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動き出すアデル達

 ゾルヴァル達が倒した人間共の処理として、新たに悪魔を召喚する事になった。


 戦力が増えるしすぐに綺麗になる。


「この程度の贄なら中級二人か上級一人かな。

純粋に戦力としたいなら眷属を持つ上級を召喚して置くのが良いと思うよ魔王アデル」


 俺の横に立って死体を見下ろしそう言うアデレス。


「私も同意見です魔王様」


 ゾルヴァルも頷く。


 と言う訳で、一箇所に集めた死体と血が染みこんだ土も集め、悪魔召喚を行う。


 魔法が得意な悪魔をイメージする。

 そして魔力を生け贄に流していつもの流れを行って召喚されたのは、漆黒のローブを纏い、腰を曲げた姿で、頭蓋骨に背骨から尾てい骨が繋がったそれを杖のように持っている悪魔だった。


 ローブで全身を隠しているから年齢も性別もわからない。


『召喚してくださりありがとうございます魔王様。

ワシの名はアンバレス。

悪魔界で魔子爵でした。

魔王の願いを叶えお尽くし致します』


 老婆のような嗄れ声が頭に直接響く。


『さあ魔王様、ワシに何を願いますかな?』


「そうだな……。

俺の治める街の防衛とエルフに魔法を教えてやってくれ」


 アデレスとゾルヴァルの紹介も済ませ、街へと戻る。

 このアンバレス、移動する時は宙に浮いて移動していた。


「アンバレス、その浮いているのはなんて魔法だ?

俺達を浮かす事も出来るか?」


『勿論ですとも。

ワシは干乾びた肉体が故に歩けないのでこうして魔法で移動しております。

無魔法の技の一つで浮遊と言います』


「浮遊!?

それ俺に教えてくれ!!」


『もちろんですとも』


 新しい無魔法に俺はワクワクし、アンバレスの魔法で集団浮遊で街へと戻った。


 ちょうどドワーフのイツジさんとアッシュが一緒に歩いている所を見つけ、アッシュ達も俺に気が付き呆けていた。


「こ、これはまた凄い悪魔を召喚したね……。

それにその浮いているのは……?」


「紹介するよアッシュ、イツジさん。

この悪魔はアンバレス。

魔法が得意で、今後は街の防衛とエルフに魔法を教えるのを任せようと思ってる。

後は俺にもこの浮遊って技を教えてもらうんだけど、アッシュも一緒にどう?

アンバレス、この魔人族がアッシュで俺の家族みたいな存在だからよろしくね。

このドワーフのイツジさんは元奴隷だったドワーフで、この俺の国の住民だ」


 アッシュは慣れた様子で、イツジはガチガチに緊張した様子で揃えぞれ挨拶を交わす。


 この後はアッシェも一緒に城に戻った。




 残りの悪魔達にもアンバレスを紹介して、早速俺とアッシュは無魔法の浮遊を教えてもらう。


『魔力とは不思議で便利な力なのです。

属性の魔法は派手で強力ですが、この無魔法は便利で扱い易い良い魔法なんですよ』


 それについてはもう俺達は知っている。

 一応魔力腕と魔力網は出来る事を教えると嬉しそうに早速浮遊を教えてくれた。


『簡単な事ですよ。

魔力で自分を包み、その包み込んだ魔力を浮かせるように操るだけなんですからね』


 やってみると、本当に簡単で拍子抜けしてしまった……。


『無魔法を軽んじて、魔力操作の鍛錬を怠る阿呆にはすぐには出来ない難しい技ではあるのです魔王様。

操作の精密さ、強度が杜撰であれば浮くことすら出来ず、無駄に魔力を消費するだけ。

魔王様やアッシュ殿の魔力操作と魔力強度は一流の物でございます。

流石です』


 褒められて悪い気はしない。

 俺とアッシュは訓練場で浮遊をしながら追いかけっ子をして遊んだ。


 この日から午前中は俺達を、午後はエルフ達をとアンバレスの魔法指導が始まった。





 それから二十数日、有用な無魔法の技をいくつか教えてもらった俺達は兼ねてより決めていた奴隷開放の侵攻を始める事にした。


 作り変えた街には空き家が溢れているし、もっと人を集めて大きくしていきたいと思っていた。

 今回のメンバーは俺、アッシュ、アデレスの三人だけ。


 子供メンバーだけでの旅となる。

 あとはドラグルだ。


 これでも戦力は過剰な程だと思う。


 悪魔達や住人達に見送られ、俺達は浮遊して街を出た。


「先ずはこの辺り一帯の町や村を襲っていこう」


 なんか胸から不思議な感じがした。

 この見渡す大地を自分の物にするというのが言いようのない興奮を齎す。

 支配する事に楽しみ、喜びの感情が生まれたのだ。

 これは魔王になってしまったからなのだろうか。

 わからないが俺は少し興奮をしていた。





 アデルの街を遠くから監視する人の姿があった。

 各国が派遣した冒険者達だ。


 大きな城に整然な街並み。


 小さいが一つの国のように見えてしまった情報収集に来ていた冒険者達。


 亜人が自由に暮らし、魔物が跋扈するおかしな街。

 時折魔族と思われる存在や、黒髪黒目の忌み嫌う存在も確認された。

 その者らは城を出入りしていた。


 冒険者はその者らを街を壊滅させ支配した張本人だと断定し、詳細な姿、行動を書き記していく。


 そして、今日、城に住む三人の魔族が空を飛んで街を離れた。

 三人とも子供の様に見えるが、魔族や亜人達は歓声を上げて見送っていた。


「多分あれが上位の魔族なんだろう……。

よし、一旦国に連絡だ。

この報告書を届けてくれ」


 男は側にいた他の男に紙をもたせる。

 他の冒険者達も同じ様にペアとなっている者達に紙を持たせていた。

 報告書を受け取った冒険者は散り散りになりそれぞれの国へと帰っていった。







「魔王アデル、監視していた人間共が動き出したよ」


「凄いなアデレス。

もうだいぶ離れたのにわかるんだ」


「隠密得意な眷属に見張らせてたさ。

その眷属が知らせてくれたんだ。

どうする?全員潰す?」


 この前の冒険者の有様を見てしまったら警戒する必要ないんじゃないかと思ってしまう。


「いや、いいや。

あいつら如きが俺の悪魔を倒すことが出来ないってわかった。

残してきた悪魔達が何かあっても街を守ってくれるさ。

もう俺達の居場所は失ったりしない」


 俺達の後ろを飛んていたアッシュは俺の言葉を聞いて強く頷いた。



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