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その後
その後、トイレに、あの男が現れる事は無かった。
トイレにあの男が来なくなってからしばらくして、そのトイレの洗面台に、手紙が置かれた。
その手紙には、こう書いてあった。
「トイレの神さま、ありがとうございます。
ぼくのお父さんのだいちょうガンが、治りました。
お医者さんは、きせきだと言っています。
でも、ぼくには分かっています。
トイレの神さまが、治してくれたんですね。
どうもありがとうございます」
その手紙は、誰も読むことは無く、何日か置いてあったが、数日して、清掃員の人が回収し、その手紙は捨てられた。
あの男、ここでトイレの神様と呼ばれていたあの男は、この手紙を見ることは無かった。
手紙を書いた少年の父親の病が、なぜ治ったのか?
偶然か、それとも何らかの力が働いたのか、それは分からない。
これは、ある男の、少しの期間ではあるが、神に成り上がっていたときのお話。
今度、あの男は、どこのトイレであの"ビジネス"を始めるのか……それは、もう分からない。
おしまいです。
ありがとうございました。