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ある不器用な恋の物語  作者: 自鳴琴 奏
3/10

目はすべてを語るもの

話しが一区切りつき、沈黙が訪れる。

 なんか不思議だわ…ルイス様との沈黙なら気まずいとは思わない…。彼の人柄と雰囲気のせいかしら?心地良いとすら思う時があるわ。

 シャンパンを口にしそう思っていると、顔をほんのりと赤くしたルイス様と目が合った。


「会場で、君の姿を見た時から思ってたけど…今夜もとても綺麗だね…アイリス。」

 はにかんだ顔で、何処か熱を帯びた瞳でー真っ直ぐに言うルイスにアイリスの頬は赤く染まっていく。

 アイリスの今夜のドレスは、プリンセスラインのシンプルな水色のドレスで、膝から裾にかけて純白の糸で施されたバラの刺繡が咲き誇っている清楚で品あるドレスだ。

 髪型も緩くアップにし、真珠が散らされアクセントに3本の白バラが飾られている。


「ありがとう…ございます ルイス様。」顔の赤みを隠すように、恥じらう様に、少し目を伏せながらアイリスは言った。

 ――2人の間には、まるで初々しい恋人達のような甘酸っぱい空気が流れていた――


 このままでは…何かがマズイ様な…。そう思った瞬間アイリスを呼ぶ兄の声が聞こえた。

ホッとして振り返る、アイリスの真後ろにスペリア伯爵家嫡男 ローラント・ジーク・スペリアが立っていた。


 ローラント・ジーク・スペリア

   スペリア伯爵家の嫡男 アイリスの2歳上の兄、妹と同色の黄金の瞳と栗色の短髪 誰が見ても兄妹と分かる程よく似ている容姿だが、まるで騎士を思わせるようなような凛々しいキリッとした雰囲気をしている。


 「こんばんはローラント殿、お会い出来て光栄です。」ルイスは侯爵家嫡男の顔して挨拶をした。

 「こんばんはルイス様、こちらこそ光栄です。妹の話し相手をして頂きありがとうございました。そろそろ帰宅せねばなりません、失礼させて頂きます。」

 ローラントは妹に手を差出し少し困った様に言った。

 

「そうですか。それは残念です。アイリス嬢との楽しい時間 ありがとうございます。」

    

 先程と同様の熱を帯びた瞳で、柔らかく真っ直ぐ言うルイスにアイリスの赤みは更に増した。


 「帰りましょう…。兄様。」今夜はどうしたのだろう…ルイス様の顔が見れないわー!兄の腕に自身に腕を巻きつけ顔背けたまま出口へと向かう。


 途中で髪飾りの白バラが落ちた、アイリスが気が付き後ろを振り返った時には、何処にもおちていなかった。

 それは、ルイスの手の中にあったのだーまるで慈しむかのように、愛する恋人に触れるかのようにその白バラを大切な宝物のように触れ、見つめる。

 次の瞬間アイリスとルイスは目が合った!


「――っ!!!」


 先程以上に熱を帯びた燃える瞳は、これ以上ない程強く熱くアイリスを見つめていた。

どの位見つめ合っていただろう、周囲の音は遮断されて完全2人の世界だったー。


 目が離せないわ…。アイリスそう思った時ルイスは動いた、白バラに口づけたのだ。

アイリスの鼓動がいっきに跳ね上がる 顔も身体も全身が真っ赤だ。


 どうしよう…。どうしたらいいの…。どうすればいいの…?


 

どうやって伯爵家に帰ったのかも、いつお風呂に入ったかも、いつナイトドレスに着替えたのかも…。

兄や侍女に心配され、部屋の灯りが無くなりベッドに横になったのも分からないー!分からないなんて!


 眠らなくてわと思うのに眠れない…

    目を閉じれば目の裏にアイリスが落とした白バラに口づけるルイスの姿が――!

 

思い出してまた全身真っ赤になる。あれから胸の鼓動がとまらない。

 


 こんな事私は知らないわ!こんなー!こんな事ー!言葉にすらできないわ――!



生まれて直ぐ婚約者はいたものの、ディリクはあの通りだ、艶めいた事に無縁で免疫がなさ過ぎるのだ、アイリスはこの手に関しては余りにも無知で、余りにも幼すぎる。



   ――その夜アイリスは一睡もできなかった――

 



 




 

目で語る男 ルイス様

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