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怠惰の神候補   作者: タイト
番外編 ドワーフの里、その後
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ダンジョンの脅威、ゴンゴン死す!?

20時ごろにもう1話、投稿予定です。

「ゴンゴン、ここがお前の故郷というのは確かか?」

「ああ、見間違えるわけがない! こんな形で残っていたとは……」


「ごほっごほっ、うう、砂っぽいのだぁ」

「地下だからな、砂ぼこりぐらいたつだろう、我慢しろ」

 

 他に向かう場所もないので、村の探索を始めるシリウス一行。

 地形の関係か、ダンジョンの影響か、それとも他の何かか、まるで時間が止まってしまったかのように村の中は清潔そのものであった。

 木造家屋が腐り果てるどころか、カビはおろか苔さえ生えていない。唯一気になる点と言えば、常に立ち上る砂ぼこりぐらいなものだろう。


「前に話していたな、村が魔物に襲われ故郷を離れたと。その魔物というのが……」

「ああ、例の巨人達だ。最初目にしたときにもしやと思ったが、まさかオレの故郷がこんな状態になっていたとは……」


 ダンジョンと呼ばれる場所には、多種多様な特徴がある。湧き出てくる魔物の強さ、温度、湿度、内部に太陽のような光源を持つものもある。

 ダンジョンに唯一共通しているのは、生き物のように(・・・・・・)成長するという点だ。


 ゴンゴンが、故郷を離れて10数年。村はダンジョンの成長に飲み込まれ、現在のように日の当たらない場所に封印されてしまったわけだ。



「……辺りを1周してみたが、結局出入り口になりそうな場所はなかったな」

「じゃあぁ~、生き埋めってこと?」

「うわ~! みんな息を止めるのだ、空気がなくなっちゃうのだぁ! はむ…………「安心しろポラリス、人が通れないだけで空気の通り道はある」ぷはぁぁぁ、安心したの、ぶえ! また砂っぽいのだぁ」


 出口はないが幸いにも、食料や水はいくらか保存されていた。村の壁と同じように当時の状態を保っており、食べても問題は無いようだった。

 さらに良い知らせがあった。ゴンゴンいわく村の中央の集会所をダンジョン攻略の拠点にしていたらしく、少し片づければ宿屋代わりにできるだろうという話だ。


「まずは栄養と休養を取って、今後の事はそれから考えよう」

「おおぉ~」「賛成なのだ!」

「ま、いざとなりゃ天井をぶち抜けばいいし、オイラの仲間がそのうち助けに来るだろう、穴掘りの得意な奴らも何人かいるからさ!」


 各情報を整理し、危機的状況だが何とかなりそうだ、そう皆が判断を下した。

 そして徹夜と戦闘ですっかり重くなった足取りで、集会所までやってきた一行。


「さ、ここだ」

「はやく、早く開けるのだ」


 この時、誰か1人でも冷静な頭があれば気づけていただろう。

 妙な匂い。死臭(・・)が室内から漂っていた事に。

 扉を開けた途端、腐敗し山積みにされた人だったもの(・・・・・・)が視界に飛び込んできた。



 地獄のような光景だった。

 不運な事に、通常であれば白骨化しているであろうそれ(・・)は、建物や食料と同じように当時の状態をそのまま保存していた。まるでホラー映画のワンシーン、のような光景だとシリウスは思った。


「おいゴンゴン、話が違うじゃないか!」

「すまない……オレも何が何……やら」

 ゴンゴンは、額を抑えながらうつむいた。その表情はみるみる険しくなり、大量の冷や汗と同時に魂が抜け落ちていくように青白さが増していった。


『まさか、新種のウイルスか?』

 シリウスは突然の事態に疑問を抱き、室内に【サーチ】を試みようと視線を向けた。そして、視線の先に決して存在していないはずの人物を発見してしまった。


 ゴンゴン=ガンナックル、その人物が――今日まで行動を共にし今もなお隣にいるはずの彼が、腹に致命傷を受け部屋に真ん中に横たわっていたのだ。


「うわぁぁぁぁぁぁ「何があった!」ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 シリウスの隣で、ゴンゴンが絶叫した。


 それと同時にゴンゴンから青白い光が解き放たれ、暗い洞窟を照らし出した。

 その光は少しずつ収まりを見せ、まるで映画のスクリーンのような形でゴンゴンの頭上に残った。スクリーンの中には、小さな男の子が映しだされた。


「シリウス様、これは?」

「分からない……だが見たところ、これはこの村の過去の映像――正確にはゴンゴンの記憶のようだな」

 問いただそうにも、当の本人は白目をむいて膝をついたまま動かない。


 そうしている間にも、少年ゴンゴンはすくすくと成長し、10歳の時点で既に2メートル近い大男へと成長を遂げていた。

 気は優しくて力持ち、住人からの信頼も厚く、いつしか彼は守護神とまで呼ばれるようになり、村の平和に1役も2役も買うような存在になっていた。


 だが、そんな平和も永遠ではなかった。


 突如、村の近辺にダンジョンが出現した。

 おびただしい量の魔物、汚染されていく大地。住人達は、住み慣れた故郷を捨てるか、犠牲を覚悟で戦うか、選択を余儀なくされた。


 彼らのとった選択は戦う事。

『村を出たところで外の世界が自分達を受け入れてくれるかは分からない、ここにいれば水も食料も寝床もある、何よりも代々受け継いできた土地を簡単に捨てられるわけがない!』

 こうして、人々は武器を取り戦いに身を投じた。

 その結果は――――完全敗北。



 ゴンゴンを中心に編成されたダンジョン攻略部隊は、攻略最初期の時点では敵戦力と拮抗していた。だがダンジョンは成長する、気が付けば戦力差は絶望的なものになっていた。


 そして、例の巨人達が現れた。

 巨大で、素早く、力強い、圧倒的な戦力を有した奴らは、最後まであがき続けた攻略部隊の生き残りを瞬く間に蹂躙してみせたのだった。



 守護神ゴンゴンも、その例外ではなかった。



 そしてその数日後、村から生者は姿を消した。

 残ったのは、埋葬される事なく置き去りにされた攻略部隊の遺体だけ。

 村を捨て逃げ出した者達は、逃げ出した先で魔物に殺されてしまった。


「うう、あんまりなのだ、ゴンゴンかわいそうなのだ……」

「村のために必死に戦ったのに、こんな結末、くっ残酷すぎる……」

「……待てよ、じゃあここにいるゴンゴンは誰なんだ?」


 アレックス達が感情を吐露する中、シリウスはもっともなツッコミを入れた。

 

 そもそもこの映像はどこの誰が記録したのか、この映像は真実なのか否か、ゴンゴンの記憶であるならなぜ彼の死後も続いているのか、疑問は尽きない。

 今はただ、続きを見守る事しかできなかった。

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