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レベルが全ての世界でレベル上限1の落ちこぼれ貴族だった俺がなぜか聖剣を抜けたので勇者になります

作者: sho

レベル。

この世界の人間にはレベルと呼ばれるステータスがある。

魔物を倒すなど様々な行動で経験値がたまり、レベルがあがる。

日常生活でも経験値はたまるため、年齢=レベルであることが平均だ。

そして、全ての人間にはレベルの上限がある。

100であれば凡人、200であれば秀才、300であれば天才、400以上であれば英雄だ。


俺の名はクラウス=アルベルト。

代々高レベルの騎士を排出している、名門貴族アルベルト家の次男だ。


「はぁ、何で俺はレベル1なんだ・・・」


ここは王国の教会の中。


自分のステータスボードを確認したあと、

黒い短髪を掻きながら、ため息を付く。

椅子に座り落ち込んでいると、背中をたたかれた。


「どうしたクラウス?何回見てもステータスは変わらないぞ」


後ろを振り向く。

長い黒髪をなびかせ、豪快にわらう男が立っていた。

兄のロイドだ。


「そういう兄貴はどうなんだよ、最近レベル上がってないんだろ?」


兄貴はステータスボードをこちらに投げてきた。

内容を確認して驚いた、レベルが3も上がっている。


「いやー、この前の冒険で倒したキメラがそこそこ強かったらしくてな。やっとレベル100を越えたよ」


兄貴は26歳でレベル102、レベル上限は561の英雄の器だ。

対して俺は17歳でレベル1、レベル上限も1の落ちこぼれだ。


「良いよな兄貴は、この王国で一番の上限を持ってて」


このままレベルを上げていけば、王国の騎士団長も夢ではないだろう。


「まぁお前もレベル1の割には頑張ってるんじゃないか?ステータスだって少しは上がってるんだろ。それに、騎士や冒険者になれないお前でも、商人になるとか色々あるだろ、お前はそっちの勉強頑張れよ」


兄貴は、そういうと笑いながら外へ出て行った。

相変わらずムカつく兄貴だ。

確かにレベルが低くても活躍している人は多くいる。

でも、俺は冒険者になりたかった。


「どうにかならないかなー」


悩んでいてもしょうがないし、稽古にでも戻るか。

外へでると、なにやら道の真ん中に人だかりができていた。

王政府からのお知らせの立て札がでているようだ。

人だかりを掻き分け、内容を見てみる。


    魔王復活の兆しあり。

  魔王に対抗するため、勇者の選定を行う

 我こそはと思うものは、聖剣の丘へ来たるべし。


「魔王が復活だって?それに勇者の選定・・・こうしちゃいられない!」


稽古なんかしてる場合じゃない!今すぐ聖剣の丘へ行かないと!


聖剣の丘・・・王国の西にある、聖剣が眠る丘

数百年前、魔王を倒した際に勇者が使ったとされる伝説の剣。

役目を終えた剣を、勇者は岩に突き刺し、こう言ったのだ。


「遠い未来、魔王が生まれたならば、勇者もまた生まれる!その時この剣は、再び勇者の力になるだろう!」


勇者が残したその聖剣は、誰にも抜くことができなかった。

いつしかその丘は、聖剣の丘と呼ばれ、王家によって守られてきた。


「すごい人だな」


目にした光景に驚きを隠せない。

100人以上の男たちが、みな挑戦しようと集まっていた。

貴族だけではなく、平民の姿も見える。


聖剣の横には王国の騎士が立ち、挑戦者たちをまとめていた。

今は屈強な体つきの冒険者が挑戦している。

力と全体重をこめ引き抜こうとしているようだが、剣はびくともしない。


「クラウス、やっぱりお前も来たか。レベル1のお前でも、挑戦する権利はあるもんな」


そんな様子を見ていると、声をかけられた。

兄のロイドが近づいてくる。


「兄貴も挑戦したのか?」


ここにいるという事は、今から挑戦するか、したあとなのだろう。


「いや、まだだ。お前が来ると思って待ってたんだよ。俺が剣を抜くところ見せつけたくてな」


兄貴は自分が剣を抜き、勇者になると信じて疑っていないようだ。

確かに兄貴なら抜けるかもしれない。


兄貴が騎士に話しかけている。どうやら挑戦するようだ。


「次の挑戦者はレベル上限561。現レベル102。名門アルベルト家の長男ロイド=アルベルトだ!」


騎士が叫ぶ。

集まった男たちから一斉に歓声が上がる。

兄貴は貴族でありながら平民にも優しい上、あの才能だ。

冒険者とも行動することも多く、王国の人気者だった。

俺は兄貴の事は大嫌いだった。

レベル1の俺を見下しているし、自信家なところも嫌いだった。


「ありがとうみんな。俺が勇者になるところを見ていてくれ!」


兄貴が呼びかけると、さらに歓声が激しくなった。

兄貴が剣の前に立ち、片手で柄を握る。

何度か踏ん張っていたが、抜けないようだ。

今度は柄を両手で握り、顔を赤くするほど力を込めている。


「だめだ!これは抜けないな!」


何分か頑張った後、さっぱりとした声でそう叫び、笑顔で顔を上げるロイド。

集まった男たちからは、労いの言葉が飛んでいた。


「さぁ次の挑戦者はいないか!?」


騎士が次の挑戦を促す。

ロイドが抜けなかったことで、尻込みしたのか誰も挑戦しようとしない。

嫌いだが、実力も才能もある兄貴が抜けないのだ。俺も無理だろう。

そう思っていると、まだ剣の横に立っていた兄貴が声をかけてきた。


「クラウス、お前も挑戦してみろよ!」


男たちが一斉にこちらを向く。


「おいおい、万年レベル1のあいつも来てたのか」

「ロイドに抜けないのにあいつに抜けるわけがないだろ」

「あいつが挑戦するなら、俺の子供の方がまだ抜けそうだぜ」


男たちから次々とヤジが飛んできた。

英雄の器の兄貴と、レベル上限1の出来損ないの弟。

兄貴とは別の意味で、俺もなかなかの有名人だった。

正直すぐにでも逃げ出したかったが、元々挑戦するつもりだったのだ。


「やってやるよ!」


剣の前に立つ。

騎士が笑っているのが見えた。


「次の挑戦者はレベル上限1!英雄ロイド=アルベルトの弟、クラウス=アルベルトだ!」


男たちからのヤジがひどくなる。

兄貴も笑っていた、レベル1の俺に抜けるわけがないと思っているのだろう。


柄を握り、力を込める。

すると、頭の中に不思議な声が響いてきた。


「未来の勇者よ、私が残したこの剣とともに、伝説となれ!」


するりと剣を引き抜き、勢いよく振り上げる。


その場にいた誰もが、目の前の光景を信じられず、言葉を発せないでいた。


そんな中クラウスは、喜びで震えていた。

聖剣を引き抜いた瞬間、数え切れないほどの加護が与えられた事がわかったのだ。

聖剣のステータスを確認すると、与えられた加護を一覧できた。

その中の最後の行に目を奪われる。

   

   力の代償:レベル1の者以外装備不可


レベル上限1の落ちこぼれ貴族だった俺が聖剣を抜けてしまったので、勇者になった瞬間だった。

文章力向上のため短編小説書いてます。

良かったら長編も読んでくれると嬉しいです!

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