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20. 【大魔道士】ルメイヤ

 大魔導士ルメイヤと呼ばれるこの魔女が放った言葉にククリは息を飲んでしまう。禁魔目録は7つの大罪からなる名前から取られた最強の魔術書。その中で今まで強欲と暴食に出会った。そして―――。


 「【忘却の怠惰】……?」


 ルナは振り返ったまま動かない。無表情過ぎてどういった気持ちかは分からないが何よりも任務優先のルナが立ち止まるのは引っ掛かるものがあるのかもしれない。


 「メサイアが作り上げた禁魔目録のひとつ、忘却の怠惰。記憶を消して眠らせる魔法。どうやらその仕事ぶりから見て怠惰ではなさそうじゃがな。どこで手に入れた」


 「さあ。知らない」


 「とぼけるな!!」


 放たれた魔法は闇属性と氷属性が合わさり魔導となり襲い掛かる。魔導となるとただの一般攻撃魔法とは分けが違い対処がかなり難しくなる。


 ルメイヤの姿が消える程の闇が包み込みそこから幾本もの手が足元から伸びてくる。


 「なにっ!!!」


 掴まれた足は床から這い出た手ごと氷漬けになり身動きが取れなくなってしまった。更にその手は何本も伸びて身体を覆い氷漬けにしていく。ルナの姿も闇の中で見えなくなってきている。


 「ク……クリ……」


 「ルナあああ!!このままではまずい!!ずああああああああ!!!!」

 

 ククリは身体中から炎を出して氷を溶かしきった。更にククリは剣に高出力の光を溜め始める。


 「光龍閃!!!」


 剣から放たれる光の線は渦巻ながら闇を切り裂いた。ルメイヤはふわふわと浮かびながらこちらを見下ろしている。その冷たい視線は人形の様に感情が籠っていない。


 「複数のマナを使えるなんて剣士のくせに珍しいのう。これならどうじゃ」


 「待ってくれ!話を、ぶっ!!」


 二人の身体を纏う様に包んだ水泡の中に水が急速に入り込んでくる。更にはその水に電気のマナまで包まれているのか神経や筋肉を痺れさせてくる。


 息も出来ない上に全身麻痺、この状況はかなりヤバ過ぎる。ルナが剣で突き刺そうにも水泡はゴムで出来ているのかの様に弾力があるだけで斬る事が出来ない。


 「あああああああああああ!!!」


 ククリはルナを抱き寄せると身体から凄まじい勢いで風のマナを大量に放出した。水を外側へ押し出しながら水泡がどんどんと膨れ上がり弾け飛んだ。


 「はぁ……はぁ……マナが……もう……」


 マナ切れによる立ち眩みや眩暈や吐き気、コンディションも睡眠不足となると最悪の状況だ。次に来る魔導は確実に対処不可能。


 「マナ切れかい。次で終わりにするかのう」


 「ぜー、はー、ま、まって……」


 「お願い待って」


 ルナはククリを強く抱きしめたままルメイヤに言った。その小さな身体と柔らかな身体は小さく震えていた。水で濡れたせいなのか恐れているのかは表情からでは分からない。それでも必死で守ってくれてるのだけは分かる。


 「へ、へへ……。だせぇな。守らなきゃいけない大事な人に守られるなんて漢としてだせぇよな。あああああ!!」


 ククリは必死に立ち上がった。もう何がどうなったっていい。それでもこの力ある限り立たずにどうなるっていうんだ。身体がズタボロでマナが無くても魂だけで立ってやる。


 「次の攻撃を凌げたら話を聞いてやるわい」


 「やってやるよ。絶対に凌いでみせる!!」


 ルナは剣を持って反撃の構えを見せるがククリは剣を引かせた。そしてルナを抱き締めて耳元で囁く。


 「お願いがあるんだ。またあの炎を出して見せる。俺が殺意で満たされた時、ルナの声で意識を取り戻せた。だから傍にいてほしい。攻撃を凌いだら俺を取り戻してくれ」


 「……………わかった」


 左手でルナの手を握りククリは剣を床に突き立てた。ルメイヤは既に光と闇の魔法を放つ準備をし終えている。禍々しい黒と白の光がぶつかり合いながら相殺せずに魔導として成り立っている。


 「これで終わると思った?大魔導士はこんなものではないぞ!!」


 更に空間系の魔法を練り込むと大気が狂い時間軸がズレ始めているのか空間が歪んでいく。まるで世界そのものが一点に集束している様にも見える。


 「若き頃のメサイアが最も強力と呼んでいた最強魔法。ワシもあの頃から修行を重ねてやっと使えるようになったのじゃ!食らうがいい!!」


 「頼む、爺さん。力を貸してくれ!!【ラース】!!」


 身体から迸る炎は身体全体を包み込んだあと心臓部へと流れ込んでくる。そして足元から赤い炎、左目から青い炎燃え広がっていく。更に黒い炎が身体周辺を渦巻いている。


 「なんじゃ……その力は!!ええい!カタストロフィ!!!」


 「く、くはは、ぎゃはははははははは!!!」


 襲い来る絶望とも言える強大なマナを前にククリは笑う。殺意、怒り、そして腹の底から溢れ出る笑い。ああ、憎い、苦しい、殺したい、殺したい殺したい殺したい!!


 殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい!!!!


 「ククリ!!!」


 「はっ、ずあああああああああああ!!!!!!」


 瞬間的ではあったが身体から溢れる黒い炎に雷、水、氷、土、空間、光、闇の属性魔法を一気に放出して収束させた。そして黒い炎は槍上となりカタストロフィへと向かっていく。


 「全属性一斉開放……!?そんな、ありえない!」


 「ずあああああああああああ!!!!!!」


 「ククリいいいいいいい!!!!」


 殺したいという殺意が頭を浸食していく中で、頭の中にルナの声が上書きされて搔き消される。身体の奥底から吐き出して漏れ出しながらマナが次々と溢れ出てくる。同時に奥底から溢れ来る殺意はどうしようもなくルメイヤへと向けられていた。


 「なんなんじゃ、それは!!何者なんじゃお主は!!」


 「あああああああああああああ!!!!」


 虹色に燃え広がる炎の槍はカタストロフィを貫いた。そのまま燃え尽きてククリは倒れてしまい、マナ切れのせいか浮いていたルメイヤも力尽きて地上に落ちた。意識が朦朧としたまま視界は暗黒へと消えた。


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