 ダメだった。という事は、エネルギー弾を何とかしつつ攻め込まないといけないのか。


「それと試験中じゃが一ついいか?お主らがバリアと呼んで発動した技じゃが、正しくはドームじゃな。バリアは球体の障壁じゃ」

「えっ、そうだったんですか?でも、以前戦った時にはみんなアレをバリアと呼んでましたよ」

「障壁を張る技を一つ一つ別の名前で呼ぶのがややこしくて『バリア』に統一する者は少なくない。恐らくそのパターンじゃな」

「なるほど……」


 師匠からの唐突な技名に関するレクチャー。灰棒も茶色のアイツも技名の呼び分けが面倒くさかったからバリアで呼んでいた可能性があるのか。うーん……とりあえず、今は戦いに集中しよう。


「ムムム……」


 黒棒が塊と大量の弾の光景をじっと見つめている。何か対策を考えているのだろうか。


「よしいくぜ!」


 と思ってたら突然師匠に向かって突撃。そうか、動きを見極めてたんだな。


「よっ、ほっ、はっと」


 しゃがんだりジャンプしたり左右に身体を傾けたり等の動きで、大量に飛び交うエネルギー弾を器用に回避していく。黒棒はスピードが速く、攻撃を避けるのが得意。俺にはない、黒棒だけの強みだ。


「捉えたぜっ!」


 あっという間に師匠の目の前まで接近。サラッとやり遂げてるけど凄いな黒棒。


「まさか全て避け切るとは驚いた。じゃが、爪が甘いのう。フンっ!」


 師匠が両手を前に突き出した瞬間、強い衝撃が黒棒に走り、こっち側に吹っ飛ばされる。


「うおわあっ!?」

「黒棒っ!」


 とっさに両手を広げ、受け止める事に成功。


「大丈夫か!?」

「ああ、平気だ。助かったぜ白棒」

「よかった……」


 怪我も特にないようで一安心。そのまま地面に下ろす。

 それにしても、衝撃波か。近付いても吹っ飛ばされるのが分かったのはいいが、どう作戦を立てたものか。確か師匠は黒棒のいる方向に両手を向けて衝撃波を放っていた。という事は、もしかして一方向にしかできないのだろうか。なら、二方向から同時に攻めれば少なくともどちらかの攻撃は入るはずだ。よし、この作戦でいこう。


「白棒、何考えーー」

「黒棒、もう一度攻めるぞ!今度は俺も出る!」

「お、おう、分かったぜ!」

「シールド!」


 自身の前に平面で丸い障壁を生み出し、黒棒と共に師匠に向かって走り出す。直後に何かの割れる音がすぐ近くで響く。


「なんだ!?」


 一度立ち止まり、周りを見渡してみると、さっきまで俺たちを守っていたウォールが粉々に砕け散っていた。


「今飛び出さなかったら、蜂の巣になってたんだな俺たち……」

「ああ……」


 前に向き直り、再び走り出す。幾多ものエネルギー弾がシールドに当たり、何度も音を奏で続ける。どんどんと師匠との距離が狭まっていく。


「よっと」


 黒棒がジャンプし、師匠の上側を陣取る。俺はそのまま師匠の正面に接近。


「よし、これならーー」

「二方向から来るとは考えたのう。じゃが、通さんぞ。ヌググ……」


 師匠が力んでいる。一体何をーー


「フンッ!」


 ドーム状の衝撃波、という事は全方向!


「どわぁあっ!!」

「黒棒っ!」


 空中で回避手段が無い黒棒はもろにくらい、遠くまで吹っ飛ばされる。


「ぐうっ!」


 とっさに反応できず、俺にも直撃。ただ、シールドのおかげで衝撃が緩和して耐えられたようだ。よし、衝撃波を乗り切った今なら、攻撃を叩き込める!


「いくぞっ!」


 拳の当たる距離まで近付き、右腕に力を入れて師匠に叩き込む!


「惜しいのう」

「うっ!?」


 弾かれた!?これはーー


「バリアか!」

「うむ、その通りじゃ」


 やはりそうか。しかもこの障壁、相当硬い感触がした。ただの格闘じゃ破れない。エネルギーが必要だ。


「くっ、ショット!」


 少し距離を空け、エネルギーの弾を手から放つ。バリアに当たり、爆発。着弾点から煙が広がって師匠の姿が見えなくなる。


「どうだ?」


 煙が晴れると、そこには無傷のバリアを纏った師匠が立っていた。全く通用せずか。


「それじゃ威力が足りないのう」

「くっ……ブレード!」


 手からエネルギーの刃を生み出し、バリアに叩き込む。真っ二つ、とはいかずーー


「割れたっ!?」


 むしろ刃の方が粉々になってしまった。流石に硬すぎる。ショットもブレードも通用しないとなると、残るは威力の高いビームしか無さそうだ。一旦師匠から距離を取り、両手を合わせてエネルギーを溜め始める。


「はあぁぁ……!」

「ビームか。そう簡単には溜めさせぬぞ」


 師匠がバリアを解除し、手を前に出す。何か放って来ると予想して回避行動を取ろうとするもーー


「ヌンッ!」

「どわっ!?」


 反応が遅かったせいで間に合わず、師匠の衝撃波に直撃して吹っ飛ばされる。当然ビームの溜めも台無しになってしまった。


「くそっ、ダメか!」


 ビームは溜め時間の長さが弱点。そこをなんとかしなければ、放つ事は出来ないだろう。


「おっと、忘れずに張り直さないとな」


 再びバリアを張り直す師匠。うーん、抜かり無いな……


「おーい白棒!」


 この声は黒棒か。さっき衝撃波で吹き飛ばされたばかりなのに復帰が速いな。流石のスピード。


「ってあれ?バリア張ってるのか師匠?」

「ああ。ショットやブレードが弾かれて、ビームも溜め時間を邪魔されて放てずに手詰まりの状態なんだよな」

「そうか……あっ、俺に良い考えがあるぜ!」

「本当か!?」

「ああ!」


 黒棒が急に両手を合わせ、エネルギーを溜め始める……ってビーム!?


「いやそれ、今俺が邪魔されて放てないって言ったばかりーー」

「邪魔されなければいいんだろ?全力で逃げながら溜めるからお前は時間稼ぎ頼むぜ!」

「えっ、ちょっ、待ーー」


 言い終わる前に黒棒がその場から走り去った。決断が早すぎる。


「ワシの目の前で話してるから作戦バレバレじゃぞ」

「あっ」


 確かに。ヒソヒソ声でもなく距離を取って隠れてるわけでもないから丸聞こえだったな。何故気付かなかったんだろうか俺……とりあえず、時間稼ぎだ。


「バリ…違った、ドーム!」

「むっ」


 師匠の周りにドーム状の障壁を張る。技の開発中に気付いたのだが、障壁を張る技には張った後にその位置が固定される技とされないある。バリアとシールドは前者、ドームは後者だ。位置が固定されるなら、こうして閉じ込める為に活用する事ができる。これで多少は時間稼ぎにーー


「ほりゃっ!」


 ならなかった。拳一つでドームが粉砕され、脱出。いやいや、素手で障壁を粉砕するって怪力がすぎる。


「ドームに閉じ込める発想は良かったが、硬さが足りないのう」


 茶棒の刀を止める事は出来たのに、師匠の拳を止める事は出来なかった。どちらも破壊力は抜群だ。何が違うのだろうか。


「では、さらばじゃ」


 まずい、このままだと逃してしまーー


「って速いな!?」


 大量の砂埃が舞い、一瞬で師匠の姿が消えた。黒棒を止めに行ったのだろう。結局、全然足止め出来なかった……いや、まだだ。


「ん……」


 黒棒と師匠が持つエネルギーは知っている。なら、エネルギーの感知だ。目を閉じ、集中する。すぐに二つのエネルギーが高速で動いている様子が感じ取れた。黒棒のエネルギーがさっきよりも大きくなっているので、順調にビームを溜められているみたいだ。だが、既に師匠に追いつかれている。俺のスピードで追いかけても間に合わない。なら遠くから狙い撃とう。


「エネルギー……」


 いや、やっぱりダメだ。仮にショットを放ったとしても、バリアに防がれてダメージが及ばず、それを良い事に爆発の中を強行突破されるから目眩しにすらならない。更に言えば、爆発に黒棒が巻き込まれてビームの溜めを台無しにしてしまう可能性もある。全くメリットが無い。


「バリア!」


 なら、黒棒を守ろう。とは言っても、近くならともかく、遠くの味方へバリアを張るのは初めてだ。一発で成功出来ればいいのだが……そんな事を考えていると、どデカい衝撃音が鳴り響く。


「遂に始まったか……」


 恐らく、黒棒のビームを妨害する為に師匠が猛攻を仕掛けているのだろう。今の俺に出来るのは、黒棒を守る事だけだ。


「バリア!バリア!」


 割れてもいいように、失敗してもいいように、何度も張り直す。何度も、何度もーー



「白棒っ!悪い、助かったぜ!」

「うおあっ!?」

「おいおい、何も驚く事ないじゃねえか」

「悪い、いきなりだったもんで……」


 突然何かが飛び出して来たと思ったら黒棒か。バリア張りに集中していたせいで、接近に気が付かなかった。バリアが残ってる、という事は少なくとも上手くいってたんだな。そして手元には十分に溜まったエネルギーが。


「準備出来たんだな」

「おかげさまでな」


 ビームの弱点であった溜め時間の長さは乗り切った。後は師匠に当てるだけだ。ただ、避けられてしまえば苦労が無駄になる。足止めが必要になるな。


「そう簡単に放たせはせんぞ」


 丁度師匠が飛び出してこっちに迫って来た。よし、足止めならあの技だ。


「ドーム!」

「こんな技、一瞬で破れーー」


 一瞬だけで充分さ。


「ぶちかませ黒棒!!」

「おうよ!くらぇええええっ!!」

「ムオッ!?」


 黒棒渾身のエネルギービームが放たれ、師匠を飲み込んで遠くへと伸びていく。


「よし、これで俺は合格だな!」

「ああ。後は俺が攻撃を当てるだけだ」

「さっき助けてもらったから、今度は俺が協力するぜ!」

「助かる」


 ただ、黒棒はこのビームでエネルギーを大分使い果たしてしまっているから、時間経過か空気中からの取り込みで回復させないといけないが、師匠がその隙を逃す訳がない。さっきよりも厳しい戦いになるだろう。……いや、待てよ。よく考えたら、今が攻撃を当てるチャンスじゃないか?ビームをくらって師匠は動けない状態。これ以上のチャンスはなかなかないだろう。


「黒棒、ビームは後どのぐらい放ち続けられるんだ?」

「えっ?うーん、後数秒ぐらいだな」

「分かった、絶対に最後まで止めるなよ」

「それってどういうーー」


 もう時間がない、すぐに決めなければ。


「行くぞっ!!」

「おいっ、白棒!?」


 意を決して、ビームの中に飛び込む。身体強化で防御力を上げ、少しでもダメージを抑えておく。


「ぐぅううううう……っ!」


 それでもかなりのダメージが入る。全身が焼けるように痛い。強引に突き進むと、防御態勢に入っている師匠の姿が見えた。バリアは破れている。


「白棒、何故お主がこの中に!?」

「ここで決めなきゃ、いつチャンスが来るか分からないからな……っ!」

「下手をすれば死ぬかもしれないんじゃぞ!」

「命なんて、何度でも賭けてやるさ!」


 茶棒との戦いで思い知った。命を賭けて戦わなければならない時がある事を。命を賭けなければ守れない者がいる事をーー


「くらぇえっ!!」


 右腕にありったけの力を込め、師匠に叩き込む。


「ぐうっ!見事、じゃ」


 確かな感触。間違いなく攻撃が当たった。これで俺も…合、格……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜黒棒side〜


くっ、もうエネルギーが尽きる……


「はあっ、はあっ……」


 ビームが消え、そこに残っていたのはーー


「白棒っ!」


 全身傷だらけでその場に倒れる白棒と、それを心配する師匠の姿だった。


「大丈夫か!?目を覚ましてくれ!」


 すぐに白棒に駆け寄り、揺すったり声をかけたりエネルギーを分け与えたりするも反応無し。やっぱりビームの中に飛び込むなんて無茶が過ぎたんだ。


「大丈夫じゃ。ダメージこそ受けてはおるが、しばらくすれば目を覚ますじゃろう」

「本当ですか!?」

「うむ。それと、白棒も合格じゃ。ビームの中で見事に攻撃を当てておったぞ」


 それを聞いて安心した。もしこれで成果なしだったら、報われ無さすぎる。


「お主も白棒も、エネルギーを上手く活用した見事な戦いぶりじゃった」

「ありがとうございます!」

「これで修行は終わりじゃ。ひとまず、白棒が目覚めるまでワシの家でしばらく休むといい」

「はい!」


 エネルギーの基礎、技を覚え、実戦に取り組み、俺たちは修行前よりも格段にレベルアップできた。まだまだ茶棒には届かないだろうが、それでも大きな一歩だ。地道に歩んで行こう、白棒と共に。

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